AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
03-06 路地裏 中篇
SIDE:???
──わたしは、誰かと友達になりたい。
人と目を合わせて会話ができないわたしには、友達ができなかった。
だから何かを言いたい時は、独り言みたいに伝えている。
そんなわたしでも、声を掛けてもらえることがある──感謝をされるとき。
わたしがやったことに『ありがとう』って言ってくれる。
それってつまり、わたしを認めてくれたってこと……友達だってことだ。
誰かがわたしの考えを知っていたら、バカにしたかもしれないけど……わたしには、それしか浮かばなかった。
だから誰かのために、何より自分のために動くことを選んだ。
──『雑用係』。
いつからかわたしは、そんな風に呼ばれていることに気づいた。
当番の仕事がわたしの日じゃなくてもわたしに与えられていたり、掃除を遅い時間まで他の子の代わりにやっていたり……。
それが当たり前になって、わたしに昔みたいに『ありがとう』って言ってくれる人はもう誰もいなくなった。
──どうしてこうなったんだろう。
分からなかった……ううん、分かろうとしなかった。
何も考えなくたって時間は過ぎていくんだし、考えていたら……とても悲しくなる。
そんな風に思って、ただテレビをずっと観ていたある日──そのニュースを見た。
──All Free Online。
すべてが可能。
紹介されているゲームは、その世界に自分たちが入っていろんなことをするゲームだってテレビで言っている。
──なら、友達はできるのかな?
いっしょに観ていたパパとママにそう訊いたら、なんだか涙を流していた。
おねだりは悪いことだと思ってやっていなかったこと、学校での成績が良かったこともあって……二人はAFOをどうにか手に入れてくれた。
『きっと、あなたを大切にしてくれる人がいるわよ。ゲームか現実かなんて関係ないわ、あなたが楽しいと思うことが重要なのよ』
『何か面白いことがあったら教えてくれ、些細なことでも構わないぞ。特におと──』
パパの言葉はママが途中で止めちゃったけど、二人とも温かい顔をしてくれた。
◆ □ ◆ □ ◆
それからすぐにゲームを始めて、教えてもらった通りにクエストを終わらせた。
わたしが選んだのはランダムで、その中から『妖精種/小羽族』になった。
身長が小さくなっちゃったけど、ちょっとだけ浮かべるみたいだから気にしない。
「──“放射”!」
設定を手伝ってくれた金色のお姉ちゃんが言っていたみたいに、魔法でできた矢を番えてウサギに放つ。
……飼育小屋で飼っている子が頭に浮かんじゃったけど、それでも倒した。
(倒さないと……強くなれない!)
お姉ちゃんはわたしにいろんなことを教えてくれた、お礼にわたしもいろんなことを言えるだけ言った。
そして──このゲームは、強い人ほどたくさんイイことがあるんだと教えてくれた。
できるだけそれがやりやすい方法も教えてくれた……教えちゃダメなこともあったみたいだけど、お姉ちゃんには『ケンゲン』があるみたいだから大丈夫だって言ってた。
「えっと……■■──“水矢”」
水魔法で矢を作ったら、弓に番える。
そしたら攻撃することを意識して、決まった言葉を言う。
「“放射”!」
体が勝手に動いて、目の前のウサギに向けて矢がビューンと飛んでいく。
少しだけAPを使うから疲れちゃうけど、教えてもらった瞑想スキルがあるから時間を掛ければ回復するみたい。
「……■■■──“回復”!」
HPを回復させる魔法を、ウサギに使う。
お姉ちゃんはあんまりお勧めしないと言ってたけど、少しでも早く強くなるために必要なことだもん。
「……■■──“回復”!」
高速詠唱スキルがあるから、少しずつ唱える呪文の長さは短くなっていく。
ウサギは少し元気になったらまた襲ってくるけど、弓に番えた水の矢をもう一回撃ってすぐに放つ。
お姉ちゃんは、最初の一回が大事だって教えてくれた。
最初だけはどれだけ攻撃を受けても死なないから、その間に戦い方を覚えておいた方がいいって。
「……■──“回復”!」
無敵の時間が終わるまで、わたしは何度でも何度でもウサギと闘い続けた。
◆ □ ◆ □ ◆
「ふんふんふ~ん♪」
お姉ちゃんに教わった通りだった!
