AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と報酬カタログ その05
『……そろそろ、時間ですね』
『プレイヤーがここに居ていい時間って、実は決まってるのよ。初期設定の時だけは、別なんだけどね』
そろそろお別れの時間が来たようだ。
初期設定か~、だいぶ前のことのように感じられるな~。
あのときの俺は、古き良きドット絵に思わずツッコんだ……って、あれ?
「……なあ、初期設定の担当っていうのは一体誰なんだ?」
『GMの誰かが担当するはずですよ。私たちは全員が{多重存在}を所持していますから、全プレイヤーを同時に対応することも可能なのです』
「……それならお前たちの中に、ドット絵の姿で現れる奴っているか?」
『――いいえ、いませんけど。私たちの姿は基本、この姿だけです。衣装を変える程度のことならできますけど……ドット絵になる機能は、聞いたことありません』
『ワタクシにもドット絵は無理ですわ』
……なら、それなら、『ドット・ファミ』とは何者なんだろうか。
「プレイヤーの初期設定は、GMが担当している。だけど、俺の会ったドット絵はGMでは無い。……お前たちに、誰か思い当たる奴はいるか?」
『それでしたら……運営神のどなたかかと思いますよ。第一陣のプレイヤーの一部を、運営神が担当しましたので。何でも、実験的に【固有】スキルを付与するとのことで……』
「なら、アンケートってするのか? 俺は、そのドット絵にアンケートを受けたんだ」
『そんなのやってないわよ。やってどうするのよ、それ。運営神たちならやってるかもしれないけど』
「いや、俺に訊かれてもなー」
その、俺のありのままの姿を見せて答えたが……【固有】スキルは貰えなかった。
何のためにやったかと思ったが、その後に入手した{感情}もあって、すっかり忘れていたのだ。
「……俺としては、運営神以外の神が良いんだけどな。特に■■■って記されている神」
『……本当に色々と知っていますわね。今のプレイヤーで、運営神以外の神々の存在を知れたのは、僅か1%未満ですわよ』
「逆にどうやって知ったんだよソイツら。俺は終焉の島で話を聞けたから分かったけど……普通は、運営神の従属的な存在だと思われるよな」
『実際そんな感じにされてるしね。だからこそ、信仰心が廃れるようになったわけね』
何者なんだろうか、■■■って。
せめて文字化けが解読できれば、調べることができるのに。
『……本当に時間が無くなってきました。
メルスさん、そろそろお願いします』
「……そろそろって何?」
いや、何も聞いて無いんですけど。
『言いましたよね、GMは祝福を与えたプレイヤーを覗くことができると。私とシンクはメルスさんに特別な守護を授けました。運営神でも見れない部分を見るために……』
『だからこそ、メルスが眷属たちにやってきたことも……し、知ってるんだから!』
『ワタクシも見てはいましたので……』
……つまりなんだ? 
全員に、ただでさえ後で悶死したくなるようなことをやれと?
一応はできるようになったけど、結局思い返して恥ずかしくなるようなことをやれと?
さて、ソレってなーんだ?
「無理だn『『『…………』』』――あくまで頬にだからな」
『いいえ』
『と・う・ぜ・ん』
『合わせてください』
「……Oh」
この後、何回か合わせることになった。
感想、レモンの味なんてしなかったわい!
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夢現空間 修練場
――再び目を開けると、そこには巨大な門が聳えていた。
「戻って来たか……」
ステータスを開いてみると、新たに(アオイの守護)が追加されていた。
……うん、分かっていたけどさ。
効果はレイやシンクの物と同じく、一つの属性とステータスを補正するものだった――属性は水で、対象の能力値はDEXだ。
《メルス様、ご無事でしたか?》
「(あぁ、会ったのはレイたちだった。……というか、気付けなかったか?)」
《申し訳ありません、全ての防衛機能が転送された途端に途絶えました。フィールドそのものに、細工があったのかと思われます》
アンからの念話だ。
こういう時には、すぐに連絡してもらえるように頼んであった。
……そうか、無効化されるのか。
シーバラスやクソ女神に会ったとしても、何の対策もできないのならどうしようも無くなるのかもしれないな。
「(分かった。魔方陣の解析と並列して、そっちの対策も練ってくれ。俺も何かアイデアが浮かんだら伝えるから)」
《了解しました》
……無理じゃね?
無理だからこそ、あんな所にプレイヤーを呼び出しているんだし。
スキルの中にも、対応策と成り得る可能性があるものもあるが、100%と言い切れるものは存在しない。
眷属たちに求めれば、それはすぐに用意してもらえると思う……が、今はまだ控えておこう。
{他力本願}のように完全に制御できていないスキルが多いからな。
今のものですらそんな状態なのに、それ以上のスキルが扱えるはずが無い。
もう少し、俺自身が強くなってからだな。
暫くすると、ネロが戻ってくる。
『メルス、どうだったのだ?』
「アンから連絡があったと思うが、俺に問題は無かった。むしろ有益な情報を手に入れられたぞ」
『……いや、そういうことでは無くてな』
「ん?」
『また、増えたのではないのか?』
「ああ……。うん、増えた」
『……メルスの輝きに、新たな変化があったのだ。新しく青色のものが一つ、より輝くようになった白と赤の色が一つずつ……メルスの魂は、よく見ると眷属たちのものに包まれているのだ。それに変化があったということは……な』
ご察しの通りです。
「今の会話で、全員に伝わっただろう。新しく眷属が増える予定だ……眷属結晶を七つ渡したからな」
『そうか……』
「ま、心配してくれたんだな。ありがとう、ネロ」
『こ、コラッ! そんなに頭を撫でるな! 髪がクシャクシャになるではないか!』
「元々は無かったじゃないか」
とりあえず、今はネロを撫でて和もうか。
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