AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と放映試合 その01
夢現空間 修練場
「…………ふわ~」
ドドドドッ ベキッ シュパッ チュドーン
テンションに任せてガン◯ムを造ったりアイリスに色々と言っちゃったりしたため、再び俺のテンションはダウンしている。
現在は"不可視の手"で宙に浮かび、ただ何も無い空間を見つめていた。
ザクザクッ ピチュンッ ズドンッ ゴゴゴッ
いや、やることはあるんだよ。
次の目的地がダンジョンなのは確定しているから、それに向けての準備とかもあるし。
でも、それをすぐにやらなきゃいけないってわけじゃないからさ~。
「ま、今日も平和だな~」
《いい加減に気付いてください》
「(……ん? どうしたんだ、アン)」
《下を見てください下を》
「(下って言われても……あっ)」
透明な手を越して見えてきたのは、世紀末の光景であった。
空を飛ぶ衝撃波や色取り取りの魔法、後は光の柱などである。
そんな一つ一つが国を滅ぼす威力を持つ攻撃が――"不可視の手"に向かって放たれた。
さすがにそれを放置するわけにはいかないので、アンに苦情を申し立てる。
「(ちょっとちょっと、アンさん! 一体何がどうなったらこんな最終戦争みたいな惨劇が俺に向かってくるのさ!)」
《……暇潰しです》
「(暇潰しで殺られてたまるか!)」
高速で念話を行う間も、眷属たちの暇潰しは続いている。
"不可視の手"は本来、ちょっと硬いだけでサポート用の能力だ。
原理は未だに解明されていないが、{感情}――というか【怠惰】のLvが上がっていく毎に強度や生やせる最大本数、それにできることが増えていたので、まあ因子が作用した、と言うわけでもないだろう。
強度は一応真銀級(戦車の砲撃を防げる)のものなのだが、その程度で彼女たちの攻撃を防ぐのは難しい。
実際、少しずつ罅が入っていく音が鳴っている。
それでも無事なのは、俺が魔力やら神氣やらを流し込んで強度を戻しているからだ。
「(俺ってみんなのご主人様だよ!? どうしてこんなシューティングゲームみたいに狙われなきゃならないのさ!)」
《そう仰るのならば、水平移動を止めればいいのではないのですか?》
「(下に下がったら威力が上がるし、上はもう拡張限界だよ!)」
下に行ったら上に逝くとは……現実はとても厳しいです。
"不可視の手"を必死に操作して、横々無尽に移動する。
うん、縦横無尽ではないからな。
高速で魔力を消費しているのでたまに切れそうになるが、"不可視の手"に(掌握)と"奪魔掌"の力を付与して補充を行っていく。
いつの間にか、二つまでなら{感情}内のスキルを複合的に扱えるようになっていた。
とっくにCSしてるはずなんだけどな~。
「(……それで、アン。お前は攻撃に加わっていないみたいだが……何故にカメラを構えてるんだ?)」
《メルス様の有志を、全国へと生放送しているからです》
現在、アンは修練所の扉付近でカメラを装備している(TVとかで使われる高いヤツ)。
俺が見ていると気付くと、親指をグッと上げてサムズアップしてきた。
そっかー、全国に放送しているのか~って全国だとっ!?
「(――ちょっと待てアン。もしかして、子供たちも見てるのか?)」
《ええ……メルス様が何もないのに宙を飛んで、自身の眷属たちに集中砲火されている映像が、全国の子供たちに放映中で――》
「良いか、子供たち! 王様が張り切って薙ぎ倒していく姿を篤とご覧あれだ!」
『『『………………』』』
ビキッ! バキッ! スパッ! ドガッ!
「(あ、あれ~? アンさん、急に攻撃が激しくなったんだが……それに、強くなり過ぎて移動装置が崩壊し始めたんだけど……)」
《【嫉妬】では?》
「(いや、これは絶対違うと思うぞ。俺、鈍感系主人公じゃないから普通に分かるし、鈍感系主人公でもこれが恋愛に関した行動でないことは分かると思う。絶対に【憤怒】しただけだろ)」
ほらほら見て視て、ティルちゃんの飛ばした斬撃が――次元毎"不可視の手"を斬り裂いていったよ。
うわー、怖~い。
《アンタ、次は本体狙うわよ》
「(すいません、悪気は無かったんです。と言うか、どうしてそんな遠い所から思考が読めるんですか)」
《ふん、内緒よ内緒》
思考を読まれ、突然ティルからの死の宣告が届けられる。
あっぶねー、てっきり届かないと思って油断してたわ~。
そういう技能も鍛えられるんだな。
今はティル対策も展開したから、とりあえずは問題なしだ。
……いつかこれも破られるだろうし、早めにアップデートしておかないとな。
「(――って、今はどうにかしないと駄目だっとわぁあああああああああ!!)」
ついに"不可視の手"が破られ、俺は地面へと真っ逆さま……になって堪るか!
(――"神翼生成""結界生成""魔法反射")
身に纏う『創糸の天衣』の持つスキルを発動させ、攻撃へ対処していく。
「ドゥル……は敵側にいるから駄目みたいだな(――"幻劉拳""妖劉拳"【神出鬼没】)」
武器を取り出そうにも時間がないため、拳術の合成武技を発動させ、幻覚系の分身を大量に創ってから姿を消す。
そうしてその隙に武器を取り出そうと思ったのだが……。
『"神樹槍"!』『【茨姫】』『ハッ!』『"獣王武迅"』『"魂撃槍"』『集束魔力砲、発射!』『えいや~』『"邪迅剣"』『"大富豪・10飛び"』『"關神断拳"!』『"毒覇劉爪"』『カァ!』
――その瞬間、視界は光に包まれた。
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