進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~

三浦涼桜

第四十四話 何かが切れた!

 先ほどの学生たちに勘違いされてから5分後。
 所々にいる魔物を狩りながら、強い気配のする場所に向かっている。
 飛んで行ってもいいんだけど、空から行くと敵から丸見えなのですぐ警戒されるだろう。
 警戒されると面倒なので、今回は地上から行くことにしたというわけである。

 さて、もうそろそろ目的の強い気配のする場所ところだろうか。
 近づくにつれて、気配がだんだん強くなってくる。
「…………………少し急ぐか」
 俺は歩く速度を速める。

 もし俺が考えていることが当たっているとした場合、あいつらでは恐らく歯が立たない。
 良くて両腕を持っていかれるか、両足を行かれるだろう。
 悪ければ確実に殺される。 

 それも、

 体の欠損程度なら難なく完治させることはできるだろう。
 だが死んでしまってはもうどうしようもない。
 死人は生き返らせることはできない。
 それは森羅万象の定めである。

 最悪の場合を想定したせいか、無意識の内に身体強化の魔法を発動していたことに気付かないまま、俺は皇国の街道を疾走した。









~幸希side~

 俺は結界を張った後、すぐさま南海達と合流するために移動した。
 途中幾度かモンスターや魔族たちを見つけたが、相手にすることなく合流することだけに専念した。

 俺のスキルは基本的に防御スキルで固めている。
 故にある程度のモンスターの攻撃なら無防備でも耐えることができる程には頑丈である。
 その代わり攻撃系のスキルはあまり取得していないため、単独で行動するのは自殺行為に等しいのである。

 百聞は一見にしかず。この場で今の俺のステータスを見せておこう。

――――ステータス――――
名前:海城 幸希
種族:人間
職業:最強の盾使い
Lv80

HP:51200/51200
MP:10200/10200
STR: 5099
DEF:13050
AGI: 3201
MGA: 1600
MGD:10050
INT: 3543
LUK: 4102

スキル
【火魔法Lv7】【岩魔法Lv2】【頑丈Lv10】
【俊足Lv3】【怪力Lv4】【盾術Lv10】
【槍術Lv4】【重力魔法Lv4】【防御力上昇Lv-】
【魔力操作Lv-】【魔力吸収Lv-】【魔力開放Lv-】
【痛覚減少Lv3】【恐怖耐性Lv5】

ユニークスキル
【聖壁Lv6】【断崖絶壁Lv2】

エクストラスキル
絶対不可侵領域サンクチュアリ

称号
異世界人・召喚されし者・聖霊の守護者・覚悟を決めた者



【痛覚減少】
 自身が受ける痛みを軽減することができるスキル
 スキルのレベルが上がるにつれて、軽減できる痛みの強さが変わっていく

【恐怖耐性】
 恐怖で足がすくむことを軽減することができるスキル
 レベルが最大になったとき、恐怖におびえることがなくなる

【聖壁】
 スキル【絶壁】の上位スキル
 肉体を大幅に強化し、どのような攻撃にも耐えられるようにする。
 防御系スキル・魔法の使用時、大幅に強化される

【断崖絶壁】
 非常に特殊なユニークスキル
 死に瀕したとき、非常に強力な力を得ることができる。但しそれが何かは、その時になってから出ないと分からない。

絶対不可侵領域サンクチュアリ
 非常に強力なエクストラスキルの内の一つ。様々な効果が存在しているが現在確認されているのは、非常に強固な結界を形成することのみである。

聖霊の守護者
 守り人の上位称号
 特にこれと言った取得条件があるわけではないものの、この称号になった者は死後、聖霊王のもとで守護者として使われるとされ、修道者からすれば崇拝するべき対象となる。
 エクストラスキル【絶対不可侵領域サンクチュアリ】を取得

覚悟を決めた者
 絶体絶命の時、死を覚悟したものが稀に得ることのできる称号
 ユニークスキル【断崖絶壁】を取得

 おわかり頂けただろうか。
 HPやDEFの値は非常に高い。
 ゲームで言えばタンクと言えばわかりやすいだろうか。
 とにかく、俺のステータスは単独よりも集団の方が光るのである。

 と、そんなことを考えてる間に、大通りまで来たようだ。
 襲撃される前はとても賑やかだったこの場所も、今はもう見る影もない。
 思わず手を握りしめると、力が強すぎたのか爪が手のひらに食い込み血が滲む。

 ……魔族の奴ら、絶対に許さねぇ…………。
 密かにみんなの仇を取ることを誓いながら、大通りを渡ろうとして―――――

 !?

 咄嗟に物陰に隠れる。

 俺が隠れるのと同時に、向こうからコツコツという足音が聞こえた。
 足音と一緒に、途切れ途切れではあるが……話し声が聞こえてくる。

「ったく……なんで俺たちがこんなことしなきゃならんのや!」
「そういきり立つんじゃねぇよ。こうして楽して人間族の肉が食えるんだ。そう思えば割のいい仕事だと思わないか?」
「……それもそうか」
「にしてもよかったよな~、あいつらの怯えた顔! あんな悲鳴を上げさせながら殺せるなんて、ここはなんて楽園なんだ!」

 ギャハハハハハ! そんな下種の笑い声を聞いた瞬間―――――

 ブチっと、俺の頭の中で何かが切れる音がした。

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