引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
甘える皇女
ーーうん、いまのはやっぱり夢だったんだ。
そう思うことにした。
シュンにはすでに大事な妻がいる。いくつもの葛藤を経て、やっと結ばれた、大切な女の子が。
彼女を差し置いて、セレスティアとむふんな関係にはなれない。
……いや、でもシュロン国の国王は俺だし、一夫多妻を是とすれば別に大丈夫か……
という不埒な考えをめぐらせたところで、シュンは乾いた笑みを浮かべた。
いまはそんなことを考えている場合ではない。アグネ湿地帯から抜け出す方法を編み出さなければ、シュンもセレスティアも餓死してしまう。セレスティアに至っては病人だ。
シュンは後頭部を背後の木に預けながら、さらなる思考に耽っていった。
彼女はかなりの高熱だ。回復するまでに相当の時間を要するだろう。やはり食料を調達してくるしかないか……。しかし、悪魔たちが跋扈するこの場所で、セレスティアだけを置いてはいけない。
それともうひとつ、懸念すべき要素があった。
シュン自身の眠気である。
いくら引きこもりレベル999といえども、常にその力が存分に発揮できるわけではない。睡眠不足は確実に、シュンの弱体化にも直結する。そして実際にも、シュンの意識は朦朧としはじめていた。
「めんどくせぇな、もう」
シュンは考えるのをやめ、セレスティアの隣に寝転んだ。
動かなければ余計なエネルギーを消費しない。面倒くさいときは寝るに限る。
幸いというべきか、さきほどの巨大蜘蛛との闘いのおかげで、悪魔たちはかなりシュンに怯えている。おそらくだが、そうすぐには襲ってこないだろう。数時間の仮眠なら取れるはずだ。
もともと彼は引きこもり。図太く寝るのは得意である。
のだが。
ーーこれってやっぱり、まずいよなぁ……
緊急事態とはいえ、セレスティアと同じベッド()で眠っているのである。しかも彼女からは謎の告白をされたばかり。
健全な男として、意識しないというほうが無理である。
「う……ん……」
「おわっ」
まだ半分意識があるのか、セレスティアはうっすらと目を開け、シュンの手を弱々しく握ってきた。
「シュンくん……す……き……」
ーーまだ言ってやがる。いったい俺みたいないい加減な奴のどこがいいんだか。
苦笑を浮かべるシュンだが、次のセレスティアの発言で、表情を改めざるをえなかった。
「……お父様……なぜ……私を……殺そうと……」
エルノス国王による、セレスティアを囮としたシュン暗殺計画。
ロニンのときもそうだったが、どうも王というのは、自身の子どもにさほど愛着を抱いていないようだ。前代魔王も、そしてエルノス国王も、あまりに冷酷に娘を見捨てた。
「…………」
シュンは無言でセレスティアの頭を撫でてみた。にゃう、とどこか甘えた声が返ってきて、思わず笑ってしまう。
ーー安心しろ。おまえは俺が守ってやる。
シュンはセレスティアの手をもう一度握りながら、ひとり、決心するのだった。
そう思うことにした。
シュンにはすでに大事な妻がいる。いくつもの葛藤を経て、やっと結ばれた、大切な女の子が。
彼女を差し置いて、セレスティアとむふんな関係にはなれない。
……いや、でもシュロン国の国王は俺だし、一夫多妻を是とすれば別に大丈夫か……
という不埒な考えをめぐらせたところで、シュンは乾いた笑みを浮かべた。
いまはそんなことを考えている場合ではない。アグネ湿地帯から抜け出す方法を編み出さなければ、シュンもセレスティアも餓死してしまう。セレスティアに至っては病人だ。
シュンは後頭部を背後の木に預けながら、さらなる思考に耽っていった。
彼女はかなりの高熱だ。回復するまでに相当の時間を要するだろう。やはり食料を調達してくるしかないか……。しかし、悪魔たちが跋扈するこの場所で、セレスティアだけを置いてはいけない。
それともうひとつ、懸念すべき要素があった。
シュン自身の眠気である。
いくら引きこもりレベル999といえども、常にその力が存分に発揮できるわけではない。睡眠不足は確実に、シュンの弱体化にも直結する。そして実際にも、シュンの意識は朦朧としはじめていた。
「めんどくせぇな、もう」
シュンは考えるのをやめ、セレスティアの隣に寝転んだ。
動かなければ余計なエネルギーを消費しない。面倒くさいときは寝るに限る。
幸いというべきか、さきほどの巨大蜘蛛との闘いのおかげで、悪魔たちはかなりシュンに怯えている。おそらくだが、そうすぐには襲ってこないだろう。数時間の仮眠なら取れるはずだ。
もともと彼は引きこもり。図太く寝るのは得意である。
のだが。
ーーこれってやっぱり、まずいよなぁ……
緊急事態とはいえ、セレスティアと同じベッド()で眠っているのである。しかも彼女からは謎の告白をされたばかり。
健全な男として、意識しないというほうが無理である。
「う……ん……」
「おわっ」
まだ半分意識があるのか、セレスティアはうっすらと目を開け、シュンの手を弱々しく握ってきた。
「シュンくん……す……き……」
ーーまだ言ってやがる。いったい俺みたいないい加減な奴のどこがいいんだか。
苦笑を浮かべるシュンだが、次のセレスティアの発言で、表情を改めざるをえなかった。
「……お父様……なぜ……私を……殺そうと……」
エルノス国王による、セレスティアを囮としたシュン暗殺計画。
ロニンのときもそうだったが、どうも王というのは、自身の子どもにさほど愛着を抱いていないようだ。前代魔王も、そしてエルノス国王も、あまりに冷酷に娘を見捨てた。
「…………」
シュンは無言でセレスティアの頭を撫でてみた。にゃう、とどこか甘えた声が返ってきて、思わず笑ってしまう。
ーー安心しろ。おまえは俺が守ってやる。
シュンはセレスティアの手をもう一度握りながら、ひとり、決心するのだった。
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