ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
25話ー呼び出された4人ー
プライベートで顔を合わせるのとはなにか雰囲気が違う、そして上司の前もあり自分から意気揚々と話しかけることはせず……。
「RB軍曹、祠堂雛樹、どのような用件でここに?」
「なんだよえらくよそよそしいな、ターシャ。フルネームで呼ぶとか……」
「勤務中です、祠堂雛樹。私のことは結月少尉と……」
「そんな分かりやすぅ尻尾振ってもうて、なぁに言うとるのんこの子はもぉ。ええんよ、うちらに遠慮せんでも。今のうちににぃやんに甘えときぃな」
「や、やめてください蘇芳少佐」
にやにやと悪戯な笑みを浮かべながらそう言った蘇芳少佐だったが、静流は少々焦りを見せ、戸惑いつつも自分を律した。
背後で姫乃がくすくすと笑っているのも聞こえていたが、敢えてそれには反応せず……。
「……で、どのような用で来られたのですか」
「ふはっ」
立て直し、もう一度その質問をした静流に雛樹がどうしても耐えきれず吹き出してしまった。
恥ずかしさで顔を真っ赤にし、少しばかり肩を震わせ、口を堅く結びつつ少々涙を浮かべたような状態の静流など見たことがなかったからだ。
「ぅぐうううぅぅ……!!」
「よ、呼び出されたんだよアルビナさんに。要件はこれから聞くところでさ」
隣で声を殺しつつも大笑いしているRBを横目に、唸りだした静流にさすがにやばいと思った雛樹はすぐに質問を返した。
静流の隣で口元を扇子で隠しつつも、こらえきれない笑みを浮かべながら“ほんま静流はん愛らしいわぁ”などと言っている蘇芳少佐を新田大尉が窘めているようだ。
「そうなんですか? なんの用でしょう……。私は何も聞かされていませんが」
「呼び出された時間も被ってるみてェだぜ。あんたらもじゃねェのか」
「ほやねぇ。うちら4人まとめて呼び出されとるみたいやね。なんの御用やろ」
階級的に格上の相手であるにかかわらず、RBはいつものように礼儀のなっていない口調で話すが、蘇芳少佐も新田大尉も全く気にかける様子はなく、平然と返答していた。
「ッハ、どうせろくなことじゃねェよ。この面子がまとめて呼ばれたってんならよ。ルーキーはどうだかしらねェが。なあ、ノックノック」
「せっかく奥に引っ込んどったのに話しかけてくんなやRB」
「まだあんなオモチャに乗ってんのか?」
「オモチャやないっつっとるやろ。呼び出されとんのやからはよいけや、あほう」
「相変わらずな野郎だぜ。ヘイ、行くぞ祠堂」
「ああ、うちらも同行させてもらうわ。ほなまたねみなさん」
そう言って4人揃ってアルビナの書斎に向かおうとした。
雛樹はどことなく静流と目が合わせづらく、何かを話すことなくすぐ隣を通って行ってしまう。
静流の方はなにか声をかけたそうなそぶりを見せてはいたのだが……。
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