我が家の床下で築くハーレム王国
第117話たった一つの贈り物
何とかしてみるという返答を聞いて、ハナティアが部屋に戻ってきた後は、何故だか無性にも彼女が愛おしくなり、昨晩と今日の夜までの出来事がほとんど変わらないという一日になってしまった。
「夜ね」
「夜だな」
「結婚前夜ね」
「結婚前夜だな」
どこかの超国民的アニメのタイトルかなんかであった適当な会話をする俺達。一日一緒にいたからか、話したいことは沢山話したし、もう明日のその時を待つだけ。
「ねえ翔平」
「ん?」
「さっきは雪音達の事を頼んだけど、本当はしてほしい事他にあるんじゃない?」
「どうしてそう思うんだ?」
「何となくだけど、翔平っていつも自分がしたい事はあまりしないから」
そんな事をハナティアは言うが、自分はそうはあまり思っていなかった。むしろ自分がしたい事は、沢山している気がする。
「別に他に頼みたい事はないよ。それに、一つだけの約束だろ?」
「それは今日の話。これからの事も含めて、改めて翔平がしたい事はないの?」
「これからしたい事、か」
それなら山ほどある。明日結婚式を迎えるとはいえ、これはまだスタートラインに過ぎない。これからハナティアは子供を産み、子育てや、国の発展をしていかなければならない。
でもそれをしていく過程で、絶対に居なければならない存在がすぐ隣にいる。
「ハナティアがこの先もずっと隣にいてくれれば、それだけでいいよ俺は」
「ほ、本当あんたは不意打ちでそんな恥ずかしい事を言えるわよね」
「恥ずかしいか?」
「翔平はともかくとして、私が恥ずかしいの!」
顔を赤くしてそっぽを向いてしまうハナティア。俺はそんな彼女を、不意に抱き寄せてしまった。
「ひゃっ」
「悪い驚かせて」
「い、いきなり何をするのよ……馬鹿」
ハナティアは最初は驚いたものの、力を抜いて委ねてくれる。こんなにも近くに彼女を感じれたのは、何だか久しぶりな気がする。
九月の演説があって、十月の殆どは距離が離れていて、彼女をこうして触れられたのは本当に久しぶりだった。
「なあハナティア、絶対に居なくならないでくれよ」
「……うん」
「約束だぞ」
「うん、約束」
こうして二人だけの静かな時間は過ぎていき……。
「おはよう翔平」
「おはよう」
俺達は結婚式の朝を迎える。
■□■□■□
最高の目覚めだった。
ハナティアとほぼ同じタイミングで目を覚ました俺は、体を起こす。
「いよいよだな、ハナティア」
「うん。やっとこの日が来たんだね」
それを見てハナティアも体を起こす。清々しい朝の目覚めで、結婚式当日にはとても最適な一日になるかもしれない。
「おはよう二人共。昨日はお楽しみでしたか?」
そんな清々しい朝の目覚めは、突然やって来たクレナティアさんによって破られてしまう。というかその言葉、どこかで聞いたことがあるんですけど。
「もうお姉ちゃん、何でそんなに元気なの?」
「だって妹の結婚式なんだから、当たり前でしょ?」
「だからってそんなに喜ばなくてもいいのに。わたしまだ起きたばっかりだよ?」
苦笑いしながら俺とハナティアは布団から降りた。
「まあ嬉しい気持ちは分かりますけど、俺達より喜んでどうするんですか」
「翔君も乗り気じゃないなぁ。そんな調子だと、この先の生活が危ないわよ?」
「何がどう危ないんですか」
一昨日俺にあんな言葉をかけた人物と同一人物とは思えないくらい元気なクレナティアさん。こっちが素なのか、それともあっちが本当の性格なのか本当に分かりにくい。
「そういえばどうしてわざわざ部屋に来たの? まさかからかいに来ただけじゃないよね」
「あ、そうそう忘れてた。結婚式前に貴方に渡したいものがあるのよハナティア」
「私に?」
「まあ正確には翔君が渡すべきものなんだけどね」
そう言ってクレナティアさんは小箱を取り出してそれをハナティアに渡した。
「この箱、ずっとお姉ちゃんが持ってたの?」
「持ってたというよりは託されていたんだけど。その時が来たらハナティアに渡してほしいってお母さんが」
「お母さんが?」
ハナティアはゆっくりと箱を開く。俺もその中身を見ると、そこには結婚指輪と思われるものがが入っていた。でもその大きさは、ハナティアの薬指より少し大きめのものだった。
「これお母さんが付けていたやつだよね?」
「まだ小さかったのによく覚えていたわね。それ、お母さんが付けていた指輪よ」
「お母さんの形見……」
「形見って言うのは少しだけ悲しいけど、ね」
母から子に送られたたった一つの贈り物。その指輪には、ハナティアの髪の色と同じ色の宝石が埋め込まれていて、まさしく彼女のために用意されていたと言っても過言ではない。
それを受け取ったハナティアは、しばらくそれを見つめた後に、俺に差し出してきた。
「翔平、これは結婚式で翔平がはめてくれないかな。そうしないと結婚式って感じがしないでしょ?」
「そうだな。指輪を用意してやれなかったから、これくらいの役目は果たさせてもらうよ」
俺はそれを大切に受け取り、ポケットにしまう。そして今度は俺の方が彼女に手を差し出した。
