AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と『最弱最強』 その03
……と、アリィを優越しているような演技で誤魔化しているが……状況はかなり深刻だと思われる。
もし本当に、彼女のスキルがカルタのルールを使うことができるというものならば……ロイヤルストレートフラッシュでいきなり上がり(つまり死)をやられたり、ナチュラルブラックジャックでいきなり上がり(つまり死)になるのかも知れない。
トランプゲームにおける上がりが、本当に死に繋がるかどうかは分からないが、敗北=死なデスゲームだったなら……そういうことになってしまうかもな。
何より、アリィのスキルの詳細が全く分からないから、ルールに従うしか選択が無いという状況だ。
どれほど強制力を持ったスキルか……厄介なスキルである。
だからこそ、余裕を見せたまま自分の有利な状況へ、アリィを引き摺り込むしかない!
「さて、なら今度は俺の番だよな?」
『……なんなの? その凄そうなの』
「ゲーム機だよ。ちょっと豪華で希少なだけのな」
『スペース・クラウン』をこの場に引っ張り出して、俺はこの状況を改めようとする。
呼び出された正十二面体は、俺の思いを汲み取ってくれたからか、白い光を仄かに放っていた(うん、凄そうに見えるぞ)。
「とりあえず、この場合は言っておいた方が良さそうだな――さぁ、ゲームを始めよう」
正十二面体に、籠められる限りの神氣を流し込んでいく。
「アリィ、ゲームマスターはお前だけじゃないんだ。それを今、俺とコイツで証明してやるよ」
供給が終わり、正十二面体を中心として、円九分割図を描くように宙へ魔方陣が展開される。
『この魔力量……絶対に強いじゃん! なんで8切りで倒れなかったの!?』
「……目に見えるものが全てでは無い。ま、魔力は目に見えないはずだからそれに当てはまるかどうか微妙なんだがな。さっきも言ったが、強い弱者もその逆も存在しているんだし、アリィのスキルで強い奴が弱くなったとしても逆に強化される奴がいたんだろう。ありがとうな、わざわざ革命してくれて。
それと一応言っておくが、魔力じゃ無くて神力(?)だぞ。これはただ、それを魔力に変換しただけだ(――"遊戯世界")」
再び札を飛ばしてくるアリィにそう告げ、作業を一気にこなしていった。
――そして、一度塗り替えられた世界の法則は、純白の光と共に再び改変される。
『……あ、あれ? カルタの効果が……』
「アリィ以上の力で、俺のルールを世界に順従させた。アリィが再びスキルの効果を使いたいなら、神の力を使った俺を超える力で、スキルを発動させなきゃいけないぞ」
……なんか、すっごい厨二みたいなセリフになったな~。
アリィの持つ4枚の札が光らなくなっているのを確認した後に、ドヤ顔をしてアリィへそう告げる。
「――とはいえ、俺も鬼畜じゃないからな。これから行うゲームに勝てたなら……俺も潔く、アリィの言うことを聞いてやろう」
『いや、いらないんだけど』
「……俺も潔く、アリィの言うことを聞いてやろう」
『本当にいらないから……あ、ここから消えてほしいって願いも聞いてくれる?』
「…………う、うん」
『そっか~、ならやってみようかな?』
居なくなることを要求するため、アリィはやる気になってくれたようだ……俺のたまごボー□並のハートが砕けたこと以外は、全部想定通りに進んでいるな。
「ち、ちなみに、大まかな決まりはこんな感じだ」
正十二面体を一撫ですると、俺とアリィの間に、ホログラムでゲーム設定画面が表示される――。
......................................................................................
ゲーム:名称未設定
制限時間:未設定 参加人数:未設定
内容:未設定
ルール:未設定
終了条件:未設定
盟約01:互いに対等と判断したものを賭けなければならない
02:殺害を禁じる
03:盟約に誓った賭けは、絶対遵守
勝利報酬(アリィ):未設定
勝利報酬(メルス):アリィの眷属化
......................................................................................
「――『未設定』と記された部分は、アリィが自由にしていい。頭で念じれば、念じた内容がそっちのホログラムに反映されるから」
『……この、眷属化って何? 凄い不穏な言葉にしか見えないんだけど』
「衣食住揃ったアットホームな仕事場だ。代価を要求されるが、それなりの暮らしができると約束するぞ……あ、ちなみにこんな物が食べられるな」
俺は"時空庫"から、創り溜めておいたカントリーなマアムを取り出してアリィに渡す。
アリィは最初は訝しげな眼でこちらを疑っていたが、根負けしてそれを食べた。
『こんなのが美味しいはず……ウマッ!!』
「それの別の味もあるけど食べるk『早くそれ頂戴っ!』……お、おう」
血走った目でこちらを見てきたので、大人しく渡してしまったよ。
それから結局、アリィはカントリーなマアム大好きっ娘になるまで、それを食べ続けていたとさ。
『……コホンッ! まあ、アリィが負けなければ関係無い話だしね。いいよ、その勝負受けて立つ!』
「なら、早く内容とかを決めてくれよ。俺はどんなルールでも受けて立つからな」
……カントリーなマアムさん、在庫が全部無くなっちゃったよ。
俺はそのことに少し凹みながら、アリィがゲームを考えている姿を眺めていた。
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