悪役令嬢は隣国で錬金術を学びたい!
第十四話 魔法攻撃はシューティングゲーム感覚で
翌日、セシル先生は約束通り魔力の流れを視覚的に認識出来る魔力探知眼鏡を用意してくれていた。でも、作中にこんなアイテムあっただろうか? 星形のユニーク眼鏡……パーティーグッツにありそうだ。
「これも、先生が作られたのですか?」
「ええ。昨日即席で作ったので粗は目立ちますが、性能は保障しますよ」
即席で?!
「先生はレシピがなくても作れるのですか?」
「錬金術のレシピは数も少ないですし、現代では失われた物も多いのです。なので、アレンジして作る方が多いですね」
アレンジ?!
そっか、難しいレシピが手に入るのは普通では立ち入り困難な場所ばかり。古代遺跡や海中神殿、暗黒大陸など、ダンジョン攻略用に効率よくアイテムを作ってなければまず辿り着くことすら出来ないだろう。
作中でアレンジは出来たものの、せいぜい品質を変えるのが精一杯だった。しかし現実では、アレンジで新たなアイテムを作ることが可能なのか。これは、夢が広がる!
「セシル先生はやはりすごいですね! 流石は後に伝説の錬金術士となられるお方……感激で胸がいっぱいです!」
「伝説の錬金術士? リオーネ、何を言っているのですか?」
「はっ! 何でもありません!」
いかん、いかん。思わず心の声が漏れていたようだ。こんなにすごい人を先生と呼ばせてもらえるなんて、改めて呼んで下さったお父様に感謝しなければ!
「では、これをかけてみて下さい」
「はい、ありがとうございます!」
先生に促されて眼鏡をかけて自分の手をみると、5色に輝く光の筋が螺旋状に絡みながら体内を巡っているのが見えた。
「5色の光が螺旋状に渦巻いて……これが魔力ですか?」
「そうです。古の属性は5つの属性が複雑に身体の中で絡み合っています。なので、コツを掴むまではコントロールが難しいのです」
なるほど……確かに、こんなぐるぐると絡み合ってたら1つの属性だけを拾い上げて武器に魔力を通すのは難しそうだ。
赤が火、青が水、緑が風、茶色が土、金色が雷。こうやって視覚的に見えると魔力も感じやすい気がする。
そのまま先生に視線を移すと、私と同じように5色に輝く光の筋が螺旋状に身体の周りを駆け巡っているのが見えた。ただ私とは比べものにならないくらい、その光の輝きは強く量も多い。くっ、これがレベルの差か。
「実際に魔力を通してみますので、よく見ていて下さい」
先生は右手に握りしめた氷のレイピアに、五色に輝く光から青色の光だけを器用に纏わせた。すると、レイピアの柄の部分にあった丸い宝玉が青色の光を灯した。
「魔力を通わせると、それに反応し武器のコアに光が灯ります。違う属性の魔力を通しても、かなりの魔力を注がないとコアは反応しません。リオーネの場合は、全ての属性の魔力を送り込んでいたのでコアがうまく魔力を拾えなかったのでしょう」
「視覚的に見えて分かりやすくはなったのですが、どうやって1つの属性の魔力だけを集めるのかが分かりません」
「そうですね……まずはその属性をイメージしてみて下さい。火は触れると熱く、水は逆に冷たい。風は常に感じる空気の流れ、大地は生命を育む力の源。雷は荒ぶる自然の怒り」
説明しながら先生は手のひらの上にそれぞれの属性の魔力を集結させた球体を作って見せてくれた。
「この魔力の球体に触れてみて下さい」
先生の手のひらの上にある金色の魔力の球体にそっと手を伸ばす。触れた瞬間、わずかにピリピリと痺れたような感覚がした。荒ぶる金色の魔力はやんちゃな印象を受ける。
「これが雷属性の魔力……先生、なんとなく感じは掴めました」
「では、手のひらに集中させてみてください」
「はい、やってみます!」
雷をイメージしながら、少しやんちゃで荒ぶる金色の魔力を感じ取り、ピリピリと感じるその光の筋だけを手のひらに呼び寄せる。円を描くようにイメージして出来上がった丸い球体は、金色の光を放っていた。
「先生、出来ました!」
と、気を抜いた瞬間他の属性の光まで混じってしまった。
「イメージは掴めたようですね。集中して、今度はライトニングロットに雷属性の魔力を通してみて下さい」
先程と同じように雷をイメージしてピリピリと感じる魔力をライトニングロットに集める。すると、昨日は光らなかったコアに光が灯った。その状態で設置された的めがけて杖を振ると一筋の雷が杖の先から飛び出した。丸焦げになった木の的を前に、興奮が押し寄せる。
夢じゃない。確かに今、魔法を使ったんだ!
「すごい、先生……今、雷が!」
「コツさえ掴めば簡単でしょう? さぁ、今度はあちらの的を狙って下さい」
「はい、先生!」
本当にコツさえ分かれば簡単に魔法が使えるようになった。最初は動かない的で訓練し、休憩を挟んだ後は動く的を狙って訓練した。
「的の動きをよく見て下さい。次はどこに動くか予測して、魔法を放つのです」
「はい、先生!」
「中々いいですよ、リオーネ。じゃあ次はこれを!」
「はい、先生! って、飛んだ! 的が飛んでますよ!」
「全てのモンスターが地を這っているわけではありません。さぁ、やり方は一緒です。しっかり狙って撃ち落として下さい」
あっ、外した! くっ、あっ、こっち……よし、当たった!
