引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

六歳の決意

 静かだった。
 さっさと眠るつもりだったのか、リュアが速攻で部屋の明かりを消してしまった。
 王城の客室だけあって防音はしっかりしている。室内はもう、リュアの寝息以外、なにも聞こえない。 

 真っ暗、そして無音。

「……あれ、トルフィンくんがいるからかな。眠れなくなっちゃった……」
 ふいにリュアが言い出した。
「……俺のせいなのか」
「ううん、そうじゃないけど……なんか、よくわかんないけど……恥ずかしくなっちゃった……」

 おいおい。
 ここにきて急に恥じらうんですか。俺にどうしろと。

 モゾモゾと、リュアはトルフィン側に寝返りをうった。
 至近距離に可憐な女の子の顔。
 前世で童貞のまま死んでしまったトルフィンにとって、思わずドキッとせざるをえないシチュエーションであった。

「……今日はありがとね。楽しかった」
「俺はなにもしてないさ。一緒に修行して、一緒にメシ食っただけだしな」
「でも、私、トルフィンくんに会えてよかった。だから嬉しいの」

 ――たしかに。
 昨日、初めてリュアと会ったときと比べれば、だいぶ心を開いてくれているような気がする。
 それだけ信頼してくれているんだろう。

「ねえ、トルフィンくん」
「お?」
「もし、よかったらでいいんだけど……手、繋いでよ」
「……マジか」

 さすがは女子ということか。こと恋愛というジャンルに関しては進んでいるようだ。

「まあ、いいけど」
 なにげなく答えたトルフィンだっったが、もちろん内心バクバクである。差し出された小さな手を、おそるおそる握りしめる。

 前世ではまるで起こりえなかったことだ。
 誰かに求められることなんて。
 誰かに感謝されることなんて。
 このわずかな温もりに接しているだけで、前世からずっと開いていた穴が、ゆっくり塞がれていく気がする。

「あのな、リュア」
「……なに?」
「訳あってな。俺は毎日、学校には行けなくなる。やらなきゃいけねえことがあるんだ」
「え。そんなの……やだよ」
「その代わり、学校に来たときにはめいっぱい修行してやる。だからおまえも、ひとりでもちゃんと鍛えろよ」
「う……うん、わかった」

 素直に頷くリュアの頭を、トルフィンは優しく撫でてみた。

「むう。なんだかお兄ちゃんみたい」
「……ま、まあ実際に年上だしな」

 国王シュンが言うには、今後、得体の知れない勢力が襲ってくる可能性が高いという。だから武術大会を開催するのだと。

 ――リュア。せめてこいつだけは、俺の手で守ってやんよ――
 ぎゅっと小さな手を握りしめながら、トルフィンは決意を固くするのであった。

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