TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
桃ちゃんと勉強と噂話
莉里ちゃんに誘われるがまま三枝家へとやってきた私。
遊びに行った先、リビングで先に帰宅していた桃ちゃんと莉里ちゃんが何やらお話しを始めました。
チラチラとこちらを横目で見ながら内緒話をしている二人を眺めつつ、リビングのソファに腰掛けた私に話し合いが終わった二人が話しかけてきます。
「……千佳、お願い」
「お願い?」
「姉さん、それじゃあ伝わりません。あの千佳先輩、お願いしたいことがあるのですが」
「うん、いいよ。何でも言ってごらんなさい!」
「ありがとうございます。実は、勉強を教えてもらいたくて」
「勉強? 一年生の?」
「いえ、これです」
そういって差し出されたのは小学三年生が使っている教科書だった。
裏には可愛い丸文字で莉里と書かれており、莉里ちゃんに教えてあげてほしいということだろうか?
いや、私二年生だよ一応。
「分かった、莉里ちゃんに教えてあげればいいんだね?」
「いえ。私に、です」
「ほえ?」
「……桃、予習バッチリ」
「いや、バッチリどころの話じゃないような」
「姉さんが千佳先輩なら出来ると言っていたのですが、お願いできませんか?」
莉里ちゃんの私への期待が重い。
ですがこちとら転生者よ、それくらいなら問題なく教えてあげることができます。
これを機に私も予習勉強していこうかな?
今からなら時間もあるし、お母さんに話をしてみてテキスト買ってもらえそうなら千佳ちゃん天才計画を始動させることにしよう。
「よし、私に任せなさい!」
「ありがとうございます!」
「……桃を頼む」
「莉里ちゃんもやろうよ、予習は大切だよ?」
「……私はこれで」
「桃ちゃん確保!」
「姉さんすみません!」
「……や、やめっ」
反抗も虚しく、廊下への扉の前まで逃げていた莉里ちゃんは桃ちゃんに抱きかかえられ、リビングの椅子へと座らされた。
その隣に桃ちゃんが座り、私は二人の勉強が見えるように対面へと座った。
勿論、莉里ちゃんのランドセルは確保しているので、無言で莉里ちゃんへと手渡した。
しょんぼりとした顔に危うく陥落しそうになった私だが、なんとか踏ん張って二人の勉強を見始めた。
「あの、ここなんですけど」
「どれどれ?」
「この部分がよく分からなくて」
「あーこの文章はここの文節から読み取るんだよ、この文節の場合は文節の前に答えがあるからね」
「なるほど、ではこちらは?」
「これはこの段落を使うんだ。問題文をよく見て、それから似ている箇所を探すといいよ」
「ありがとうございます! 千佳先輩って教えるの上手ですね」
「まぁね、学校でも色々教えるときがあるし」
九重先生に教えるときだってあるくらいだからね。
相変わらず私に尊敬の念を抱いてくるけど。
そのお陰か九重先生も初めて会ったときに比べてより先生らしくなっています。
規律を守りながらも、生徒に好かれる先生へとレベルアップを続けているので、是非このまま頑張っていただきたい。
「姉さんから噂は聞いていましたが、本当だったんですね」
「噂?」
「……千佳の話」
「運動会で先輩方に勝って応援団長の座に君臨したとか、体育を含めて全てのテストが満点だとか」
「いや、先輩方に勝ったわけじゃないからね!? ただちょっと、言い負かしただけで」
「……勝ってる」
「勝ってますね」
「うっ、そう考えればそうかもしれない」
「……違う組だった」
「そうなんですよ、なので千佳先輩は噂で聞いたことしかありませんでした」
「噂かぁ、悪い噂とか流れてなければいいけど」
「……聞いたことない」
「そうですね、一年生でもすごいお姉さんがいるって噂されてるくらいですよ」
「ほっ、よかったよ」
「まぁそんな話を流してるのはあの二人なんですけど」
「メグちゃんと花ちゃんか、全く仕方ないなぁもう」
「……千佳、優しい」
「いやいや普通だよ。妹は可愛いもんね?」
「……同意」
「ちょ、何言ってるんですか姉さん!」
「あ、勿論桃ちゃんも妹のように思ってるからね?」
「千佳先輩まで!? ほら、勉強しますよ!」
「……桃、可愛い」
なんだこの姉妹可愛いな。
褒める姉と照れる妹、私の妹たちではこうはいかないからね。
照れてるのか分からないけど、大体抱きついてくるかナデナデを所望してくるか。
桃ちゃんは優等生なタイプだから、しっかりと勉強を教えてあげないとね。
そして今は先輩呼びだけど、いつかは私も姉さんって呼んでもらうのだ!