「じゃあそろそろ行くかハナティア」
「うん」
その手をハナティアはしっかり握ってくれた。
俺達の結婚式がいよいよ幕が開く。
「夜ね」
「夜だな」
「結婚前夜ね」
「結婚前夜だな」
どこかの超国民的アニメのタイトルかなんかであった適当な会話をする俺達。一日一緒にいたからか、話したいことは沢山話したし、もう明日のその時を待つだけ。
「ねえ翔平」
「ん?」
「さっきは雪音達の事を頼んだけど、本当はしてほしい事他にあるんじゃない?」
「どうしてそう思うんだ?」
「何となくだけど、翔平っていつも自分がしたい事はあまりしないから」
そんな事をハナティアは言うが、自分はそうはあまり思っていなかった。むしろ自分がしたい事は、沢山している気がする。
「別に他に頼みたい事はないよ。それに、一つだけの約束だろ?」
「それは今日の話。これからの事も含めて、改めて翔平がしたい事はないの?」
「これからしたい事、か」
それなら山ほどある。明日結婚式を迎えるとはいえ、これはまだスタートラインに過ぎない。これからハナティアは子供を産み、子育てや、国の発展をしていかなければならない。
でもそれをしていく過程で、絶対に居なければならない存在がすぐ隣にいる。
「ハナティアがこの先もずっと隣にいてくれれば、それだけでいいよ俺は」
「ほ、本当あんたは不意打ちでそんな恥ずかしい事を言えるわよね」
「恥ずかしいか?」
「翔平はともかくとして、私が恥ずかしいの!」
顔を赤くしてそっぽを向いてしまうハナティア。俺はそんな彼女を、不意に抱き寄せてしまった。
「ひゃっ」
「悪い驚かせて」
「い、いきなり何をするのよ……馬鹿」
ハナティアは最初は驚いたものの、力を抜いて委ねてくれる。こんなにも近くに彼女を感じれたのは、何だか久しぶりな気がする。
九月の演説があって、十月の殆どは距離が離れていて、彼女をこうして触れられたのは本当に久しぶりだった。
「なあハナティア、絶対に居なくならないでくれよ」
「……うん」
「約束だぞ」
「うん、約束」
こうして二人だけの静かな時間は過ぎていき……。
「おはよう翔平」
「おはよう」
俺達は結婚式の朝を迎える。
■□■□■□
最高の目覚めだった。
ハナティアとほぼ同じタイミングで目を覚ました俺は、体を起こす。
「いよいよだな、ハナティア」
「うん。やっとこの日が来たんだね」
それを見てハナティアも体を起こす。清々しい朝の目覚めで、結婚式当日にはとても最適な一日になるかもしれない。
「おはよう二人共。昨日はお楽しみでしたか?」
そんな清々しい朝の目覚めは、突然やって来たクレナティアさんによって破られてしまう。というかその言葉、どこかで聞いたことがあるんですけど。
「もうお姉ちゃん、何でそんなに元気なの?」
「だって妹の結婚式なんだから、当たり前でしょ?」
「だからってそんなに喜ばなくてもいいのに。わたしまだ起きたばっかりだよ?」
苦笑いしながら俺とハナティアは布団から降りた。
「まあ嬉しい気持ちは分かりますけど、俺達より喜んでどうするんですか」
「翔君も乗り気じゃないなぁ。そんな調子だと、この先の生活が危ないわよ?」
「何がどう危ないんですか」
一昨日俺にあんな言葉をかけた人物と同一人物とは思えないくらい元気なクレナティアさん。こっちが素なのか、それともあっちが本当の性格なのか本当に分かりにくい。
「そういえばどうしてわざわざ部屋に来たの? まさかからかいに来ただけじゃないよね」
「あ、そうそう忘れてた。結婚式前に貴方に渡したいものがあるのよハナティア」
「私に?」
「まあ正確には翔君が渡すべきものなんだけどね」
そう言ってクレナティアさんは小箱を取り出してそれをハナティアに渡した。
「この箱、ずっとお姉ちゃんが持ってたの?」
「持ってたというよりは託されていたんだけど。その時が来たらハナティアに渡してほしいってお母さんが」
「お母さんが?」
ハナティアはゆっくりと箱を開く。俺もその中身を見ると、そこには結婚指輪と思われるものがが入っていた。でもその大きさは、ハナティアの薬指より少し大きめのものだった。
「これお母さんが付けていたやつだよね?」
「まだ小さかったのによく覚えていたわね。それ、お母さんが付けていた指輪よ」
「お母さんの形見……」
「形見って言うのは少しだけ悲しいけど、ね」
母から子に送られたたった一つの贈り物。その指輪には、ハナティアの髪の色と同じ色の宝石が埋め込まれていて、まさしく彼女のために用意されていたと言っても過言ではない。
それを受け取ったハナティアは、しばらくそれを見つめた後に、俺に差し出してきた。
「翔平、これは結婚式で翔平がはめてくれないかな。そうしないと結婚式って感じがしないでしょ?」
「そうだな。指輪を用意してやれなかったから、これくらいの役目は果たさせてもらうよ」
俺はそれを大切に受け取り、ポケットにしまう。そして今度は俺の方が彼女に手を差し出した。
「じゃあそろそろ行くかハナティア」
「うん」
その手をハナティアはしっかり握ってくれた。
俺達の結婚式がいよいよ幕が開く。
コメント