異世界転移~俺は人生を異世界、この世界でやり直す~
理不尽
メールタットの市場は、王都程では無いがなかなかの盛況ぶりだった。
この町でいう商業地区はストリート沿いに店があるという形では無く、円状の広場を囲むように露店が展開され、その円の中心付近にも背中合わせで露店が構えられている。
「王都ほどではないっすけど、けっこう賑やかとは思わないっすか?」
現在、コリンをガイドとして町を散策している。心なしか誇らしげに胸を張る姿は微笑ましい。
「ここが店の主要な地区になるんすけど、一応他にもちゃんと店はあるっす」
「なるほどな」
主要地区とだけあって日用品から食べ物、剣や防具を売ってる店もある。他にも骨董品のようなものや、変な置物、アクセサリーなどもある。
色々と店を物色していたところ、ふとティミーが口を開いた。
「あれ、ミアちゃんは?」
ほんとだ、ミアの姿が無い。
来た道を振り返ると、露店の一角で、ミアが何かを見ているところを発見したので呼びに行ってやる。
「どうしたミア?」
声をかけると、ミアはビクリと肩を揺らし素早くこちらを振り返った。
「べ、別にこんな可愛いのほしくないわよ!?」
え、何、俺まだ何も言ってないんだけど。
ミア肩越しに、その露店を覗いてみると、そこには可愛らしいぬいぐるみの数々が置かれていた。この世界にも存在するんだなこういうの。
「けっこう好きなのか?」
「そんな事あり得ないわ!」
眼を吊り上げ顔を赤くしながら全否定。いやでもさっき可愛いのって言ってよね? ちゃんと聞いたよ?
でもそうか、よくよく考えればもう今年で十六にもなる子がぬいぐるみっていうのもどうなんだろ……。確かに触れられたくない事なのかもしれない。
まぁ俺としては可愛いからいいと思うんだけど。てか日本では割とJKがぬいぐるみ云々ってオーソドックスじゃないかな? 俺もたまに思うよ、可愛いから欲しいなって。え、それはおかしい?
「まぁ気にするなよ。俺はいいと思うぞ」
ミアの意をくんで肩をポンと叩き、振り返らずその場を去ってやることにする。
よし、今度はちゃんと頭に手は乗せなかったぞ。
「ちょ、待ちなさいよ、違うって言ってるじゃない!」
背を向けているので表情は窺い知れないが、なんとなく顔を真っ赤にしてる表情が思い浮かぶ。そんなに恥ずかしがらなくていいぞ。ぬいぐるみ万歳。
「ま・ち・な・さ・い!」
感傷にも似た気分を味わっている刹那、むこうずねに激痛。
思わず身をかがめ、上を見上げるとミアが大層お怒りの様子で仁王立ちしていた。
この仕打ちは断固抗議する。
「ミア、ここは学院じゃないんだ。普通に痛いから」
「フンっ、アキが悪いんだから!」
「俺はただ気を遣ってだな……」
「あれ?」
不意にミアの目線が別の所に行くので、俺もその後を追ってみる。
「バリクさんと……ファルクか?」
「そうみたいね」
目線の先では、何やら話したバリクさんとファルクが、そろってこの商店街を後にしていた。
なんでまたあの組み合わせなんだろう? いやでもそうか、上司と部下なら別に自然と言えば自然だ。たぶんたまたま出くわしたってところだろう。
「どうしたの二人とも~」
しばらく二人が去った後を見つめていると、少し先でティミーの呼ぶ声がした。
あんまり待たせちゃ悪いよな。
「で、どうするんだ? また見ときたかったら見といてもいいぞ、ぬいぐるみ」
「見るわけないでしょ! 馬鹿!」
最後に罵声を浴びせると、ミアはつかつかとティミー達の元へと歩いて行ってしまったので後に付く。
とにもかくにもまた蹴られなくて良かった。
「おかえり、ミアちゃん何してたの?」
「あ、あれよ? ちょっと仕事上必要な物が……」
言い訳考えてなかったのかこの子。それは流石に苦しいんじゃないのか?
「仕事上……。よく分からないけど、もう大丈夫? まだ見ててくれても……」
「見ないわよっ!」
「う、うん……ごめん」
ティミーがしょんぼりとした様子を見せる。
「ち、違うのよ、別にそういうじゃなくて……そうよ、ティミーが謝る事ないわ! 謝るのはアキよ!」
「は?」
いやいやいや、おかしいだろその理不尽は! いや理不尽だからおかしいんだけど!
「アキまた何かしたの……昔みたいに……」
ジトーっとしたティミーの目線が俺に突き刺さる。
昔? 昔何かしたっけ!? ああ、そういえば大会の時か、キアラの策略によってケダモノ扱いされたことがあるけどそれかな!
「アキ先輩、尊敬はしてますけどそれだけはないっすわー」
なんでコリンまでそんな目で俺を見るんだ! てかそれってなんだよ、まだ誰も何も言ってないよね!
