AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者とケルベロス因子
エレト平原
「……というわけで、今回はジャンケン大会の優勝者が、付き添い人になりました」
『……なんでワタシが……』
「大丈夫大丈夫。リーが優勝したときに、歓喜していたことは……内緒にしておくよ」
『い、言ってるじゃないの!』
ギーからも『メルス、リーを(色んな意味で)宜しく』と言われているしな、しっかりと言わないと……駄目だよな?
今回の来訪の理由は当然、特殊フィールドの散策・開放、そしてその先にいる強者との対面だ。
休養はたっぷり取れたし、張り切って行くための準備もバッチリだ。
「……リー、今日の衣装もバッチリだな。似合ってるし可愛いぞ」
『そ、そう……あ、ありがとう』
リーは現在、セーラー服を着用している。
何故それにしたのかは不明だが、まぁ選ばれたお嬢様って感じだ(残念キャラだが)。
色々と装備スキルが付いているから、現在のプレイヤーの平均的な装備よりも、トッププレイヤーの装備よりも、遥か上の性能を誇る代物だぞ。
うん、恥じらってる感じが、なんともエクセレント!
「……今更だが、同行の条件を覚えているよな? ソロ討伐も狙いたいから、そこら辺の部分も大切だぞ」
『わ、分かってるわ。戦闘時は(武具化)していれば良いのね?』
「よ~しよし、ちゃ~んと分かってたな~。……ご褒美のアイスクリームだぞ」
『やったー! ……じゃない、どうして子供扱いするの?!』
そう言いつつも、俺が取り出した31のアイスクリーム(ホッピングがシャワーなヤツ)を受け取って、美味しそうに食べてくれるんだからやっぱり可愛いよな。
俺もネオンの怪物味を取り出して、リーがゆっくりと食べる時間を潰していく。
お食事中
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「リー、一緒に狩りをするのと別々に狩りをするのと……どっちが良い?」
『もちろん、一緒にやりましょう』
「了解、マイプリンセス」
小洒落たセリフを言いながら、俺はリーの目の前に跪き、手の甲へキスをする……昔練習だと言い張られ、散々練習済みだ。
『――なっ、なななっ、なぁぁあ!?』
だが、練習を散々したのは俺であって、眷属たちは一度しか経験していない。
実は眷属の中でもかなりピュアな反応をするリーは、予期した通り、俺の奇行にもしっかり反応してくれた。
「どうかされましたか? マイプリンセス。私の貴女に対する敬愛の証を示そうとしたのですが……何か不手際でもありましたか?」
『……え? い、いきなりなの? た、確かにみんなで説得はしていたけど、わ、ワタシからなの!? そ、そりゃあ嬉しいけど……』
「――喜んでいただき光栄です。それとマイプリンセス、思案は完全に隠蔽した状態で行われた方が宜しいかと愚考します」
『……き、聞こえてた、の?』
油を塗っていないブリキのように、首をギギギッとこちらに向けたリーが、不安そうな目でこちらを見つめる。
「えぇ、それはもうバッチリ。マイプリンセスの私への思い……確かに受け取らせて頂きました。口から洩れる程の、ね?」
『~~~~~!! バ、バカァ……』
怒る気力も失ったリーは、しゃがみ込んでしょんぼりとしてしまった。
リーのテンションを上げるため、手を頭に乗せて、撫で始める。
再び時間が掛かりそうだ。
あの後すぐに陥落したため、狩りは直ぐに始められた……が、
「……本当にこのままやるのか?」
『は、恥ずかしかったんだから、ちゃんと責任を取ってください』
「なら、今は恥ずかしくないのか?」
『(どう考えたって、恥ずかしいに決まってるじゃないですかぁ……)だ、大丈夫です』
「ん? 少し間が空いた気がするが……ま、良いとするか。でも、なんかダブルなアーツとか、ハンドをシェイカーみたいで結構楽しいかもな……聖・魔武具や神器を握った状態でも、これと同等の定義をしなければだが」
現在、俺とリーは手を繋いでいる(俺が左手でリーが右手だ)。
これはリーが望んだことであったので、俺はこれを許諾した……したのだが、かなり恥ずかしいんだよな~。
繋ぎ方も何故か恋人繋ぎだし、手汗……付いていないよな?
『そ、それよりメルス、は、早く狩りを始めましょう!』
「そ、それもそうだな! あ、でも、先に因子を注入してからだけどな(――"因子注入・獣人")」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
獣人因子 十割のオーダーを確認
種族スキル(人化)の使用を許可
種族スキル(獣化)の使用を許可
種族スキル(保存)の使用を許可
種族スキル(再生)の使用を許可
種族スキル(霊化)の使用を許可
種族スキル(魂喰)の使用を許可
種族スキル(神獣化)の使用を許可
種族スキル(爪術)の使用を許可
→【武芸千般】に統合されます
種族スキル(咆哮)の使用を許可
→(咆吼)に統合されます
種族スキル(夜目)の使用を許可
→(神眼)に統合されます
種族スキル(竜魔法)の使用を許可
→【神羅万象】に統合されます
種族スキル(日光弱体)の使用を許可
→【異常反転】に統合されます
因子を注入します――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「り、リー? 今の俺はどんな感じだ?」
『…………』
「リーさん、聞いてますか~?」
『……(ハッ)! は、はい。顔が中性的に、瞳が碧色で髪が蒼海色、肌がいつもより焼けていて、犬耳と尻尾が生えてるわ。グラの特徴を持っているみたい……』
ボケーッとしていたリーが、俺の質問に答えてくれる。
慌てて答えているはずなのだが、滑舌よくスラスラと言えていた。
にしても、やっぱりそんな感じか。
顔の部分だけはビックリだが、あとは予想通りだしな……あまり気にしてないし。
てか、凄い説明感があるな。
いや、分かるから別に良いんだが、心ここに在らずって感じに見えた。
「よし、じゃあ狩りを始めよっか!」
『は、はい!』
これがあの作品だったら、完璧に戦争な状態だったんだけどな。
そんなことを考えながらも俺たちはm魔物の気配の在る所をうろつき始める。
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