種族レベル? と職業レベル? はあんまり上がってなかったけど、スキルレベルはたくさん上がってた!
時間が足りなかったから教わったやり方に使うスキルしかできなかったけど、それでも充分に使えるって言っていたから大丈夫。
スキルもちゃんと進化させたから、次は他のスキルのレベルを上げないと。
「ふ~ん……って、あれ?」
町の中を歩いていたはずだった。
だけどわたしがいま居る場所は、少し暗い細くて狭い道。
おかしいな、と思ったときにはもう遅かった……目の前に男の人たちが現れて──
「おい、聞いてんのかよ!」
ビクッと震える体を、助けてに来てくれたお姉ちゃんが抱きしめてくれる。
怒鳴ってくる怖いお兄さんたちから、わたしを隠すようにしてくれた。
結局のところ、強くなったのは肉体だけで精神は何も変わってない。
誰かに「ありがとう」と言ってもらえるような、力はない……「助けて」と言うこともできなかった。
──力があったら、どうだったんだろう?
わたしが前に出て戦いたいわけじゃない。
誰かの助けになって、誰かのためになるような力が欲しい。
だけど頼るだけじゃなくて、ちゃんと自分でできることがあるような……きっと都合が良すぎるような力が。
「チッ。おい、そろそろやっちま──」
お兄さんたちが近づいてきたけど、周りに変な感じを覚えたと思ったら、お兄さんたちはピタッと映像を止めた時みたいに動きを止めていた。
何が起こっているんだろう?
お姉さんが何かしたのかと思ったけど、わたしみたいに不思議そうな顔をしていた。
「……、…………?」
変な音が頭の中で聞こえてくる。
目の前が書き換わるみたいに、テレビで見たことのあるノイズみたいなモノがいつの間にかわたしたちの近くに居た。
「……ぁ、…………い?」
その音は声で、わたしたちに何かを伝えたいみたいだった。
少しずつ聞こえてくるその声は──
「──やあ、力が欲しくないかい?」
わたしたちに、そう訊いてきた。
===============================
邂逅時のレベルです
なお、生活魔法のみとある理由から5Pで習得できているのは……裏設定でしょうか?
あと、種族ごとにスキル習得に必要なSPが減ることもありますけど……そっちは気にしなくてもいいですよね?
基本、偽善者のステータスしか出ないうえに、彼は全部4Pですから
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ステータス
名前:オブリガーダ (女)
種族:(妖精族/小羽種Lv3)
職業:(僧侶Lv4)・(調合士Lv1)
HP:10
MP:700
AP:70
ATK:1
VIT:6
DEX:20
AGI:10
LUC:65
BP:15→0
スキルリスト
武術
(弓術Lv30)MAX
魔法
(回復魔法Lv30:職業)MAX→(回精魔法Lv1:5)
(水魔法Lv30)MAX→(氷魔法Lv1:5)
(精霊魔法Lv1:種族)(妖精魔法Lv1:種族)
(付与魔法Lv1)(生活魔法Lv1)
身体
(瞑想Lv30)→(冥想Lv1:10)
(魔力補正Lv20)(魔力強化Lv20)
(体外魔力操作Lv30)(体内魔力操作Lv30)MAX
→(魔力操作Lv1:10)
(浮遊Lv3:種族)(魔力化Lv1:種族)
技能
(鑑定Lv2)(隠蔽Lv1)(採取Lv1)(言語理解Lv1)
(高速詠唱Lv30:5)MAX→(無音詠唱Lv1:10)
(調合Lv2:職業)    (省略詠唱Lv1:10)
特殊
(僧侶の心得Lv4:職業)(調合の心得Lv1:職業)
(交渉Lv1)(属性適性・回復Lv-)(吸精Lv1:種族)
SP:1
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