AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と新たな女性
居間
《メルス様、お手数ですが居間まで来ていただけませんか?》
訓練の後、俺はアンに呼び出された為、二人で居間に向かったのだが……。
「えっと……誰? いや、見当は付いてるんだけどな」
そこには女性陣と、三人の女性が立っていたんだ。
そう、三だ。
夢現空間に入れる者はかなり限られているし、今の俺なら一度見た顔の完全な記憶が可能だ。
だが、彼女達の顔は全く知らない……筈なのに、やけに雰囲気が既知の者に似ているんだよ。
右側の少女は、濃い黄色の髪を腰まで伸ばした天使だ(うん、文字通り天使だぞ)。
温かそうな目の色――というより特徴は、太陽のように輝いているということだ。
目が輝いているという比喩を聞いたことはあるが、まさか本当に輝くとは……。
身体的特徴はセイと大体同じなのだが、翼の数が少なかったり……と、天使でも違いがあるみたいだ。
セイはキリッとした顔つきだが、少女は品行方正な雰囲気を醸し出した、優しいお嬢様風な顔つきだな(それこそ、天使のような微笑みだな)。
真ん中の女性は、聖氣のような白い長髪や紫色の瞳を持っている。
他の身体特徴とあげるとすれば……頭からはライオンの耳、背中に蝙蝠のような翼、尾骨(?)から生えた尻尾には蛇などによく見られる鱗模様が広がっている。
今は凛々しい顔をしているのだが、俺が居間に入ってくる寸前まで、捨てられた子犬のような顔をしていたのが気になる(今の俺の動体視力なら、そんな彼女の表情の変化も読み取れるのだ)。
左の女性は……黒いローブ被ってるし、誰かもう分かるんだよ。
だけど、裸ローブは止めなさい。
着替えなら更衣室の中に幾らでもあるだろうが。
俺のイメージと違う点があるとすれば……彼女、真ん中の女性と同じぐらい髪が白いんだよ。
いや、白は白でも真ん中の女性はホワイトライオンみたいな白だし、こっちの女性は不透明なアクリル板みたいな色だ……骨白って言うらしいぞ。
それに、目の色は黒だから全く同じってワケでは無いし、それ以外は普人みたいなんだけど……どういうことだろうか?
少し不満げな顔をしてこちらを見ている彼女は、そんな顔ですら綺麗と言わざる負えない美しさを持っている……なんで無性だった骨が、こんな風になるんだろうか。
――さて、いつまでも放置するワケにはいかないし、答え合わせと行こうか。
「……念の為聞いておくが、右から順に――ガー、クエラム、ネロ……だよな?」
『はい、その通りです』
右で微笑んでいた天使が、にっこりしながら俺に答えてくれる。
その反応に、膝を地に着けて嘆きだす俺。
またなのか、また……TSなのか。
リョクの時も思ったが、何故にわざわざ女体化する必要があるのだろうか(シャインは別だからな、あれは罰だったんだから)。
俺は別に男が絶滅すればいいのに……とかそんな考えは持ってないぞ。
だって男は基本――種馬だろ?
人間は男と女が目合うことで、新しい命を生み出す。
その中には、将来有望な美女がどれだけ存在しているのだろう。
……しかし男がいなくなれば、新しい命が増える可能性はかなり減り、未来への希望は途絶えてしまう(ゼロとは言わないぞ、未知の方法や同人誌的な方法もあるかも知れないからな)。
――というワケで、俺は男を種馬だと思っている説は以上、証明終了です。
閑話休題
「ガーは受肉が終了したからそうなったんだろう? そこまでは良いんだ……だがクエラム、お前は何で女になってるんだよ。ステータスを見た時、お前雄だったよな?」
『雄であったぞ。だが、(肉体変質)を使ってこう……な?』
「『……な?』じゃない。何でそうなったって聞いてるの!」
いやさ~ね、理屈は分かるよ。
体を作り変えたんだろ? それによって人型になることもできたし、女体化も可能だったと。
……でも、しなくても良いだろう!!
『……いや、その。少々寂しくてな。メルスが女になった時、己だけ、己だけが一人で別の時間に浴室に入っていたのだぞ。己は別に性別はどちらでも良かったから、皆といられる方を選んだのだ』
結構ガチな理由キタ―!
……うん、悪かったよ。
いつもは男同士一緒に入っていたけど、まさかそんな発想に至るまで放置しちゃっていたとは……すまん。
いやでもさ、俺は俺で偶にある男同士での風呂場での話し合いも楽しかったんだぞ。
変な意味に取られると困るか言わんが。
「そっか……。人型にもなれるみたいだし、今度一緒に生産でもやるか」
『うむっ!』
そんなに眩しい顔をしないでくれ。
忠犬のように見えてきてしまう……ネコ科の動物の耳なのに。
さて、問題の奴に質問だ。
「で、ネロ。お前はどうしてなんだ?」
『……黙秘権だ、黙秘権を行使する』
一丁前にそんなことを言いやがって……。
そんなことを言える立場だとでも?
「……記憶を奪って調べるぞ。その時の自分の気持ちまで読まれたくなかったら、さっさと自分で言うんだな」
『わ、分かった。言う、言うからそれだけは勘弁してくれ!』
今までとは打って変わり、直ぐに反応をしたな。これも学習したからか?
目をパッチリ開いて、アタフタし始めるネロ……なのだが。
プルン プルルン
アタフタと動くたびに、美しい山脈達が揺れ動く。
おぉ、なんというゆれだ! しんどななはあるんじゃないk……クゥア!
『言っとくけど、私がやらなかったら、メルスは蜂の巣になっていたわよ』
周りを見渡すと、とんでもない量の魔力を練り込み済みの眷属達がいた。
……すみません。
新しいものには興味が湧くもので。
いや、大きさが全てってワケじゃ無いぞ。
――山は大きさじゃない。
大切なのは、山の景観や地質だからな(他意は無いと思う)。
「……コホン、では気を取り直して。ネロ、話してくれ」
『……メルスの周りは女性が多いからな。指輪から理解できた感情は男のものだし、自身で女のものを理解するのも、悪くないと思ってな』
……方便だな。
確かに送っているのは、俺が感じた{感情}だけだが、それならそれで別に良いだろう。
ネロが指輪を嵌めたのは(魂魄強化)の為であって、{感情}の為ではなかったのだから。
「……よし、"奪憶掌"を使うか」
『――というのは冗談で、メルスの送ってくる{感情}とは別に、お前の周りの女達が吾に{感情}を送った結果だ』
え、マジで。それはどういうことだ?
そう思い、眷属の方が見てみるが……
「……おいおい、なんで目を逸らすんだ。一人ぐらいこっちを見なさい」
……一体、ネロに何を流したんだよ。
結局、俺がそれを知る機会はこのタイミングでは無かった。
あとで問いただしたところ、自分達の俺への気持ちを流し込んだらしい(番の指輪にどうやって干渉したんだか)。
一度流したものはしょうがないし、ネロも満更でも無いって{感情}をこっちに流しているので、今回は許すことにした。
……ま、罰は与えたけどな。
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