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山田 武

偽善者と森林迷宮



第四世界 "天魔迷宮"


 歩き続け目の前に見えたのは、巨大な森。
 ――そう、そこは森林迷宮。自然の力で創り上げた霧の迷宮だ。
 草原フィールドから(超級隠蔽)と(光魔法)で創り上げた光学迷彩的な何か、それと(生活魔法)の"消臭デオドリゼーション"で視覚と嗅覚で俺を特定できないようにして後、空を歩いてここまで辿り着いた(空を歩くのには【忍耐】の聖具の装備スキル(空歩)を使っていた)。
 歩いていると、周りで頑張っている人達へ迷惑を掛ける(?)と考え、空を歩いてみたのだが……思いの外楽しくて、空を走ったりしていたぞ(空歩なのに、空走りとは如何に)。
 ちなみに、空を飛べる種族がショートカットができないように、洞窟部分や天空の城には(重力魔法)が掛かっている。最初のエリア――草原フィールドでは可能なのだが、それはあくまでスキルレベリングの為にできるようにしているだけなので、ここ以外の通常エリアに出現するダンジョンでは、ほぼ不可能な気がする。


閑話休題頑張って探そう


 森林迷宮では飛行系のスキルや魔法を使って侵入しても、霧の幻防壁がその侵入者を排除する。具体的には、上から侵入しても必ず入って来た所に戻ってしまう。いやー、そのシステムを創るのは大変だった。俺自体の苦労はそこまで無かったが、当時はDPの消費が大変だったんだよ。闘技場を造った後に行ったのだが、広範囲にそう行った強制排除機能は、闘技場に使用したDP以上に使ったのだ。 ……ま、闘技場にやって来たお客様から徴収したDPのお蔭様で、赤字になる事は無かったのだが、そのDPが4割ぐらい消えました……ハァ。
 とにかく、森林迷宮には大量のDPが掛かっているのだ。そんな霧と森の迷宮を歩いていると、早速魔物が現れました。鑑定してみましょう――


Dウルフ Lv5
ダンジョンモンスター アクティブ
地上 格下


 これはずっと前に戦ったDゴブリンの狼版ですね。あれから(Dゴブリンに会ってから)調べたのだが、ダンジョンモンスターにDが付いているの魔物がいるのは、ダンジョン専用に特化した魔物だからだそうだ。
 Dモンスターは、種族に問わず連携を行うという種類スキル的なものがあると分かった。
 統制はダンジョンのフロアマスターか、コアが行うのが一般的らしいぞ……っと、早速襲い掛かってきました。といっても、対処はとても簡単です。


1:(武器換装)で武器を取り出します
2:薙ぎます
3:ドロップアイテムが落ちます


 ちなみに、今回使用した武器は薙刀だ。
 イメージしたのは大薙刀"岩融いわとおし"、刃の部分だけで105cmもある武蔵坊弁慶が使ったという有名な物である。
 STRには自信があってので使ってみたのだが凄かった。振るった時に生じた風圧だけで、魔物が吹き飛び、空からドロップアイテムが降り注ぐ。風圧は魔物を飛ばすだけでは止まらず、霧や木々を散らかしていった。
 まぁ、時間が経てば再生するので問題は無いのだが、その威力には唖然とした……弁慶さんまじぱねぇっす。こんな物を使ってたんですか。
 俺は弁慶さんを崇めながらも、岩融を元の場所に仕舞って、再び歩き始めた。


 それからも魔物は襲って来たのだが、俺は様々な武器を使って対応していった。折角の修業チャンスでもあったので、俺は全武具スキルをOFFにして戦っていった。今までにも偶にそういった戦い方をして、PSプレイヤースキルを上げようと頑張っていたのだ。俺のスキルは異常な程Lvが上がりやすい。だからこそ、調子に乗らずにPSを上げれるようにした方が良いと思っている。
 もしかしたら、パッシブスキル無効みたいな能力も存在するかもしれないしな。今までも何回か行ってたので、ある程度そんな状態でも戦えるようにしていたのだが、あくまで現実では一般ピーポーな俺は補助が無いと技術が足りない。
 特に、昔"ユニーク"のメンバー相手に使った武器専用武技を異なる武技で使う技術は、補助が無いと成功確率が2割を切ってしまう。
 初めて行った時は1割だったので成長したとは思うのだが、せめて5割には持っていきたいと考えている。
 今のところはこれを使えるプレイヤーは存在してないと思うが、いずれは制限解除系能力を習得して、できる人も出てくるかもしてないなー。
 まぁ、次の魔物も来たし、練習を続けていきますか。


■ □ ■


 ……ふぅ、そろそろ出口かな? みんな忘れてると思うが、俺は(ダンジョンマップ)というスキルを持っている。そのスキルにより、俺はダンジョン内の大まかなマップを知れる(詳細な情報を知りたいのなら、ダンジョンメニュー内の機能の一つ――"管理"を使えば分かるのだが、さすがにそれはカンニングだろ……という、俺のおかしな倫理観によって使用はされていない)。
 それを使ってできるだけPSを上げれるように、遠回りをしながら移動していたのだが……さすがに限界みたいだ。ま、お蔭様で3割に成功確率が上がったので良しとしよう。


 森の出口の方には山が薄らと見えている。
 その山は空を歩いていた際には見えていなかった筈なのに、見える現在は空を穿つ程の高さで聳え立っている。
 これも、闘技場以降にレンと話し合って決めたアイデアの一つで、その名を"千尋山"と呼ぶ巨大な山である。
 もし誰か、ダンジョン関係者以外が"天魔迷宮"を攻略できたら実装しようと考えてる迷宮で、一層毎に敵はフロアマスターだけを配置という、PvPや、レイドボスのような戦いが楽しめる――クリア後コンテンツみたいな迷宮である。
 しかし、あくまでクリア後特典なので、まだ実装はしていない(誰も"天魔迷宮"を攻略してないからな)。


閑話休題これは、実装フラグ?


 今回はそれは置いとくとして、目的はその下にある洞窟、"天魔迷宮"に行くとしよう。
 久しぶりに会うミントは成長してるかなー?



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