AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と自己紹介 その20



 夢現空間 居間


「なかなか時間を取れなくなったな。いつも率先して動いてくれるのはいいが、時々休まないと駄目だぞ」

「むぅ。そうは言われてもだな、もともとメルスに与えられた仕事が多かったのが悪い。己はそれを手伝おうとしただけで、特段やる気に満ち溢れているわけじゃない」


 忠犬よろしくバリバリ働くので、関係各所からお礼の連絡がよく回ってくる。
 こうして当然のことだと言っている彼女だが、尻尾が正直に揺れているのがとても可愛らしい。


「いっしょに休んでやるからさ。さて、そろそろ始めるか──ついに数字も10から20へ移りました! 第二十回自己紹介のお時間がやってきましたよ!」

「ついの己の番が来たのか」

「今回のゲストはこの方! 聖獣にして魔獣にして遺伝子操作のスペシャリスト──クエラムさんでございます!」

「うむ、よろしく頼む」

「ちなみに、リョクとは似たような寵愛入りなので仲がいいそうです」

「ある意味で先輩だからな」


 これから先も増えるのかな?
 あのドM勇者は別として、できる限り俺が原因で変態TSするのは控えてほしい。


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「問01:あなたの名前は?」

「クエラム」


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

「元雄で現女、聖域、神歴1820年12月29日だ」

「聖域ってなんだ?」

「端的に言えば、聖獣の長が創る聖獣が住みやすい領域のことだ」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

「獅子の耳に蝙蝠の翼、緑竜の尾。あとは白髪と紫の瞳だな」


「問04:あなたの職業は?」

「合成師」


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

「一度決めたら最後までやり抜くぞ」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

「遺伝子の研究だ。因子に関しても学修に努めている」


「問07:座右の銘は?」

「一合一得。つまりは組み合わさることで必ず何かを得ると言うことだ。失敗も成功もすべては知識として得られる」


「問08:自分の長所・短所は?」

「どちらも割り切りが良いこと、だと自負しているぞ」


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

「好きなものはメルスとそれに連なる者、嫌いなのは己を捕まえた帝国の者共だ」

「まあ、いつか残ってたら研究所だけでも滅ぼそうぜ。まだその研究をやってたら」


「問10:ストレスの解消法は?」

「今は……ストレスを感じないからな。あの頃に比べればとても居心地がいい」


「問11:尊敬している人は?」

「メルスが圧倒的にトップだが──二、三となれば研究をする者たちだ。己が分からないことがあっても、尋ねればたいていのことは教えてくれるからな」


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

「遺伝子改変は、あまり己自身に使わないことだ。元が分からなくなるからな」

(初期にデータは取ってあるから、いつでもバックアップから復元できる……ってことは内緒にしておこう)


「問13:この世で一番大切なものは?」

「家族」


「問14:あなたの信念は?」

「決して洗脳などされない」


「問15:癖があったら教えてください」

「感情に合わせて身体特徴が揺れるな」

「よく発現するものは?」

「やはり獣系の特徴が多く出るぞ」


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

「ツッコミだ」


「問17:一番嬉しかったことは?」

「己をメルスが救ってくれたことだ」


「問18:一番困ったことは?」

「帝国の所存が未だ分からぬことだ」

「現在調査中だ、今後をご期待で」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

「なんでも飲めるのだが……ジン・フィズというものが気に入っているな」

「結構難易度が高いヤツだからな、それ」


「問20:自分を動物に例えると?」

「多すぎて例えきれん」

(たぶん犬だ、忠犬っぽいから)


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

「クエラムンというのがあったな」

「ユラルか……他にはあるか?」

「ヒメーレ、とメルスが呼んだな」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

「……操られていたとはいえ、ティルの国をほろぼしてしまったこと」


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

「帝国を根絶やしにする……特に研究所」


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

「初めの頃はすべてを憎んでいたが……今では悪くないと思っている」


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

「攫われる前にアイツらを殺したい」


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

「世界が無くなる前に帝国を亡ぼす」


「問27:何か悩み事はありますか?」

「帝国が見つからない」

「だから待ってろって」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?


「実験をされていた頃は何度も思った」


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

「特に無いな」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

「メルスたちの役に立つ死に方だ」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

「愚かだった己は帝国に捕まり何度も何度も体を弄られた。己は束縛から救われ、メルスと共に生きることを決めた。だが必要以上に抱え込むことが正しいと思うお前は己よりも愚かだ」

「…………」


「問32:最後に何か一言」

「己もメルスもそこは変わらん、だから少しは背負わせてくれ。共に歩もうじゃないか」


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「はいカット! なんか最後のプロポーズみたいだったぞ」

「うむ、そのつもりだからな。さて、今夜は共に眠ろうじゃないか……安心しろ、裸で抱き合って体を温め合うだけだ」

「断る!」


 本当にユラル、リアと続いて恥ずかしい展開となっている。……え、この時間って告白タイムだったっけ?


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