我が家の床下で築くハーレム王国
年末特別編 トリナディアで年越し
クリスマスも終わり、気がつけば年の瀬。俺にとっては初めてのトリナディアでの年越しになった。
「流石に年越しはやるんだな。トリナディアでも」
「当たり前でしょ。新年くらい祝わないと」
「クリスマスすら知らなかったくせによく言うよ」
「そ、それは習慣がなかっただけで、仕方がないでしょ」
「月の概念はあるんだから、どんなイベントがあるのとか調べておけよな」
先日のクリスマスとは違って、流石に年越しという概念もこの国にはあるらしい。ホッと一安心はするものの、果たしてどんな年越しになるか聊か不安ではある。
「ちなみに翔平はトリナディアで年越しもした事あるのよ」
「それ本当か?」
「覚えていないみたいね。まあ、あの時の事は覚えていなくても別にいいや。私も……その思い出したくないし」
「何があったんだよ年の瀬に」
「か、語れるような話じゃないから聞かないで!」
「なんで怒るんだよ……」
顔真っ赤にまでして言うのだから、本当に聞かない方がいいのかもしれないけど、ここまで焦らされるとかえって気になる。
「ちなみにサクヤとかにも絶対に聞かないでよね!」
「いや、分かったから落ち着けって」
年が明けたら聞いてみようかな。
■□■□■□
過去に一体何があったのか、気になりながらも近づく新年に俺は少しだけ胸を躍らせていた。
今年の一年は春から色々な事があって、ある意味では人生の転機にもなった一年だったけど、果たして来年はどんな事が待っているのか、期待と不安が胸をよぎる。
(まあ、まず最初は……)
ハナティアの出産だよな。
「来年の目標? まずは子供を無事に産むことかな」
「ハナティア様はやはりそれですよね。ちなみに私は、去年以上に素晴らしいくにを築き上げることに、助力し尽くす事ですかね」
来年に向けて試しに二人に目標を聞いてみたところ、そんな返事が返ってきた。二人とも俺が考えていた通りの答えではあったけど、それはそれでいいのかもしれないと俺は思う。
ところで、
「もうすぐ新年迎えようとしているのに、何やっているんだ?」
何で俺の部屋に二人がやってきて、部屋を荒らしているのでしょうか?
「何って部屋の掃除よ。ねえサクヤ」
「はい。掃除をしながら年越しをするのが、毎年の決まり事ですから」
キメ顔で言ってのけるお二人。当然のように言っているけど、新年まであと二時間もないし、そういう掃除ってもっと早くにやるものではないでしょうか?
(いや、そもそも)
「年越し蕎麦とか食べないのか?」
「としこしそば? 何それ」
「知らないのか? クリスマスを知らなかった以上の驚きなんだけど」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない」
「いや、だって、お前それって常識的に考えて」
あり得ないと言おうとしたが、よく考えれば常識は通用しない世界だ。聞かずもがなだが恐らく御節とかの概念も……。
「そういえば御節の準備はできたの?」
「はい。明日にはしっかりとした物を出せますよ。お楽しみにしていてください」
「あるのかよ!」
「何ですかいきなり」
「あ、いや、何でもない」
常識があるのかないのか、分からなくなってきたよ俺……。
■□■□■□
そんなやり取りとか掃除とか色々している内に、新年まで残り十分になった。
「これが年越し蕎麦?」
「時間がないから簡易な物になっちゃったけどな」
「いただきます、翔平」
「では私もいただきますね、翔平様」
「ああ。どうぞ召し上がれ」
蕎麦を食べないで年越しをするのは良くないと思った俺は、城にあるもので簡単な年越し蕎麦を二人に作った。出来立てホヤホヤの蕎麦をフーフーしながら食べ出すハナティアとサクヤ。
「美味しい! 体が暖まる」
「美味しです、翔平様」
「そう言ってくれると作った甲斐があるよ」
二人の食べる姿を眺めながら俺も年越し蕎麦を食べる。そうしている内に時間も過ぎていき、
「そろそろだな」
「え? もうそんな時間?」
「あと一分ですね」
気がつけばカウントダウンの時が近づいていた。
「じゃあそろそろカウントダウンだな」
「か、カウントダウン?!」
「ほら、いくぞ、十、九、八、七、六、五」
「え、え、四、三、二、一」
「「「ゼロ!」」」
ゼロの言葉と同時にどこからか鐘が鳴り響く。この国に除夜の鐘ってあったっけ?
