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山田 武

偽善者と元英雄達 後篇



 あれから少しの間、戦闘をしていた……のだが――。


「限界か。どうする、まだやるのか?」

『……へっ、当然だろう』

「とは言っても、ボロボロだぞ。リボンも超えられたんだし、もう良いんじゃないか?」

『メルスさん、もう少しやらせてください。私達はまだやれます』

「そっか……それなら、もう少しギアを上げるぞ(――"戦闘特化"に移行)」


 ――アマル達のなんと強いこと。星の化身が持つリボンを完全に見切れるようになっただけでなく、俺へも攻撃が届くようにもなっているぞ。
 だが、眷属達が常時発動している多重防御に届くことは無く、あたかも俺に一ダメージも与えられていないかのような状況になっている。
 ……実際には、かなりヤバいんだけどな。

 男二人が持つ剣。
 調べて視たところ、片方は神器でもう片方は聖魔剣であった。
 幾らHPがメニメニメニ―だったとしても、そんなレア物で心臓を突かれたり首を斬られれば死んでしまうだろう。

 魔力体になって避けようとしても、どうせ無理だ。
 何せ超レアな武器達だ。
 魔力を斬り裂いている姿も、戦闘中にちょくちょく視ているのでよく分かるよ。


 俺はリボンを体の中に同化させて、肉体に莫大なエネルギーを取り込む。
 そして、そのエネルギーを右腕の先に集中させてリストブレード状に固定する。

 それと同時に(複眼)を発動し、(未来視)と(反射眼)の両方を発動させる。
 アレンジで入手したスキル――(戦闘特化)も使用し、機械の体を戦闘向きな物へと作り変える。


『ッツ! アマル、あの鉤爪に気を付けなさい!』

『ウルスさんも。あれに少しでも触れたら、腕が体の一部が無くなると考えてください』

『えぇ、分かりました』『マジかよ』


 ……いや、そこまで警戒されるか。
 本物の断片じゃ無くても、模造品とはいえ全てを取り込んだのが悪かったのかな?

 ……まあ、作り変えたことに気付かれていないから良いか。


「後は……(再現武装)――"聖魔剣クラウ・ソラス"」

『そ、それ……俺の!』

「安心しろ、偽物だ」


 アマル達の持つ武具の情報は全て解析済みな為、(再現武装)によって幾らでも創り出すことができる。

 本来ならアマルの持つ神剣――"煌雪神之魂剣"を創ろうと思ったのだが、相当な量の神氣が必要であった為、これは断念した。

 ウルスの持つ"聖魔剣クラウ・ソラス"は、本来魔剣の性質しか持っていなかった剣が、先程の復活時に聖氣を浴びた影響で聖剣としての性質を手に入れた物だ。 
……まぁ、そもそも聖剣や魔剣って、特に違いは無いんだけどな。
 その違いだって、ウルスが持つことによって殆ど意味を成していなかったし。

 "聖魔剣クラウ・ソラス"は光や炎になったり、分裂したり色々とできる便利そうな剣であった。
 なのでアマル達の武具の中から、俺はその武器を選んだのだ。


「よし、第二ラウンドを始めるか」


 そう言って俺は、(天駆)を使ってアマル達の元へ駆け抜けて行った。


暫くして
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はい、終わりっと」


 俺も周りには、四体の生きる屍が散らばっていた。
 荒い息を吐いて地面に縫い付けられたように倒れているのだが、そういう姿も絵になるのがリア充らしいや(……チッ)。


「どうだ、これで満足かな?」

『えぇ、ありがとうございます。良い経験になりました』

「それは結構」


 俺は(自分自身で)発動させていたスキルを全て終了させて、身軽になる。

 おっと、忘れてた。
 今回の入手できたスキルは、こんな感じだぞ――


(未知適応)(アレンジ)の記憶(一部割愛)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(超越演算)を習得しました

(回路改変)を習得しました

(原理究明)を習得しました

(専守防衛)を習得しました

(観測特化)を習得しました

(解析特化)を習得しました

(戦闘特化)を習得しました

(指揮特化)を習得しました

(遺志特化)を習得しました

(同族連結)を習得しました

(高速新造)を習得しました

(オーバーブースト)を習得しました

(クールダウン)を習得しました

(装備限界突破)を習得しました
→(武器同時所持)(重装)は統合されます


一定以上の経験量を確認

種族スキル(機人)の作成を試みます

……成功しました

(振動統制)は(機人)に統合されます

(自動メンテナンス)は(機人)に統合されます

(変形)は(機人)に統合されます

(人化)は(機人)に統合されます

(感覚共有)は(機人)に統合されます

(魔力砲)は(機人)に統合されます

(光子銃)は(機人)に統合されます

(魔素吸引)は(機人)に統合されます

(再現武装)は(機人)に統合されます

(情報解析)は(機人)に統合されます

(並速思考)は(機人)に統合されます

(自動修復)は(機人)に統合されます

(超越演算)は(機人)に統合されます

(回路改変)は(機人)に統合されます

(原理究明)は(機人)に統合されます

(専守防衛)は(機人)に統合されます

(観測特化)は(機人)に統合されます

(解析特化)は(機人)に統合されます

(戦闘特化)は(機人)に統合されます

(指揮特化)は(機人)に統合されます

(遺志特化)は(機人)に統合されます

(同族連結)は(機人)に統合されます

(高速新造)は(機人)に統合されます

(オーバーブースト)は(機人)に統合されます

(クールダウン)は(機人)に統合されます

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ――何故だろうか、何処かで聞いたことのあるような名称が多い気がする。

 あれかな?
 機人族って、後から追加された種族だからこそ、色々とネタ要素を詰め込めたのだろうか? (いつかレイに訊いたみたいことだな)


「……それで、結局俺は本音で語っていたのか?」

『あぁ、分かったぜ』


 よっこらしょ、とウルスが言って立ち上がり、俺に向かって言ってくる――。


『お前――口下手なんだな』

「……うん」


 確かにそうなんだが、自分と眷属以外に言われると心に突き刺さるな。


『お前の言っていることの大半は全然意味が分からなかったが、俺達の本気にしっかりと答えようとする意志だけは分かったぜ』

「そ、そうか」


 ま、まぁ、何はともあれだ。
 これで本題に移れそうだよ。


「少し、聴いてくれるか?」

『はい、何でしょうか』


 ウルス以外のメンバーも、立ち上がった状態で俺の方を向いてくる(とっくに起き上がっていたようだ)。


「今の模擬戦で気付いていたと思うが、お前達の肉体は以前より遥かに強くなっている」

『えぇ、今までより素早く動けるようになっていました……見切られましたけど』

『俺の斬撃もかなり飛ぶようになったな……全部防がれたが』

『私の魔法もだいぶ強くなっていたわね……無効化されたけど』

『ワタシも、色々と強化されてましたね……意味ありませんでしたけど』


 ……す、すいませんでした。
 ちょっと調子に乗っていたんです。


「そして、今のお前達の体。普通のスキルで調べても、一応はそのままになっているんだが……すまないな――」


 俺は一度アマル達に謝ってから、再び口を開き、真実はスッパリ告げる。


「――お前達の今の種族、普人とか森人じゃなくて……聖骸だ」


『『『……え?』』』『……はっ?』



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