引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

新たな国へ

 シュンはふっと笑みを浮かべると、魔王ロニンの頭を撫でてみた。むう……と甘えたような声を出すロニンに、思わずドキリとせずにいられない。

 人間とモンスターの戦争。
 どちらが正しくて、どちらが生き残るべきか。
 そんなことわかるわけがない。たぶん一生答えの出ない問題だ。
 人間もモンスターも等しく生きている。それはまさしく同じ命であり、どちらの生命が重要だーーと比べることはできない。

 ならばこそ。
 シュンはロニンの顎をくいっと持ち上げてみせた。

「つくろうぜ。戦いのない、平和な国を」
「え……」
「わからねえか。ついてきてほしいんだ……その、おまえに」
「そ、それって……」

 告白? プロポーズ? それとも……
 ロニンの頭が本当に暴発し、「はうぅ……」と倒れ込みそうになった。

「おっと」
 シュンはひょいと魔王の身体を持ち上げると、片手で頬を掻いた。
「駄目か? 良い案だと思ったんだがな」
「そ、そうじゃないけど、国をつくるって、いったいどういう……?」
「そのままの意味さ。俺たちで、人間とモンスターが共存する国をつくる。実はテキトーな大陸をすでに見繕ってあってな。さっきまで大陸探しをしてたってわけだ」

 大陸探し……
 ロニンはぽかんと口を開けたまま、なにも言えなかった。
 国作りに最適な土地を探しまわっていたということか。相変わらず無茶苦茶だ。

 だけど。
 それはきっと、引きこもりレベル999の彼にしかできない。
 ーーううん。
 ステータスの強さだけじゃない。優しくて、他人想いのお兄ちゃんだからこそ、ここまでしてくれたんだ。

 彼はさっき、《魔王》の私に愛を表現してくれた。
 私はモンスターなのに。
 絶対に叶わぬ恋だと思っていたのに。
 それでも、彼は……
 ロニンは無意識のうちに、シュンの胸に顔を埋めていた。 

「私も大好き……お兄ちゃん」
「おう」

 シュンはそんな魔王を優しく受け止めると、騎士やモンスターたちに向けて大声を張った。

「本日これより、人間とモンスターが共存する国をつくる! こんな馬鹿馬鹿しい戦いはやめて、ついてきたい者は俺についてこい!」

「引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く