我が家の床下で築くハーレム王国
閑話5 最後は恋話に花を咲かせて
雪音が泣き止むのを待って、俺は彼女と一緒にハナティア達がいる場所へと戻って来た。
「おかえり二人共」
「雪音、目が赤いけど何かあったのか?」
「あ、えっと、これは……大丈夫です。それより私、ハナティアとお話がしたいので少しよろしいですか?」
「え、あ、うん。私は大丈夫だけど」
「じゃあ少し来てください」
ハナティア達の場所に戻ってすぐ、今度は雪音がハナティアを連れてどこかへ行ってしまう。残された俺と正志は、まだ少しだけ残されたパーティの後片付けをする事にした。
「雪音とそんな事話していたのかお前」
「雪音本人はそれを話す為に俺を呼んだわけではないと思うけどさ、やっぱり俺も言葉の選び方が悪かったのかな」
「それは俺には分からないな。それはあいつがこの先どうしていくかに限るからな」
「それを支えてやるのは、お前だろ正志」
片付けを行いながら俺はさっきまでのやり取りを正志と話す。少々俺も無責任すぎるかもしれないが、もうこの先の事は俺にはどうにもできない。
「お前って時々無責任な事言うよな、翔平」
「自覚はしているよ」
「だったら少しは直せよな。ハナティアちゃんに迷惑かけるぞ」
「それは何とかするよ」
それからしばらく会話はなく、ようやく正志が口を開いたのは片付けが終わった後だった。
「なあ翔平」
「ん?」
「俺この先雪音とやって行けるかな」
「何だよいきなり」
「いや、何か明日からお前がいないってなると少しだけ不安だからさ」
「まあ、一度振られているからな」
「それは言うなよ」
正志が不安な気持ちは多少は理解できる。むしろおれも明日からの生活に不安を感じているし、二人のことも若干心配だ。
(雪音の気持ちがああである以上、すぐにはどうにかできないよな……)
「それも結局はお前の努力次第じゃないか。もしお前にまだ雪音への想いがあるなら、あとはお前がどうしたいかだろうし」
「俺がどうしたいか、か」
「望むような結果をもたらさなくても、そこで諦めなければ何かはきっと起きると俺は思うよ。だから頑張れよ正志」
「まさか、そんな事をお前の口から言われるなんてな」
だから俺はただ応援する事しかできない。それを形にはできないけど、せめて二人が幸せになってくれれば、俺はそれでもいいと思う。
「結婚式は呼んでくれよな」
「気が早いなお前は! どちらかというとお前が先だろ」
「え? 新婚生活の相談じゃなかったのか?」
「お前それ素で言っていたら怒るぞ」
■□■□■□
「私、翔平君の事を諦めるなんてやっぱりできません」
私を呼び出した雪音が最初に言った一言がそれだった。以前にも同じ事を彼女は言っていたけど、改めて私に話すという事はさっき翔平と何かあったのだろうか。
「雪音はそんなに翔平の事が好きなの?」
「はい。ずっとです」
「その一途なところ、私嫌いじゃないけどそれだと将来困ったりしないかな」
「そ、それは私も分かっているんです」
「正志の事はどう思っているの?」
「範疇にありません」
「それ本人に言わないであげてね。きっと泣いちゃうから」
三人の関係を客観的に見て私は、どうしてこんなにもこじれてしまったのだろう思ってしまう。翔平だってきっと、悪気はないのだろうけど雪音を見放す事しかできないのだと思う。
(これってやっぱり私のせいなのかな)
きっと翔平はそうじゃないって答えるだろうけど、もしかしたらもう一つの未来の可能性だってあったかもしれない。
私と翔平が結ばれず、雪音と結ばれる未来。
結果としては正志の想いが実る事はないだろうけど。
「でもさ雪音も、少しは正志の気持ちを考えてあげてもいいんじゃないかな」
「正志君の気持ちは伝わっているといえば伝わっているんです。でも、その、理想の男性にはちょっと遠くて」
「その理想の男性が翔平な訳?」
「はい。それしか考えられません」
「考えられないんじゃなくて、他の男性を見た事がないんじゃないの?」
「うっ、そ、それは……」
図星だっらしく、雪音は黙ってしまう。このままだと次再会した時ももしかしたら……。
「ねえ雪音、一つ約束しない?」
「約束ですか?」
「次私達が再会した時はさぁ……」
■□■□■□
「これで終わったんだな……」
「翔平君……」
ハナティアとある約束を交わし、そしてそれから数時間後私は正志君と共にトリナディアを後にした。そして私の中に込み上げてきたのは、何年も翔平君に会えない寂しさと、悲しみだった。
「どうしたんだよ雪音、二度と会えないわけじゃないんだから元気出せよ。明日から俺達はいつも通り大学に通うんだぞ?」
「そ、そんなの分かっていますよ! 正志君に言われなくたって」
私達はもはや空き部屋となった翔平君の部屋から出て、すっかり暗くなってしまった夜道を二人で歩く。彼の言っている通り私達は学生であり、明日からは日常へと戻っていく。
翔平君が隣にいない日常が。
「ねえ正志君」
「ん?」
「すぐには難しいかもしれませんが、私少しだけ頑張ろうと思います」
「頑張ろうって何を?」
「それはまだ内緒です。いつかは分かると思います」
「なんだよ勿体ぶるなよ」
「そういうところが駄目なんですよ、正志君は」
正志君と二人で過ごしていく日常が。
『約束ですか?』
