引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

魔王を滅する機会

 セレスティアの子どもとの接し方は、一朝一夕で身につけられるものではなかった。

 些細な子どもの相談にも、親身になって耳を傾けている。そのさまはどこか聖母のようだ。
 だからこそ、子どももセレスティアを心から信頼しているように思えた。どんな些細なことでも彼女に報告したくなる。  

 そうして女児が遊び場に戻るのを見送ってから、俺は言った。

「手慣れたもんだな」

「うん。もう長いことやってるからね」

 そこでセレスティアは深く椅子に座り込むと、頬杖をつき、明後日の方向を向きながら告げた。

「……あの、魔王討伐の件、考え直してはくれないの?」

「またかよ。何度言ってもおなーー」

「この子らね、モンスターに親も家も奪われたの」

「なに……?」

「ううん、この子らだけじゃない。世界中の人間がモンスターのせいで苦しんでる。この子らは氷山の一角でしかない」 

「…………」

「ねえ、あなた、強いんでしょ? お願い……魔王を、倒して」

   ★

 皇女セレスティアにとって、モンスターとは憎むべき存在でしかなかった。

 父親がモンスターの脅威に悩まされているから。
 国民がモンスターに苦しめられているから。

 父親とて、凶悪なモンスターたちに手をこまねいていたわけではない。万全に準備を整え、討伐隊を魔王城に派遣した。

 だが魔王は予想以上に強くーーそして残酷だった。
 討伐に向かった数名の騎士を、あろうことか魔王城の屋上に吊し上げたのである。

 それを知った国王やセレスティアは激怒した。モンスターに対し、この上ない怒りを覚えた。

 そんなモンスターに、最近異変が見られているとアルスは言った。
 この機を狙わない手はない。いま奴らを滅さなければ、次なる被害者が出てしまう。

 だからセレスティアはもう一度、シュンに願った。

「いましかないの……お願い、魔王を倒して……」

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