途中からシューティングゲームをしている気分になったけれど、全ての的を撃ち落とした頃にはライトニングロットの扱いにもかなり慣れていた。
魔法攻撃はシューティングゲーム感覚で──それが今日学んだ教訓だった。
「これも、先生が作られたのですか?」
「ええ。昨日即席で作ったので粗は目立ちますが、性能は保障しますよ」
即席で?!
「先生はレシピがなくても作れるのですか?」
「錬金術のレシピは数も少ないですし、現代では失われた物も多いのです。なので、アレンジして作る方が多いですね」
アレンジ?!
そっか、難しいレシピが手に入るのは普通では立ち入り困難な場所ばかり。古代遺跡や海中神殿、暗黒大陸など、ダンジョン攻略用に効率よくアイテムを作ってなければまず辿り着くことすら出来ないだろう。
作中でアレンジは出来たものの、せいぜい品質を変えるのが精一杯だった。しかし現実では、アレンジで新たなアイテムを作ることが可能なのか。これは、夢が広がる!
「セシル先生はやはりすごいですね! 流石は後に伝説の錬金術士となられるお方……感激で胸がいっぱいです!」
「伝説の錬金術士? リオーネ、何を言っているのですか?」
「はっ! 何でもありません!」
いかん、いかん。思わず心の声が漏れていたようだ。こんなにすごい人を先生と呼ばせてもらえるなんて、改めて呼んで下さったお父様に感謝しなければ!
「では、これをかけてみて下さい」
「はい、ありがとうございます!」
先生に促されて眼鏡をかけて自分の手をみると、5色に輝く光の筋が螺旋状に絡みながら体内を巡っているのが見えた。
「5色の光が螺旋状に渦巻いて……これが魔力ですか?」
「そうです。古の属性は5つの属性が複雑に身体の中で絡み合っています。なので、コツを掴むまではコントロールが難しいのです」
なるほど……確かに、こんなぐるぐると絡み合ってたら1つの属性だけを拾い上げて武器に魔力を通すのは難しそうだ。
赤が火、青が水、緑が風、茶色が土、金色が雷。こうやって視覚的に見えると魔力も感じやすい気がする。
そのまま先生に視線を移すと、私と同じように5色に輝く光の筋が螺旋状に身体の周りを駆け巡っているのが見えた。ただ私とは比べものにならないくらい、その光の輝きは強く量も多い。くっ、これがレベルの差か。
「実際に魔力を通してみますので、よく見ていて下さい」
先生は右手に握りしめた氷のレイピアに、五色に輝く光から青色の光だけを器用に纏わせた。すると、レイピアの柄の部分にあった丸い宝玉が青色の光を灯した。
「魔力を通わせると、それに反応し武器のコアに光が灯ります。違う属性の魔力を通しても、かなりの魔力を注がないとコアは反応しません。リオーネの場合は、全ての属性の魔力を送り込んでいたのでコアがうまく魔力を拾えなかったのでしょう」
「視覚的に見えて分かりやすくはなったのですが、どうやって1つの属性の魔力だけを集めるのかが分かりません」
「そうですね……まずはその属性をイメージしてみて下さい。火は触れると熱く、水は逆に冷たい。風は常に感じる空気の流れ、大地は生命を育む力の源。雷は荒ぶる自然の怒り」
説明しながら先生は手のひらの上にそれぞれの属性の魔力を集結させた球体を作って見せてくれた。
「この魔力の球体に触れてみて下さい」
先生の手のひらの上にある金色の魔力の球体にそっと手を伸ばす。触れた瞬間、わずかにピリピリと痺れたような感覚がした。荒ぶる金色の魔力はやんちゃな印象を受ける。
「これが雷属性の魔力……先生、なんとなく感じは掴めました」
「では、手のひらに集中させてみてください」
「はい、やってみます!」
雷をイメージしながら、少しやんちゃで荒ぶる金色の魔力を感じ取り、ピリピリと感じるその光の筋だけを手のひらに呼び寄せる。円を描くようにイメージして出来上がった丸い球体は、金色の光を放っていた。
「先生、出来ました!」
と、気を抜いた瞬間他の属性の光まで混じってしまった。
「イメージは掴めたようですね。集中して、今度はライトニングロットに雷属性の魔力を通してみて下さい」
先程と同じように雷をイメージしてピリピリと感じる魔力をライトニングロットに集める。すると、昨日は光らなかったコアに光が灯った。その状態で設置された的めがけて杖を振ると一筋の雷が杖の先から飛び出した。丸焦げになった木の的を前に、興奮が押し寄せる。
夢じゃない。確かに今、魔法を使ったんだ!
「すごい、先生……今、雷が!」
「コツさえ掴めば簡単でしょう? さぁ、今度はあちらの的を狙って下さい」
「はい、先生!」
本当にコツさえ分かれば簡単に魔法が使えるようになった。最初は動かない的で訓練し、休憩を挟んだ後は動く的を狙って訓練した。
「的の動きをよく見て下さい。次はどこに動くか予測して、魔法を放つのです」
「はい、先生!」
「中々いいですよ、リオーネ。じゃあ次はこれを!」
「はい、先生! って、飛んだ! 的が飛んでますよ!」
「全てのモンスターが地を這っているわけではありません。さぁ、やり方は一緒です。しっかり狙って撃ち落として下さい」
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