コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

教室には女神がいた

 「はぁぁぁ……」
教室に入るのが憂鬱だ。
俺は白銀の女神に会うことを拒んでいる。
昨日振られた俺が彼女にどう思われているのか、俺の机は無事かどうか。
などと、心配事が残るからだ。
そんなこんなの間に教室の前に立ってあやふやしている。
ど、どうしよう。
とりあえず入ろう。

俺がそう思ってドアに手を掛けた瞬間だった。
ドアが開き、白銀の女神が現れた。
「あ、あ、あ……」
俺は言葉にならないような緊張と恥ずかしさに押し込まれながらも頑張って声を出そうと踏ん張る。

「あ、えぇぇと」
あまりのきょどり方だ。さすが! コミ症!
「どうしたんですか? 泉田君」
女神が俺に微笑んだ。その笑みにどんな意味が込められているのか分からない。
「あぁぁ、えっと」
俺は言葉を見失った。
さっきまで頭に浮かんでいたのに。
「熱かな?」
そう言って女神の顏が俺に近づいてくる。
俺の鼻息が荒くなっていくのを感じる。
「え、えぇぇ」
少しおどけてみせるが、女神は全く動じていない。
そのまま俺のおでこと女神のおでこがぴったんこした。
語尾に『♪』とか入れたかったけど我慢。

「うーん。少し熱かな?」
女神が俺のおでこからおでこを離す。
もっと側に居てほしかったのに、残念だ。

「ちょっと待って! 顔が赤くなってる。保健室行った方がいいよ」
女神が俺を心配している。
ありがたき、幸せだ。

その瞬間だった。

『1 「昨日は色々と迷惑かけちまったな。(イケメンスマイル)」』
『2 「俺の妻になってくれないか?」』
『3 「俺と付き合ってください!」それもかなりの大声』
『4 「雌豚共は全員消え失せろ! てめぇーもだ! この豚野郎!」』
コマンドが出現した。
それに四つになってやがるし。
もしかして保健室にいた時にコマンドの出現が少なかったからなのか。
1はとりあえずキャラの問題で却下。
2も内容的に却下。
3は昨日言ったからダメだ。二回目告るのは有りだと思うけど期間を開けて告らないと意味が無いと聞いた事がある。それに何度も告ってくる奴はうざいだけだとか。ってことで却下。
残るは4しかないみたいだな。って、なるかぼけ!
まず、4が一番ダメだ。こんな言葉を言ったら一気に俺の評価下がるわ!
『もしも4を選らんだ場合はボーナス特典が手に入ります』
新たな文字が俺の目の前に現れた。
かなり、興味深いことが書いているけど。
それはそれ、これはこれだ。まず、俺がこの環境でしなければならないことは彼女との誤解を解くこと。

「あれ? 泉田君。何ぶつぶつ言ってるの?」

「あぁーちょっとあってね!」

って、あれれー? おかしいーな? とか言って青の服を着た黒縁眼鏡の小学生がやってくるぞ。

でも、どういうことだ。女神は動いているぞ。

周りの奴らは—―動いている。
だけど、なぜだ? さっきまではそんなことは無かったのに。

「どうしたの? 泉田君。顔色が悪いけど?」
女神が俺を心配してくれている。
まじで嬉しい。もう、感激です。

「だ、大丈夫! それより、宮城さんの方こそ大丈夫?」

「だ、大丈夫? まぁ、私は別に大丈夫よ」

「俺と付き合って下さい!」
俺の口は勝手に動いていた。それもかなりの大声で。

俺は自分が叫んでいる時に気付いた。
さっきの言葉に「さん」が付いていたことに……

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品