まあ、今はそれはいいか。
「あけましておめでとう! 二人とも今年もよろしくな」
「よろしくね、翔平、サクヤ」
「宜しくお願いします、お二人とも」
こうしてあっという間にトリナディアで迎える新年が幕開けしたのであった。
ただ、この年末年始の出来事はまだ終わりではなかった。この正月はある意味俺の試練の日となる事になる。
「翔平、お年玉頂戴!」
「お前が欲しがるのかよ!」
正月特別編へ続く
「流石に年越しはやるんだな。トリナディアでも」
「当たり前でしょ。新年くらい祝わないと」
「クリスマスすら知らなかったくせによく言うよ」
「そ、それは習慣がなかっただけで、仕方がないでしょ」
「月の概念はあるんだから、どんなイベントがあるのとか調べておけよな」
先日のクリスマスとは違って、流石に年越しという概念もこの国にはあるらしい。ホッと一安心はするものの、果たしてどんな年越しになるか聊か不安ではある。
「ちなみに翔平はトリナディアで年越しもした事あるのよ」
「それ本当か?」
「覚えていないみたいね。まあ、あの時の事は覚えていなくても別にいいや。私も……その思い出したくないし」
「何があったんだよ年の瀬に」
「か、語れるような話じゃないから聞かないで!」
「なんで怒るんだよ……」
顔真っ赤にまでして言うのだから、本当に聞かない方がいいのかもしれないけど、ここまで焦らされるとかえって気になる。
「ちなみにサクヤとかにも絶対に聞かないでよね!」
「いや、分かったから落ち着けって」
年が明けたら聞いてみようかな。
■□■□■□
過去に一体何があったのか、気になりながらも近づく新年に俺は少しだけ胸を躍らせていた。
今年の一年は春から色々な事があって、ある意味では人生の転機にもなった一年だったけど、果たして来年はどんな事が待っているのか、期待と不安が胸をよぎる。
(まあ、まず最初は……)
ハナティアの出産だよな。
「来年の目標? まずは子供を無事に産むことかな」
「ハナティア様はやはりそれですよね。ちなみに私は、去年以上に素晴らしいくにを築き上げることに、助力し尽くす事ですかね」
来年に向けて試しに二人に目標を聞いてみたところ、そんな返事が返ってきた。二人とも俺が考えていた通りの答えではあったけど、それはそれでいいのかもしれないと俺は思う。
ところで、
「もうすぐ新年迎えようとしているのに、何やっているんだ?」
何で俺の部屋に二人がやってきて、部屋を荒らしているのでしょうか?
「何って部屋の掃除よ。ねえサクヤ」
「はい。掃除をしながら年越しをするのが、毎年の決まり事ですから」
キメ顔で言ってのけるお二人。当然のように言っているけど、新年まであと二時間もないし、そういう掃除ってもっと早くにやるものではないでしょうか?
(いや、そもそも)
「年越し蕎麦とか食べないのか?」
「としこしそば? 何それ」
「知らないのか? クリスマスを知らなかった以上の驚きなんだけど」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない」
「いや、だって、お前それって常識的に考えて」
あり得ないと言おうとしたが、よく考えれば常識は通用しない世界だ。聞かずもがなだが恐らく御節とかの概念も……。
「そういえば御節の準備はできたの?」
「はい。明日にはしっかりとした物を出せますよ。お楽しみにしていてください」
「あるのかよ!」
「何ですかいきなり」
「あ、いや、何でもない」
常識があるのかないのか、分からなくなってきたよ俺……。
■□■□■□
そんなやり取りとか掃除とか色々している内に、新年まで残り十分になった。
「これが年越し蕎麦?」
「時間がないから簡易な物になっちゃったけどな」
「いただきます、翔平」
「では私もいただきますね、翔平様」
「ああ。どうぞ召し上がれ」
蕎麦を食べないで年越しをするのは良くないと思った俺は、城にあるもので簡単な年越し蕎麦を二人に作った。出来立てホヤホヤの蕎麦をフーフーしながら食べ出すハナティアとサクヤ。
「美味しい! 体が暖まる」
「美味しです、翔平様」
「そう言ってくれると作った甲斐があるよ」
二人の食べる姿を眺めながら俺も年越し蕎麦を食べる。そうしている内に時間も過ぎていき、
「そろそろだな」
「え? もうそんな時間?」
「あと一分ですね」
気がつけばカウントダウンの時が近づいていた。
「じゃあそろそろカウントダウンだな」
「か、カウントダウン?!」
「ほら、いくぞ、十、九、八、七、六、五」
「え、え、四、三、二、一」
「「「ゼロ!」」」
ゼロの言葉と同時にどこからか鐘が鳴り響く。この国に除夜の鐘ってあったっけ?
まあ、今はそれはいいか。
「あけましておめでとう! 二人とも今年もよろしくな」
「よろしくね、翔平、サクヤ」
「宜しくお願いします、お二人とも」
こうしてあっという間にトリナディアで迎える新年が幕開けしたのであった。
ただ、この年末年始の出来事はまだ終わりではなかった。この正月はある意味俺の試練の日となる事になる。
「翔平、お年玉頂戴!」
「お前が欲しがるのかよ!」
正月特別編へ続く
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