コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

レイシス・ヴィ・アイリス・デストロイヤー

 レイシス・ヴィ・アイリス・デストロイヤーは世界最強の吸血鬼である。それは偽りでは無く、真だ。
 『真実は小説よりも奇なり』。
 その言葉が正に相応しいと思う程にそれは紛れも無い事実だ。
 では、もう一度。彼女についての説明をしておこう。
 伝説と言ってもいい程の吸血鬼。いや、伝説と呼ばれるべき吸血鬼なのか。それとも伝説と呼ばれていた吸血鬼とでも言うべきなのか。そんなことはどうでも良いが、彼女は既に何千年何万年という年月を生き、沢山の人間を喰らった吸血鬼であるということだけを頭の片隅にでも入れておいて貰えれば構わない。
 しかし、しかしだ。今の彼女は伝説の『で』の文字も出ないほどの幼女になってしまっている。
 好きなものはプリンと睡眠。すっかり現代社会に溶け込んでいる様に思えるが、彼女には彼女なりの闇を抱えていた……。

 今回はそんな世界最強と言われる前の、伝説になる前の、彼女がまだ【虐殺奴隷姫(ジェネサイドプリンセス)】と呼ばれていた頃の話をしよう。
 
 ✢✢✢
 時は現代から三万年も昔の話。
 ――彼女は人を喰らっていた。肉を食いちぎり、血飛沫を顔に付着させながらも喰った。
 人間が生き物を食べるという行為と同じ様に吸血鬼にとっても当たり前であり、日常的に行わなければならないことでもあった。
 彼女は血を吸わないと生きていけない。だが誰も彼女に血を分けてくれる人は居なかった。それもそのはずだ。吸血鬼というものは昔から恐れ、忌み嫌われる存在なのだから。
 そうなってしまえば彼女は交渉の余地も無く、ただ獲物を探しては喰い、探しては喰うしかない。
 腹が減ったら喰い、また減ったら喰う。
それはどんな生物がすることである自然の摂理だ。
 勿論、伝説と呼ばれることになるレイシスも対象である為、何度も何度も生きる為に血を喰らった。だがそんなことを許しはしない種族も居たのも確かだった。
 その種族こそが人類である。
 自分達を守る為に彼女に戦いを臨み、喰われた。それは親の世代から子の世代、孫の世代と伝わり、レイシスは吸血鬼として更に恐れられ、忌み嫌われた。
 最愛の親を喰われたら、子は恨む。
 仕返しをしようと挑む。負ける。という無限ループが何百年と続いたある日、彼女は雲の上の世界で過ごすことにした。

【 雲の上の世界――人間界では神が住んでいるといわれている世界。実際には龍族が住んでいる】

【 龍族――一般的に『紅』『蒼』『紫』『翠』の色によって分類される。書物には『黄金』と『銀白』の龍が空を駆け上がるのを見たと記されているが信憑性は極めて低い。稀に黒竜が生まれることがあり、『制約呪縛』を持っている】

 食には困らなかった。通常時、龍族は人と同じ容姿(人間よりも美系)をしているが非常時は本来の姿に戻る。大きさは魂の強さに比例しているという。龍族を喰えば、軽く千年は喰わなくても済んだので困ることは特に無かった。

 そしてレイシスが雲の上の世界に来て、二万年が経とうとした頃。

 地上の世界に異変が起きた。
 大地は割れ、空は黒く包まれ、海は大荒れた。魔物は狂ったように魔族を殺し、人間を食った。
 これが後に【世界の終焉ワールドエンド】と呼ばれ、第一次世界終末期の発端となった出来事である。

 もう少し詳しく説明すると世界の終焉ワールドエンド以降、人類・・滅びた・・・

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