引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

目指していたはずのもの

 ーーセレスティアよ。おまえは将来、父さんの跡継ぎになるんだぞ。
 ーー跡継ぎ? 王様になるってこと?
 ーーそうだ。おまえが、国民の生活を守るんだーー

「……てるか、……い」
 どこからか声が聞こえる。
「起きてるか、おい、セレスティア!」
「……あっ」

 セレスティアはふと我に返った。
 振り返ると、シュンとロニンが心配そうにこちらを見つめている。

「大丈夫かよ。考え事してたみたいだが」
「う、うん、大丈夫、だけど……」
 だいぶ思い詰めてしまっていたらしい。せっかく二人を客室に案内しているところなのに。
「ごめん。客室はもう少しだから……」
「ならいいが……」
「こっちよ。ついてきて」
 笑顔をつくり、セレスティアは案内を再開する。

 だいぶ昔のことを思い出していたらしい。幼少のころ、父エルノスに、指導者としてのあり方を何度も説かれたことがある。

 ーーいいかセレスティア。王には支持者が必要だ。独裁政治ほど愚かなものはないよ。
 ーー国民のためを思い、国民のために尽くしなさい。それがおまえの使命なのだ。

 堂々とそう語る父を、セレスティアは素直に尊敬していた。周囲の国民たちも、狂信的なまでに父を信頼していた。
 ーー私のお父さんはすごい。
 その事実は本当に誇らしかった。
 だから自分も、父のように立派な指導者になろうと思った。

 ーーだけど。
 さきほどシュンたちに脅迫まがいの謁見をしたエルノス国王。
 あれが王としての勤めなのか。父の言うとおり、大義のためならば多少の犠牲は肯定されてもいいのか。

 わからない。私はいままで、なにを目指してきたのだろう……
 そこまで思索を巡らせたところで、やっと目的地に到着した。セレスティアは近くの扉を手を差し、二人に話しかける。

「ここよ。なにか用があったら、気軽に召使いを呼んでいいから」
「お、おう」
 シュンが微妙な表情で頷く。
「なあ。おまえ、戻りたかったらいつでもーー」
「え?」
「いや、なんでもねえ。ロニン、入るぞ」

 こくりと頷き、シュン夫婦は室内に入っていく。
 私は、どうしよう……
 ひとり残されたセレスティアは、ぽつりと、そう考えるのであった。

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