我が家の床下で築くハーレム王国
第120話幸福と再会の披露宴
ハナティアのお色直しが終わった後、すぐに披露宴は行われた。先程の式とは違って、参列した人達はどこかのお偉い人とか、トリナディアに住んでいる人達とか、とにかく沢山の人が俺達を祝ってくれた。
その中には勿論フウカやミル、クレナティアさん、ハナティアが少し前に知り合ったというスズハさん、そして少し離れて先にキャロルがいた。
「こ、こんなに人って集まれるものなんだな」
「祝い事が皆好きだからね。特に今日はとても大事な日でしょ?」
「そうだな」
俺とハナティアは、それらを全て見回すことができる席で、披露宴を楽しんでいる。時には名前も知らない人とかが来て挨拶してきたり、かなり忙しいが、それでもこの時間はとても楽しかった。
「ハナティア、少しだけ席外してもいいぞ? サクヤには俺が話をしておくから」
その中でハナティアは何度もキャロルの事を気にしていたのを見ていた俺は、彼女に促す。
「え?」
「キャロルと話がしたいんだろ? いつ居なくなるか分からないし、行ってこいよ」
「……うん、ありがとう翔平」
それに対してハナティアは少しだけ戸惑いはしたものの、すぐに席を外してキャロルの元へと向かった。
「あれ、ハナティア様はどこへ?」
それと入れ違いでサクヤがやって来る。
「大切な話をしに行ったよ」
「……キャロル様の事ですか?」
「ああ。これで和解できればいいんだけどな……」
「それは、少し難しい話かもしれません」
「どうしてそんな事を言うんだ」
「本来お二人は、出会うべき関係ではないんですよ」
「何が……言いたいんだよ」
サクヤが何を言っているのか俺には理解できなかった。二人は腐れ縁であり、親友なのに、出会うべき関係じゃないって、どういう事だ。
「翔平様は、キャロル様のご両親の話は聞きましたよね?」
「ああ、二人で温泉に行った時に少しだけ。確かトリナディアを裏切ったとか聞いていたけど」
「正確には裏切ったのではなく、元からそうだったんですよ」
「元から?」
それはつまり、キャロルは最初から……。
「って、祝いの日にこんな事を話すべきじゃないですよね。ほら、翔平様は主役なのですから、どんどん食べてください」
「あ、馬鹿、そんなに料理を持ってくるなよ。流石に食べれないだろ」
「食べれなくても、食べるんですよ」
「いや、全く意味が分からないから!」
サクヤは誤魔化すように話を無理やりすり替えたが、俺の中ではキャロルへの疑念が消えなかった。
あの時キャロルがパソコンを隠すように持っていた理由は?
そしてあの場所にいた理由は?
その答えはもしかしたら、今のサクヤの言葉の中にあったのかもしれない。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
それからしばらくしてハナティアは席に戻ってきた。しかし彼女はどこか浮かない顔をしている。
「どうしたんだよハナティア、新婦がそんな顔してたら、折角の披露宴が台無しだぞ」
「そんな顔をしたくもなるわよ。キャロルは、ミルよりも何倍も分からず屋なんだから」
「まあまあ、その話はまた後にしよう。あくまで今日は俺達の結婚式なんだからさ」
「……うん」
そんなハナティアを励ましたものの、彼女はやはり元気がなく、その状態なまま披露宴は終盤に差し掛かっていった。
「ちょっとダーリン、ハナちゃんさっきからずっと元気ないよ?」
それを見かねてか、ついにミルが俺にそんな事を言ってきた。
「分かってる。何とかしてあげたいんだけど、多分難しい」
「もしかしてキャロちゃんの事?」
「知っているのか?」
「今ハナちゃんが元気がない原因として考えられるのは、それくらいだから」
どこか遠い目をするミル。彼女ももしかしたら、キャロルの事について知っているのかもしれない。接触は少ないかもしれないけど、共通の友人がいるならば……。
「ダーリン、申し訳ないけど私はダーリンが求めているような答えは出せないよ」
「え?」
「確かに私はハナちゃんの事は沢山知っている。けど、知らない事だって沢山あるの」
そこまでミルが言って、俺は気づいた。彼女は先ほどから遠い目をしているのではなく、ある一点をずっと見ている事に。
ただそこには誰の姿もなかった。
