ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
ー二人の仲ー
散々悩んだ末、まあ問題ないかと口をつけさせたのだが……。
「これおいしくなぁい」
コーヒーを飲ませた時と同じような反応を返された。
ガーネットは随分と食べ物の好き嫌いの差が激しいようだ。
雛樹はこれを察していたため、酒を与えたのだが……対照的に静流は。
「ヒナキ、私もそのお酒欲しいですが?」
「そ、そうなのですか?」
「さっさとよこすといいと思います」
雛樹が口をつけたグラスにガーネットが口をつけ、まずいと返しさらにそれに口をつけた雛樹のグラスに入った酒を欲しがるという、なぜかおかしな対抗心を燃やしている静流にグラスを渡す。
すると、間接キス……などと乙女チックなことを微塵とも思っていないような素振りで、グラスの中身を一気に呷った。
「お、おい大丈夫か。あんまり呑むとぶっ倒れるぞ」
「私がそんな弱い女に見えますか?」
いくら飲んでも顔色一つ変えないアルビナの血を引いているのだ。
静流が酒に強くても、全く不思議ではないのだが……。
なぜか火花が見える。いや、実際に見えるわけではないのだが、静流とガーネットの剣呑な目つきが突き合っているように見えた。
対抗しようとしたのか、ガーネットは甘いオレンジジュースを呑み始め……。
「これなら飲めるしぃ」
「……」
静流が剣呑な目つきを向ける理由と、ガーネットがそれを向ける理由は違うようだ。
静流自身、ガーネットが雛樹と共にいることで芽生えるこの黒い感情の正体はわからないままでいた。
しかし、なぜか我慢できないのだ。いくら大人気ないとわかってはいても。
昔世話になっていた頃があるため、今世話をされているガーネットのことが羨ましいといえば羨ましい。
しかし、今は別段世話をされたいわけではない。海上都市に慣れていない雛樹の面倒を見たかったのだ。
それこそ、昔の恩返しのつもりで。
「ターシャ、こいつはかなり不思議なやつでさ、俺に気を遣ったりなんだり、随分と大人びたことができるやつなんだ。けど、ほんと世間知らずでその辺はまだ可愛いもんなんだが……そう」
あまり嫌わないでやってくれと、雛樹は言った。
「お前もだぞ、ガーネット」
「やだぁ」
こういうところがまだまだ子供っぽく見える要因なのだろう。要するに、二人とも意地っ張りの跳ねっ返りなのだ。
静流とターシャがお互いをよく思っていないのは、それこそ雛樹が都市に来る前からの因縁のようなものなのだが。
そんなことを雛樹は知らない。だから、簡単に中を取り持とうとしてしまう。
本来ならば、馴れ合うべきではないのだ。
結月少尉と、ステイシス=アルマは。
「坊や、若い奴らの相手をするのもいいが、少し付き合え。たまには昔の話もしようじゃないか」
「アルビナさん……俺、あんたにボコられてたことしか思い出せないんですよ……」
「はっは、その時と比べたら随分立派になったものだ。そもそもあの頃は……」
と、酒が入って上機嫌なアルビナが雛樹を連れて行ってしまった。
その場に残ったのは、ガーネットと静流の二人。
静流はすぐに葉月や姫乃に拉致されてしまったが……。
ガーネットは広間の隅でジュースと豪華な食事を堪能していた。
正直、雛樹が離れてしまうと寂しいのだが……それはなぜなのか。
お父様と離れても、こんな気持ちにはなりはしなかった。
それでも、雛樹が楽しそうにしているのならそれでいいとも同時に思う。
「あ、これおいしぃ」
……と、一人で気づいてもどこかおもしろくない。
そういえば、美味しいものを食べさせてくれていたのは雛樹だった。
つまり、自分が食物を美味しいと言った場には必ず雛樹がいた。
おいしいと言った自分に対してなにか反応を返してくれる。
そんな相手がいないからか。
「これおいしくなぁい」
コーヒーを飲ませた時と同じような反応を返された。
ガーネットは随分と食べ物の好き嫌いの差が激しいようだ。
雛樹はこれを察していたため、酒を与えたのだが……対照的に静流は。
「ヒナキ、私もそのお酒欲しいですが?」
「そ、そうなのですか?」
「さっさとよこすといいと思います」
雛樹が口をつけたグラスにガーネットが口をつけ、まずいと返しさらにそれに口をつけた雛樹のグラスに入った酒を欲しがるという、なぜかおかしな対抗心を燃やしている静流にグラスを渡す。
すると、間接キス……などと乙女チックなことを微塵とも思っていないような素振りで、グラスの中身を一気に呷った。
「お、おい大丈夫か。あんまり呑むとぶっ倒れるぞ」
「私がそんな弱い女に見えますか?」
いくら飲んでも顔色一つ変えないアルビナの血を引いているのだ。
静流が酒に強くても、全く不思議ではないのだが……。
なぜか火花が見える。いや、実際に見えるわけではないのだが、静流とガーネットの剣呑な目つきが突き合っているように見えた。
対抗しようとしたのか、ガーネットは甘いオレンジジュースを呑み始め……。
「これなら飲めるしぃ」
「……」
静流が剣呑な目つきを向ける理由と、ガーネットがそれを向ける理由は違うようだ。
静流自身、ガーネットが雛樹と共にいることで芽生えるこの黒い感情の正体はわからないままでいた。
しかし、なぜか我慢できないのだ。いくら大人気ないとわかってはいても。
昔世話になっていた頃があるため、今世話をされているガーネットのことが羨ましいといえば羨ましい。
しかし、今は別段世話をされたいわけではない。海上都市に慣れていない雛樹の面倒を見たかったのだ。
それこそ、昔の恩返しのつもりで。
「ターシャ、こいつはかなり不思議なやつでさ、俺に気を遣ったりなんだり、随分と大人びたことができるやつなんだ。けど、ほんと世間知らずでその辺はまだ可愛いもんなんだが……そう」
あまり嫌わないでやってくれと、雛樹は言った。
「お前もだぞ、ガーネット」
「やだぁ」
こういうところがまだまだ子供っぽく見える要因なのだろう。要するに、二人とも意地っ張りの跳ねっ返りなのだ。
静流とターシャがお互いをよく思っていないのは、それこそ雛樹が都市に来る前からの因縁のようなものなのだが。
そんなことを雛樹は知らない。だから、簡単に中を取り持とうとしてしまう。
本来ならば、馴れ合うべきではないのだ。
結月少尉と、ステイシス=アルマは。
「坊や、若い奴らの相手をするのもいいが、少し付き合え。たまには昔の話もしようじゃないか」
「アルビナさん……俺、あんたにボコられてたことしか思い出せないんですよ……」
「はっは、その時と比べたら随分立派になったものだ。そもそもあの頃は……」
と、酒が入って上機嫌なアルビナが雛樹を連れて行ってしまった。
その場に残ったのは、ガーネットと静流の二人。
静流はすぐに葉月や姫乃に拉致されてしまったが……。
ガーネットは広間の隅でジュースと豪華な食事を堪能していた。
正直、雛樹が離れてしまうと寂しいのだが……それはなぜなのか。
お父様と離れても、こんな気持ちにはなりはしなかった。
それでも、雛樹が楽しそうにしているのならそれでいいとも同時に思う。
「あ、これおいしぃ」
……と、一人で気づいてもどこかおもしろくない。
そういえば、美味しいものを食べさせてくれていたのは雛樹だった。
つまり、自分が食物を美味しいと言った場には必ず雛樹がいた。
おいしいと言った自分に対してなにか反応を返してくれる。
そんな相手がいないからか。
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