「……駄目」
「心を読まないで莉里ちゃん。後それくらい許して莉里ちゃん」
「? あ、千佳先輩ここは」
そうして初の三枝家訪問は、帰る時間まで勉強で終わった。
そういえば遊びに行ったのではなかったかと思いながら、私は妹たちが待つ家へと帰るのである。
私も姉さんと呼んで計画を練りながら。
遊びに行った先、リビングで先に帰宅していた桃ちゃんと莉里ちゃんが何やらお話しを始めました。
チラチラとこちらを横目で見ながら内緒話をしている二人を眺めつつ、リビングのソファに腰掛けた私に話し合いが終わった二人が話しかけてきます。
「……千佳、お願い」
「お願い?」
「姉さん、それじゃあ伝わりません。あの千佳先輩、お願いしたいことがあるのですが」
「うん、いいよ。何でも言ってごらんなさい!」
「ありがとうございます。実は、勉強を教えてもらいたくて」
「勉強? 一年生の?」
「いえ、これです」
そういって差し出されたのは小学三年生が使っている教科書だった。
裏には可愛い丸文字で莉里と書かれており、莉里ちゃんに教えてあげてほしいということだろうか?
いや、私二年生だよ一応。
「分かった、莉里ちゃんに教えてあげればいいんだね?」
「いえ。私に、です」
「ほえ?」
「……桃、予習バッチリ」
「いや、バッチリどころの話じゃないような」
「姉さんが千佳先輩なら出来ると言っていたのですが、お願いできませんか?」
莉里ちゃんの私への期待が重い。
ですがこちとら転生者よ、それくらいなら問題なく教えてあげることができます。
これを機に私も予習勉強していこうかな?
今からなら時間もあるし、お母さんに話をしてみてテキスト買ってもらえそうなら千佳ちゃん天才計画を始動させることにしよう。
「よし、私に任せなさい!」
「ありがとうございます!」
「……桃を頼む」
「莉里ちゃんもやろうよ、予習は大切だよ?」
「……私はこれで」
「桃ちゃん確保!」
「姉さんすみません!」
「……や、やめっ」
反抗も虚しく、廊下への扉の前まで逃げていた莉里ちゃんは桃ちゃんに抱きかかえられ、リビングの椅子へと座らされた。
その隣に桃ちゃんが座り、私は二人の勉強が見えるように対面へと座った。
勿論、莉里ちゃんのランドセルは確保しているので、無言で莉里ちゃんへと手渡した。
しょんぼりとした顔に危うく陥落しそうになった私だが、なんとか踏ん張って二人の勉強を見始めた。
「あの、ここなんですけど」
「どれどれ?」
「この部分がよく分からなくて」
「あーこの文章はここの文節から読み取るんだよ、この文節の場合は文節の前に答えがあるからね」
「なるほど、ではこちらは?」
「これはこの段落を使うんだ。問題文をよく見て、それから似ている箇所を探すといいよ」
「ありがとうございます! 千佳先輩って教えるの上手ですね」
「まぁね、学校でも色々教えるときがあるし」
九重先生に教えるときだってあるくらいだからね。
相変わらず私に尊敬の念を抱いてくるけど。
そのお陰か九重先生も初めて会ったときに比べてより先生らしくなっています。
規律を守りながらも、生徒に好かれる先生へとレベルアップを続けているので、是非このまま頑張っていただきたい。
「姉さんから噂は聞いていましたが、本当だったんですね」
「噂?」
「……千佳の話」
「運動会で先輩方に勝って応援団長の座に君臨したとか、体育を含めて全てのテストが満点だとか」
「いや、先輩方に勝ったわけじゃないからね!? ただちょっと、言い負かしただけで」
「……勝ってる」
「勝ってますね」
「うっ、そう考えればそうかもしれない」
「……違う組だった」
「そうなんですよ、なので千佳先輩は噂で聞いたことしかありませんでした」
「噂かぁ、悪い噂とか流れてなければいいけど」
「……聞いたことない」
「そうですね、一年生でもすごいお姉さんがいるって噂されてるくらいですよ」
「ほっ、よかったよ」
「まぁそんな話を流してるのはあの二人なんですけど」
「メグちゃんと花ちゃんか、全く仕方ないなぁもう」
「……千佳、優しい」
「いやいや普通だよ。妹は可愛いもんね?」
「……同意」
「ちょ、何言ってるんですか姉さん!」
「あ、勿論桃ちゃんも妹のように思ってるからね?」
「千佳先輩まで!? ほら、勉強しますよ!」
「……桃、可愛い」
なんだこの姉妹可愛いな。
褒める姉と照れる妹、私の妹たちではこうはいかないからね。
照れてるのか分からないけど、大体抱きついてくるかナデナデを所望してくるか。
桃ちゃんは優等生なタイプだから、しっかりと勉強を教えてあげないとね。
そして今は先輩呼びだけど、いつかは私も姉さんって呼んでもらうのだ!
「……駄目」
「心を読まないで莉里ちゃん。後それくらい許して莉里ちゃん」
「? あ、千佳先輩ここは」
そうして初の三枝家訪問は、帰る時間まで勉強で終わった。
そういえば遊びに行ったのではなかったかと思いながら、私は妹たちが待つ家へと帰るのである。
私も姉さんと呼んで計画を練りながら。
「コメディー」の人気作品
書籍化作品
-
-
314
-
-
140
-
-
238
-
-
37
-
-
4
-
-
93
-
-
63
-
-
3
-
-
55
コメント