AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と魔法発動
あの後気が済んだのか、俺を解放してくれたアンは最後にこう言って、修練場を後にして行った。
『くれぐれも、さっきの様な魔法の使い方は控えてくださいよ。いくら脳のスペックを上げたとしても、限界はあるのですから』
俺自身が覚えていない俺の状態をまだ引き摺っているらしく、頷くまでジッと見つめられてしまった。……正直、ずっとそのままでも俺は良かったのだが、習得したばかりのスキル――<澄心体認>によって、見れば見る程アンが俺を心配していると理解できてしまったので、大人しく肯定することにした。
……よし、早速魔法の練習をするか!
……え? アンの言ったこと? 分かってるよ、多重展開の方はもう終わりにするよ。
今度はロマン魔法の作成にでも移ることにしたんだ。
蒼い焔に黒い渦、やりたいことは大量にある。――さぁ、どんどん進めて行こう!
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とは言ってはみたものの、そう簡単に旨くいくことでは無かった。確かに、焔に新しく進化した【理学魔法】で酸素を送れば蒼焔に変化したし、(重力魔法)や【光芒魔法】を発動させたらなんでも呑み込みそうな黒渦の生成はできた……大量のMPを消費したけどな。
問題は実戦で殆ど使えないと言うことだ。
焔は風でも受ければ乱れ、黒渦に至っては少しでも制御を誤れば、こっちが危険にされされる代物だったので危う過ぎて困る(ゴーレムを魔法で作って、色々と試してみた)。
それを踏まえて今度は実戦向きな魔法を作成しようと思ったのだが、よくよく考えてみると、それはただの痛い人では? という結果になった(もっと早く気付けばよかったのだろうか)。
ここで、今まで説明してこなかった魔法の説明を追記しておこう。
魔法を発動させるには、二通りの方法が存在する。一つは予め登録されている物を詠唱して発動させる物。もう一つは自分のイメージに固有名を与えて事象化させる物だ。
一つ目は○球や○壁、○槍の様に、どの魔法でも使えるような最初の部分を変えれば使える魔法や、"断絶空間"や"時空停滞"のようなその属性だから使える現象を行う魔法がそれに当てはまる。
う~ん、ようするに、運営側が想定している使われ方をする魔法はこっちってことだ。
運営が基礎用として用意してくれている物なので、詠唱を唱えさえすれば発動できる初心者向けなものだな。
そしてその逆、運営が想定してない使われ方をする魔法は全て、二つ目に当てはまる。
詠唱が必要無いに代わりに、高い魔法適性とMP、そして強いイメージ力が必要となる上級者向けの魔法だな。例を挙げると、"魔法の雨"や昔行った国造りがまさにそれだ。
こちらの魔法は自由性があるので、色々な物があるが、それは個人でしか使うことができない場合が多い。それは勿論、他人がその魔法をはっきりとイメージできない場合が多いからである。
まぁ、仮にその魔法を見ることで再現をしようとしても、それは上手くいかないだろうな。イメージなんて物は、人それぞれだ。見た目は同じだとしても、必ずどこかに違いが現れるだろう。
例外は幾つかあるが……一番身近な例を挙げるとすればギーだ。
(完全模倣)でコピーしてしまえば、(完全再現)でそっくりそのまま発動が可能だからな。
ただし完全に再現してしまう為、威力や速度等を変更することができないという問題もある。……がそれをクリアする方法も俺は幾つか考えているので、そこら辺は問題無いけどな。
さて、何故俺がこの二つ目の方法を痛い人と言っているか……それは、イメージ力が必要という部分にある。
だって、イメージ力って妄想力だろう? とどのつまり……14歳の病気じゃないか!!
いやまあ、全然気にしてないんだけどさ。別に俺、痛い人では? とは思ったが、やらないとは一言も言ってないしな(そもそも、前に"十二の試練"を使った時点でもう痛い人認定されているだろう。証拠として、二つ名が来たしな)。
と、言う訳で新作魔法をイメージしている訳なんだが……新作が中々浮かばないんだよな~。
例えば火属性、俺がイメージできたのは、Aのメラメラや迦具土等、いつも通りのパクリのみであった。
他の属性の魔法も考えたのだが、どれもこれも見覚えのある物ばかりだった。
元々今のご時世に、自分だけのアイデアを創れという方が難しい気がする。誰も彼もが色んなアイデアを出しているからな。モブにできるのは、どっちが強いかをイメージしたり、勝手に技を合体させることぐらいだ。
それでもオリジナルとは言えないが、原作劣化版のような魔法なら幾つかできた……劣化させたままでも強かったぞ。実際、ゴーレム相手の練習なら、問題無いと思われるものが殆どであった。
そうやって、オリジナルを劣化させた物、融合させた物、突然閃いたネタやロマン系の魔法を創り続け、俺は最終的にMPが一時的に尽きるまでこの作業に嵌っていた。だって、今まで画面越しだったものを自分で再現できるんだぜ? (劣化版だが) やらない訳にはいかないだろう。
結局この作業は、夕飯の時間を伝えにアンが来るまで続いていた。
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