ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第3節ー軍港待機ー
午前3時30分、センチュリオンノア西側1から3番軍港では、ドミネーター制圧二脚機甲部隊を乗せた輸送艦が数隻出航しているようだ。
その後方では、物資の積み込みが終わった輸送艦の付近に停泊している護衛艦数隻。
その乗り込み十数分前、まだ星も月も出ているような夜空の下で、装備を整えた雛樹とフードとマント、そしてマフラーをまとったステイシスが待機していた。
「しどぉ、ねむぅい……」
「乗り込んでからいくらでも寝られるから、もう少し我慢してくれ」
「んん……」
昨夜、どうやらステイシスは外に出て初のお仕事ということで随分高揚していたらしく、なかなか寝付かなかった。
4時間ほどしか寝ていないため、随分眠たそうである。顔はフードとマフラーで隠れているが、そろそろ限界なのが雰囲気でわかるほどだ。
「だからしっかり寝とけって言ったのに……」
そう言う雛樹も随分眠たそうだ。ずっと起きて落ち着きがなかったステイシスに付き合わされ、彼もまたそんなに寝ていない。寝付いたのはステイシスが寝てからだったのだ。
西側のゲートが開き強く入り込んできている、湿気を孕んだ潮風が今は鬱陶しいくらいだ。眠気をおして待機していると、こちらに近づいてくる二人分の足音を背後に聞き、振り向くと……。
「よォ、祠堂雛樹」
「RB軍曹……と伊庭か」
「少尉が抜けてるぜ無階級」
リストに載っていた、大手軍事企業GNCから派遣されてきた戦力二人。彼らもまた、輸送部隊の護衛任務に就くことになっている筈だ。
しかし、1から4まである護衛部隊の中で第2部隊である彼らと第1部隊である雛樹やステイシスでは乗り込む艦が違うはずだ。わざわざ挨拶しに来たのだろうか。
「いや、見知った顔がいたもんだからよ。周りはほとんど知らねェ奴らばっかりだしな。えらい負傷したってなァ聞いてたが元気そうじゃねェか」
「ああ。方舟の医療設備は随分いいみたいだ」
「ッハ、そりゃ本土よりは間違いなく整ってるだろうよ。全身えらいことになっても瞬く間に治っちまうからな」
RBはそこで嫌なことでも思い出しているのか、表情が渋いものになった。
「はぁくだらねー。何が嬉しくてこいつら底階級の奴らと同じ任務に就かなきゃなんねーんだよ。周りを見てみろ、ゴミのような奴らばっかだぜ」
お前も含めてなと、言いたげな目線を送ってきた伊庭だったが、雛樹は自分自身で新人だということを自覚しているために仕方ないかといった心持ちではあった。
まあ、少しばかり因縁のある人間にそう言われると腹の立つところはあったが。
「あんたも他と比べて見劣りしないゴミだけどぉ?」
「あん? なんだこのチビ……」
雛樹は背筋に寒気を覚えた。さっきまで眠そうにしていたステイシスが、声に怒気を孕ませて言い放ったその言葉に。
ステイシスのフードを取ろうとした伊庭少尉だったのだが……。
「止めとけ伊庭少尉」
真面目な口調で、RBに止められて引き下がった。
その後方では、物資の積み込みが終わった輸送艦の付近に停泊している護衛艦数隻。
その乗り込み十数分前、まだ星も月も出ているような夜空の下で、装備を整えた雛樹とフードとマント、そしてマフラーをまとったステイシスが待機していた。
「しどぉ、ねむぅい……」
「乗り込んでからいくらでも寝られるから、もう少し我慢してくれ」
「んん……」
昨夜、どうやらステイシスは外に出て初のお仕事ということで随分高揚していたらしく、なかなか寝付かなかった。
4時間ほどしか寝ていないため、随分眠たそうである。顔はフードとマフラーで隠れているが、そろそろ限界なのが雰囲気でわかるほどだ。
「だからしっかり寝とけって言ったのに……」
そう言う雛樹も随分眠たそうだ。ずっと起きて落ち着きがなかったステイシスに付き合わされ、彼もまたそんなに寝ていない。寝付いたのはステイシスが寝てからだったのだ。
西側のゲートが開き強く入り込んできている、湿気を孕んだ潮風が今は鬱陶しいくらいだ。眠気をおして待機していると、こちらに近づいてくる二人分の足音を背後に聞き、振り向くと……。
「よォ、祠堂雛樹」
「RB軍曹……と伊庭か」
「少尉が抜けてるぜ無階級」
リストに載っていた、大手軍事企業GNCから派遣されてきた戦力二人。彼らもまた、輸送部隊の護衛任務に就くことになっている筈だ。
しかし、1から4まである護衛部隊の中で第2部隊である彼らと第1部隊である雛樹やステイシスでは乗り込む艦が違うはずだ。わざわざ挨拶しに来たのだろうか。
「いや、見知った顔がいたもんだからよ。周りはほとんど知らねェ奴らばっかりだしな。えらい負傷したってなァ聞いてたが元気そうじゃねェか」
「ああ。方舟の医療設備は随分いいみたいだ」
「ッハ、そりゃ本土よりは間違いなく整ってるだろうよ。全身えらいことになっても瞬く間に治っちまうからな」
RBはそこで嫌なことでも思い出しているのか、表情が渋いものになった。
「はぁくだらねー。何が嬉しくてこいつら底階級の奴らと同じ任務に就かなきゃなんねーんだよ。周りを見てみろ、ゴミのような奴らばっかだぜ」
お前も含めてなと、言いたげな目線を送ってきた伊庭だったが、雛樹は自分自身で新人だということを自覚しているために仕方ないかといった心持ちではあった。
まあ、少しばかり因縁のある人間にそう言われると腹の立つところはあったが。
「あんたも他と比べて見劣りしないゴミだけどぉ?」
「あん? なんだこのチビ……」
雛樹は背筋に寒気を覚えた。さっきまで眠そうにしていたステイシスが、声に怒気を孕ませて言い放ったその言葉に。
ステイシスのフードを取ろうとした伊庭少尉だったのだが……。
「止めとけ伊庭少尉」
真面目な口調で、RBに止められて引き下がった。
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