「もう行っちゃったか……」
「ミル?」
「え、あ、ごめん。ちょっと私お花を摘んでくるね」
慌てた様子でミルはその場を去って行ってしまった。一人になった俺は、こんな状態になってしまったハナティアを放っておく事はできず、
「ハナティア」
「何? 翔平」
「ちょっと二人で話したい事がある」
「え、ちょっと、まだ披露宴の途中なのに」
「そんな顔じゃ披露宴も楽しめないだろ?」
彼女を披露宴会場の外へと連れ出してしまった。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
「もう誰にも会えない? キャロルはそう言ったのか?」
「うん。だから最後に一度だけ私に会いに来たんだって。翔平にもありがとうって伝えておいてって言ってた」
「あいつ……」
ハナティアを彼女の部屋まで連れてきた俺は、一体キャロルと何の話をしたのかと聞くと、ハナティアはそう答えた。
もう会えないから最後に会いに来た
確かにそんな事を言われればハナティアじゃなくても、ショックを受けるし元気もなくなる。
「結婚式だから元気でいなきゃいけないのは分かってる。でも、私耐えられないよ翔平」
「ハナティア……」
「ねえ、どうしてこうなっちゃったの? どうしてキャロルと私は、こんな冷めた関係になっちゃったの?」
「それは」
どう答えればいいか分からない。何が始まりで、何がこの終わりを導いたのか、俺には分からない。
それはハナティアもきっと同じ。
同じだからこそ答えが出てこない。
「それは私達が出会った時からだよ、ハナちゃん」
けどその答えを出したのは、部屋の外から聞こえてきた声。
「キャロル?!」
「開けないで」
その声に反応したハナティアが扉を開けようとしたが、それは声によって止められてしまう。
そして次に彼女が発したのは、ハナティアにとってはとても残酷な言葉だった。
「もう会わないって決めたから、開けないで。私はもう、ハナちゃんが知っている私じゃないから」
その中には勿論フウカやミル、クレナティアさん、ハナティアが少し前に知り合ったというスズハさん、そして少し離れて先にキャロルがいた。
「こ、こんなに人って集まれるものなんだな」
「祝い事が皆好きだからね。特に今日はとても大事な日でしょ?」
「そうだな」
俺とハナティアは、それらを全て見回すことができる席で、披露宴を楽しんでいる。時には名前も知らない人とかが来て挨拶してきたり、かなり忙しいが、それでもこの時間はとても楽しかった。
「ハナティア、少しだけ席外してもいいぞ? サクヤには俺が話をしておくから」
その中でハナティアは何度もキャロルの事を気にしていたのを見ていた俺は、彼女に促す。
「え?」
「キャロルと話がしたいんだろ? いつ居なくなるか分からないし、行ってこいよ」
「……うん、ありがとう翔平」
それに対してハナティアは少しだけ戸惑いはしたものの、すぐに席を外してキャロルの元へと向かった。
「あれ、ハナティア様はどこへ?」
それと入れ違いでサクヤがやって来る。
「大切な話をしに行ったよ」
「……キャロル様の事ですか?」
「ああ。これで和解できればいいんだけどな……」
「それは、少し難しい話かもしれません」
「どうしてそんな事を言うんだ」
「本来お二人は、出会うべき関係ではないんですよ」
「何が……言いたいんだよ」
サクヤが何を言っているのか俺には理解できなかった。二人は腐れ縁であり、親友なのに、出会うべき関係じゃないって、どういう事だ。
「翔平様は、キャロル様のご両親の話は聞きましたよね?」
「ああ、二人で温泉に行った時に少しだけ。確かトリナディアを裏切ったとか聞いていたけど」
「正確には裏切ったのではなく、元からそうだったんですよ」
「元から?」
それはつまり、キャロルは最初から……。
「って、祝いの日にこんな事を話すべきじゃないですよね。ほら、翔平様は主役なのですから、どんどん食べてください」
「あ、馬鹿、そんなに料理を持ってくるなよ。流石に食べれないだろ」
「食べれなくても、食べるんですよ」
「いや、全く意味が分からないから!」
サクヤは誤魔化すように話を無理やりすり替えたが、俺の中ではキャロルへの疑念が消えなかった。
あの時キャロルがパソコンを隠すように持っていた理由は?
