AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と夕食
あの後、ドゥルが無力化に成功しただの何だのと言って、模擬戦は終了となった。"地形変化"を解除すると、向かった兵器の属性魔法によって拘束されているみんながいた。……どうしてこうなったんだろう。みんなを一つの場所に集めて、拘束をしている魔法を解除しながらドゥルを問い質す。
《やりすぎるなと言われましたので》
「いや、充分やってるからな……やっぱり、ドゥルに頼んだのは間違いだったかな?」
相手を拘束って、普通じゃないよな? せめて最後通牒で留めようよ。
1割方だがその言葉を本気で言うと、ドゥルの反応が変化した。
《も、申し訳ありませんでした!! もうしません! もうしませんから、どうかお許しください!!》
ドゥルは、まるで親に怒られた子供のように怯えながら許しを請うてくる。さすがにこの豹変ぶりには驚き、たじろいでしまう。
「――あ、あぁ。俺もその行動の全てにそう考えている訳じゃ無いからな。あくまで、俺の眷属や国民への対処だけ改めてくれれば、それ以外はそのままでも良い。……少し言い過ぎたな。許してくれ、ドゥル」
《なっ! 謝らないでください! 私が、我が王の意図を汲み取れなかったことが悪かったのです。我が王は私にしっかりと指示をくださったのに……。本当に申し訳ありませんでした!!》
「謝らなくて良いぞ、次にしっかりと活かしてくれればな。ドゥルにもドゥルの考え方があったんだろう? 別に、俺の答えだけが全てって訳じゃ無いんだ。もしかしたら馬鹿な俺の考えより、眷属が行った行動の方が良い結果を出す時だってある。だから、何をするかぐらいは……教えて欲しいかな」
《はっ、仰せのままに、我が王》
反応が堅いなー。もっと気楽に接してくれても良いんだけどな、別に。ドゥルにもさっさと肉体を創ってあげたいんだが、ある程度存在に格が無いとできないみたいなんだ。
なんでも、聖・魔武具っ娘の時は元となった武具自体の著名度……というか、認知度が凄かったから、神器っ娘の場合は神器である為に、元々一定量の格? があったから受肉ができたらしいが……ドゥルは俺が1から創り上げた擬似的な人格である為、存在の格? が足りないらしいんだ。
俺がドゥルを使い続ければすぐに格とやらは一定量を超えるらしいので、そこまで気にしてはいないのだが――なんかこう、チートの香りがするんだよな~。
そもそもとして、そんな簡単に存在の格が上がる訳が無いじゃないか。そう言ったことができるのは、何処かにいるであろう、ハーレム主人公様ぐらいだろう。
殆どの物を模倣したり借りているだけの俺なんかとは違って、全てが自分自身の力で、ピンチの時には必ず何かが起こって大勝利!
そんなご都合主義の塊みたいような奴は、こういった時に直ぐに少し強い敵と会ってそこで覚醒をしたりして、存在の格が上がったりして勝つ……こんな感じじゃないかな?
……あぁ、もう! 頭が回らなくなってくるな。
要するに、俺が言いたいのは主人公なんてそんな殊勝な者じゃなく、俺にはただのゲーマーがピッタリだということだ。
閑話休題
食堂
「手を合わせてください――」
パンッ
「――いただきます!!」
『いただきます!!』
俺の掛け声で夕飯が始まる。日本の記憶を全員が観てくれているので、こういったこともやってくれる。
模擬戦を終えたので、全員を食事をしようと言ってみたのだ。折角の再会記念日だし。
いつもは要望された食べ物しか用意してなかったが、今回は食堂のテーブルいっぱいに和洋折衷、フィンガーフードから本格料理まで、余るんじゃないかっていうぐらいに並べてみたぞ。
「……はいはい、肉の追加ね。あんまり食べ過ぎちゃいけないぞグラ。……了解、どのネタを握れば良いんだ、フェニ?」
『では、サーモンを頼む』
「あいよ、ちょっと待ってろ。ヤンとリッカで肉を焼いてくれ。少し手が足りない」
『『了解っ!』』
俺はヤンとリッカと共に、厨房で料理の追加注文を受け付けている。
(料理神の加護)の効果である程度美味しい料理が作れているので、尽くせる男を目指している俺はみんなの食べたい物を沢山作ろうと必死にやってます。
……本当なら一人で作る予定だったのだがな、料理系のスキルを持っている二人が手伝わせろと責めてきたので、彼女達の協力も得て大量生産を行っている。
「……ヘイサーモンお待ちっ!」
『肉料理の準備、できたよ!』
「おう、皿に盛って持ってってくれ!」
『…………』
「いや、ダジャレじゃないからな!!」
こんな会話をしながら作り続けている。
料理はどれだけ沢山増やしても余ることは無い。むしろ、減り続けていっている。……女性の腹はブラックホールと聞いたことはあるが、まさかここまでとは……。
【暴食】から生まれたグラなんて、フードファイター顔負けの勢いで料理を喰い尽くしている。
俺としてはしっかりゆっくりと味わって欲しいのだが、俺自身の食事の仕方も、速さ以外はグラとほぼ同じだから俺からは何も言えないな。
「え? ジュースの御代わり? 100人分ぐらい用意してあったんだけどな……。次は雪を見る大福ね。分かった分かった、直ぐ作る」
("不可視の手")
手が完全に足りなくなってきたので、【怠惰】の能力で増やすことにした。
さて、デザートの注文が来るってことは、そろそろフィナーレかな? こっちももっと作るとしますか!!
コメント