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山田 武

偽善者とハンティング



コネット山脈


 この山脈を挑む前に、ある疑問が頭の中をぎった。

(Q.エリアボスって、エリア内の魔物を殲滅しないと出て来ないんですよね? なら、魔獣が居る場合どうすれば良いんですか?)

 無理無理、ここに居た【白金山羊鹿】を倒せる自信が全く湧いてこない。
 (ESP)なんて、俺に『DOGEZA』を推奨している気がする。

 Lv230? 格上?
 そもそも、勝てるイメージ自体が全くできないんだよ。
 ……と、いうわけでビビっている俺には、ここでの殲滅は無理だ。

 なので、この質問を眷属たちにしてみた。
 すると解答はこうだ――。

《A.魔獣を倒す必要は無い》

 なんでも、エリアボスが登場している最中に、魔獣が出て来たというデータがあるらしいのだ。
 魔獣とは何らかの条件を満たし、魔物とは一線を超えた存在らしい。
 魔物とは別の存在なため、エリアボスへの挑戦の際に出現していても、無視しても良いとのことだ。


「――いいか? 絶対にやるなよ、絶対にやるなよ! 絶対にやるなよ!!」

『仰せのままに、我が王。前振りですね?』

「前振りちっがーう!」


 そんな魔獣への不安を解決してから、受肉したドゥルと共に殲滅を行っていた。

 彼女は受肉によって――髪は白銀、目は濃藍色、身に纏う装備は青い鎧という、いかにも寄せてますって感じの体を得た。

 能力については今は省くが、かなりのチート仕様になっているとのことだ。
 ……やれやれ、どうしてそこまで頑張るんだか。


「俺もお前も、あの魔獣様に勝てないの! ドゥーユーアンダースタンー?!」

『い、イエース』

「分かればよろしい」


 ドゥルはボケ担当のようだ。
 しかし、あの魔獣は本当にアカンやつだからな。
 ドゥルにも真剣になってもらわないと、死ぬのはこちら側になってしまう。

 ……やってはいけないのだ。
 そう、攻撃はしていけない。
 絶対に魔獣に干渉しては駄目なのだ!!


 閑話休題また三回言ったか


「ドゥル、お前独りでやるか? それとも一緒にやるか?」

『では、共にやらせてもらいたいです。今までは、サポートしかできておりませんので』

「そういえば、そうだったな。よし、ドゥルは何を使うんだ? 折角だし、今回俺はお前が使う武器のサポートに徹するよ」

『いえいえ、そんなことを我が王にやらせるわけには……双剣ですね』


 少し粘ったと思ったが、すぐにドゥルは二本の騎士剣を取り出して装備する。
 ……もちろん、金と銀のデザインだ。


「なら……俺には『天魔の創糸』をくれ」

『仰せのままに、我が王』


 受肉しても能力は健在。
 俺の指には、いつの間にか糸が十本結び付いていた……って。


「え? 自動装備機能まで導入されたの?」

『さすが我が王、その通りです。以降は我が王が意識した場所に、注文の品を置くことも可能かと』

「そりゃあ……凄いな」


 一種の瞬間換装としても使用可能だな。
 必要な時に応じてドゥルに念話すれば問題無いんだし、一々"収納空間"にアクセスする必要も無い……便利だな~。


「――よし、そろそろ始めるか」

『そうですね、よろしくお願いします』


 エリアボスを探すための狩り――その最後が今回、行われるのであった。


『――必要ありますか? その前振り』

「全く要らないと思うけどな。様式美だ」


戦闘中の会話集(※面白さを求めていません)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「上手いな~剣術。リーは全然駄目だったんだけどな」

『【武芸千般】も(全武器適性)もありますので、当然かと』

「スキルにだって限界はあるんだ。俺は、お前が多分その限界以上の動きをしていることに感嘆してるんだ」

『我が王の経験は眷属の経験。ティルエ嬢との訓練を経て得た経験も、当然共有されていますので』

「うわっ、聞きたくなかった事実」

◆   □   ◆   □   ◆

「……ドゥル、絶対に手を出すなよ」

『……分かってます。さすがにあの威圧感を感じられない程、私も愚かでないと思いたいです』

「そうか、ならその構えは何なんだ?」

『何と言われましても……あの斬撃の構えですけど』

「やるなって言ってるだろうが!」

◆   □   ◆   □   ◆

『……我が王こそ、何をしているので?』

「俺は魔獣には攻撃しない。少し異星の姫っぽい超科学兵器を使ってるだけだ」

『科学は探求し過ぎますと、己が身を滅ぼしますよ』

「それは何であっても同じだろう。魔法だっていつかは核分裂魔法が誕生するだろうし、錬金術だって不老不死を可能とするだろう」

『……既にそれ以上の魔法を幾つか有しており、スキルによって擬似的な不老不死も可能となっている我が王には、それを権利は無いと思われます』

「俺は【強欲】だからな。ハーレムも求めるし、力も求める……命や若さもだ。いつの時代、どこの世界だって変わりはしない。人は何かを探し、追い、求めるもんだよ。それにな、ドゥル。力も永遠の命も無ければ、眷属と一緒に居られないだろう?」

『そう、かもしれませんね』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「大分狩って来たな」

『残り魔物数――十体を切りました』


 グダグダ言いながらも、着々と魔物を倒していく。
 一度魔獣に会ったというのは冷や汗ものであったが、それ以外問題は起こらなかった。

 ――さぁ、エリアボスへの時は近い!



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