そしてあの場所にいた理由は?
その答えはもしかしたら、今のサクヤの言葉の中にあったのかもしれない。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
それからしばらくしてハナティアは席に戻ってきた。しかし彼女はどこか浮かない顔をしている。
「どうしたんだよハナティア、新婦がそんな顔してたら、折角の披露宴が台無しだぞ」
「そんな顔をしたくもなるわよ。キャロルは、ミルよりも何倍も分からず屋なんだから」
「まあまあ、その話はまた後にしよう。あくまで今日は俺達の結婚式なんだからさ」
「……うん」
そんなハナティアを励ましたものの、彼女はやはり元気がなく、その状態なまま披露宴は終盤に差し掛かっていった。
「ちょっとダーリン、ハナちゃんさっきからずっと元気ないよ?」
それを見かねてか、ついにミルが俺にそんな事を言ってきた。
「分かってる。何とかしてあげたいんだけど、多分難しい」
「もしかしてキャロちゃんの事?」
「知っているのか?」
「今ハナちゃんが元気がない原因として考えられるのは、それくらいだから」
どこか遠い目をするミル。彼女ももしかしたら、キャロルの事について知っているのかもしれない。接触は少ないかもしれないけど、共通の友人がいるならば……。
「ダーリン、申し訳ないけど私はダーリンが求めているような答えは出せないよ」
「え?」
「確かに私はハナちゃんの事は沢山知っている。けど、知らない事だって沢山あるの」
そこまでミルが言って、俺は気づいた。彼女は先ほどから遠い目をしているのではなく、ある一点をずっと見ている事に。
ただそこには誰の姿もなかった。
「もう行っちゃったか……」
「ミル?」
「え、あ、ごめん。ちょっと私お花を摘んでくるね」
慌てた様子でミルはその場を去って行ってしまった。一人になった俺は、こんな状態になってしまったハナティアを放っておく事はできず、
「ハナティア」
「何? 翔平」
「ちょっと二人で話したい事がある」
「え、ちょっと、まだ披露宴の途中なのに」
「そんな顔じゃ披露宴も楽しめないだろ?」
彼女を披露宴会場の外へと連れ出してしまった。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
「もう誰にも会えない? キャロルはそう言ったのか?」
「うん。だから最後に一度だけ私に会いに来たんだって。翔平にもありがとうって伝えておいてって言ってた」
「あいつ……」
ハナティアを彼女の部屋まで連れてきた俺は、一体キャロルと何の話をしたのかと聞くと、ハナティアはそう答えた。
もう会えないから最後に会いに来た
確かにそんな事を言われればハナティアじゃなくても、ショックを受けるし元気もなくなる。
「結婚式だから元気でいなきゃいけないのは分かってる。でも、私耐えられないよ翔平」
「ハナティア……」
「ねえ、どうしてこうなっちゃったの? どうしてキャロルと私は、こんな冷めた関係になっちゃったの?」
「それは」
どう答えればいいか分からない。何が始まりで、何がこの終わりを導いたのか、俺には分からない。
それはハナティアもきっと同じ。
同じだからこそ答えが出てこない。
「それは私達が出会った時からだよ、ハナちゃん」
けどその答えを出したのは、部屋の外から聞こえてきた声。
「キャロル?!」
「開けないで」
その声に反応したハナティアが扉を開けようとしたが、それは声によって止められてしまう。
そして次に彼女が発したのは、ハナティアにとってはとても残酷な言葉だった。
「もう会わないって決めたから、開けないで。私はもう、ハナちゃんが知っている私じゃないから」
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