クッ、何故こんな目に遭わなきゃならないのか……。
つくづく思う。世界は理不尽でできている、と。
この町でいう商業地区はストリート沿いに店があるという形では無く、円状の広場を囲むように露店が展開され、その円の中心付近にも背中合わせで露店が構えられている。
「王都ほどではないっすけど、けっこう賑やかとは思わないっすか?」
現在、コリンをガイドとして町を散策している。心なしか誇らしげに胸を張る姿は微笑ましい。
「ここが店の主要な地区になるんすけど、一応他にもちゃんと店はあるっす」
「なるほどな」
主要地区とだけあって日用品から食べ物、剣や防具を売ってる店もある。他にも骨董品のようなものや、変な置物、アクセサリーなどもある。
色々と店を物色していたところ、ふとティミーが口を開いた。
「あれ、ミアちゃんは?」
ほんとだ、ミアの姿が無い。
来た道を振り返ると、露店の一角で、ミアが何かを見ているところを発見したので呼びに行ってやる。
「どうしたミア?」
声をかけると、ミアはビクリと肩を揺らし素早くこちらを振り返った。
「べ、別にこんな可愛いのほしくないわよ!?」
え、何、俺まだ何も言ってないんだけど。
ミア肩越しに、その露店を覗いてみると、そこには可愛らしいぬいぐるみの数々が置かれていた。この世界にも存在するんだなこういうの。
「けっこう好きなのか?」
「そんな事あり得ないわ!」
眼を吊り上げ顔を赤くしながら全否定。いやでもさっき可愛いのって言ってよね? ちゃんと聞いたよ?
でもそうか、よくよく考えればもう今年で十六にもなる子がぬいぐるみっていうのもどうなんだろ……。確かに触れられたくない事なのかもしれない。
まぁ俺としては可愛いからいいと思うんだけど。てか日本では割とJKがぬいぐるみ云々ってオーソドックスじゃないかな? 俺もたまに思うよ、可愛いから欲しいなって。え、それはおかしい?
「まぁ気にするなよ。俺はいいと思うぞ」
ミアの意をくんで肩をポンと叩き、振り返らずその場を去ってやることにする。
よし、今度はちゃんと頭に手は乗せなかったぞ。
「ちょ、待ちなさいよ、違うって言ってるじゃない!」
背を向けているので表情は窺い知れないが、なんとなく顔を真っ赤にしてる表情が思い浮かぶ。そんなに恥ずかしがらなくていいぞ。ぬいぐるみ万歳。
「ま・ち・な・さ・い!」
感傷にも似た気分を味わっている刹那、むこうずねに激痛。
思わず身をかがめ、上を見上げるとミアが大層お怒りの様子で仁王立ちしていた。
この仕打ちは断固抗議する。
「ミア、ここは学院じゃないんだ。普通に痛いから」
「フンっ、アキが悪いんだから!」
「俺はただ気を遣ってだな……」
「あれ?」
不意にミアの目線が別の所に行くので、俺もその後を追ってみる。
「バリクさんと……ファルクか?」
「そうみたいね」
目線の先では、何やら話したバリクさんとファルクが、そろってこの商店街を後にしていた。
なんでまたあの組み合わせなんだろう? いやでもそうか、上司と部下なら別に自然と言えば自然だ。たぶんたまたま出くわしたってところだろう。
「どうしたの二人とも~」
しばらく二人が去った後を見つめていると、少し先でティミーの呼ぶ声がした。
あんまり待たせちゃ悪いよな。
「で、どうするんだ? また見ときたかったら見といてもいいぞ、ぬいぐるみ」
「見るわけないでしょ! 馬鹿!」
最後に罵声を浴びせると、ミアはつかつかとティミー達の元へと歩いて行ってしまったので後に付く。
とにもかくにもまた蹴られなくて良かった。
「おかえり、ミアちゃん何してたの?」
「あ、あれよ? ちょっと仕事上必要な物が……」
言い訳考えてなかったのかこの子。それは流石に苦しいんじゃないのか?
「仕事上……。よく分からないけど、もう大丈夫? まだ見ててくれても……」
「見ないわよっ!」
「う、うん……ごめん」
ティミーがしょんぼりとした様子を見せる。
「ち、違うのよ、別にそういうじゃなくて……そうよ、ティミーが謝る事ないわ! 謝るのはアキよ!」
「は?」
いやいやいや、おかしいだろその理不尽は! いや理不尽だからおかしいんだけど!
「アキまた何かしたの……昔みたいに……」
ジトーっとしたティミーの目線が俺に突き刺さる。
昔? 昔何かしたっけ!? ああ、そういえば大会の時か、キアラの策略によってケダモノ扱いされたことがあるけどそれかな!
「アキ先輩、尊敬はしてますけどそれだけはないっすわー」
なんでコリンまでそんな目で俺を見るんだ! てかそれってなんだよ、まだ誰も何も言ってないよね!
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