『次再会した時はさあ、雪音が私に彼氏を紹介するって約束』
『そ、そんな無茶苦茶ですよ!』
『無茶苦茶じゃない。やるのよ雪音!』
『努力は……してみますよ』
その日常にしばらくは慣れないと思うけど。
「おかえり二人共」
「雪音、目が赤いけど何かあったのか?」
「あ、えっと、これは……大丈夫です。それより私、ハナティアとお話がしたいので少しよろしいですか?」
「え、あ、うん。私は大丈夫だけど」
「じゃあ少し来てください」
ハナティア達の場所に戻ってすぐ、今度は雪音がハナティアを連れてどこかへ行ってしまう。残された俺と正志は、まだ少しだけ残されたパーティの後片付けをする事にした。
「雪音とそんな事話していたのかお前」
「雪音本人はそれを話す為に俺を呼んだわけではないと思うけどさ、やっぱり俺も言葉の選び方が悪かったのかな」
「それは俺には分からないな。それはあいつがこの先どうしていくかに限るからな」
「それを支えてやるのは、お前だろ正志」
片付けを行いながら俺はさっきまでのやり取りを正志と話す。少々俺も無責任すぎるかもしれないが、もうこの先の事は俺にはどうにもできない。
「お前って時々無責任な事言うよな、翔平」
「自覚はしているよ」
「だったら少しは直せよな。ハナティアちゃんに迷惑かけるぞ」
「それは何とかするよ」
それからしばらく会話はなく、ようやく正志が口を開いたのは片付けが終わった後だった。
「なあ翔平」
「ん?」
「俺この先雪音とやって行けるかな」
「何だよいきなり」
「いや、何か明日からお前がいないってなると少しだけ不安だからさ」
「まあ、一度振られているからな」
「それは言うなよ」
正志が不安な気持ちは多少は理解できる。むしろおれも明日からの生活に不安を感じているし、二人のことも若干心配だ。
(雪音の気持ちがああである以上、すぐにはどうにかできないよな……)
「それも結局はお前の努力次第じゃないか。もしお前にまだ雪音への想いがあるなら、あとはお前がどうしたいかだろうし」
「俺がどうしたいか、か」
「望むような結果をもたらさなくても、そこで諦めなければ何かはきっと起きると俺は思うよ。だから頑張れよ正志」
「まさか、そんな事をお前の口から言われるなんてな」
だから俺はただ応援する事しかできない。それを形にはできないけど、せめて二人が幸せになってくれれば、俺はそれでもいいと思う。
「結婚式は呼んでくれよな」
「気が早いなお前は! どちらかというとお前が先だろ」
「え? 新婚生活の相談じゃなかったのか?」
「お前それ素で言っていたら怒るぞ」
■□■□■□
「私、翔平君の事を諦めるなんてやっぱりできません」
私を呼び出した雪音が最初に言った一言がそれだった。以前にも同じ事を彼女は言っていたけど、改めて私に話すという事はさっき翔平と何かあったのだろうか。
「雪音はそんなに翔平の事が好きなの?」
「はい。ずっとです」
「その一途なところ、私嫌いじゃないけどそれだと将来困ったりしないかな」
「そ、それは私も分かっているんです」
「正志の事はどう思っているの?」
「範疇にありません」
「それ本人に言わないであげてね。きっと泣いちゃうから」
三人の関係を客観的に見て私は、どうしてこんなにもこじれてしまったのだろう思ってしまう。翔平だってきっと、悪気はないのだろうけど雪音を見放す事しかできないのだと思う。
(これってやっぱり私のせいなのかな)
きっと翔平はそうじゃないって答えるだろうけど、もしかしたらもう一つの未来の可能性だってあったかもしれない。
私と翔平が結ばれず、雪音と結ばれる未来。
結果としては正志の想いが実る事はないだろうけど。
「でもさ雪音も、少しは正志の気持ちを考えてあげてもいいんじゃないかな」
「正志君の気持ちは伝わっているといえば伝わっているんです。でも、その、理想の男性にはちょっと遠くて」
「その理想の男性が翔平な訳?」
「はい。それしか考えられません」
「考えられないんじゃなくて、他の男性を見た事がないんじゃないの?」
「うっ、そ、それは……」
図星だっらしく、雪音は黙ってしまう。このままだと次再会した時ももしかしたら……。
「ねえ雪音、一つ約束しない?」
「約束ですか?」
「次私達が再会した時はさぁ……」
■□■□■□
「これで終わったんだな……」
「翔平君……」
ハナティアとある約束を交わし、そしてそれから数時間後私は正志君と共にトリナディアを後にした。そして私の中に込み上げてきたのは、何年も翔平君に会えない寂しさと、悲しみだった。
「どうしたんだよ雪音、二度と会えないわけじゃないんだから元気出せよ。明日から俺達はいつも通り大学に通うんだぞ?」
「そ、そんなの分かっていますよ! 正志君に言われなくたって」
私達はもはや空き部屋となった翔平君の部屋から出て、すっかり暗くなってしまった夜道を二人で歩く。彼の言っている通り私達は学生であり、明日からは日常へと戻っていく。
翔平君が隣にいない日常が。
「ねえ正志君」
「ん?」
「すぐには難しいかもしれませんが、私少しだけ頑張ろうと思います」
「頑張ろうって何を?」
「それはまだ内緒です。いつかは分かると思います」
「なんだよ勿体ぶるなよ」
「そういうところが駄目なんですよ、正志君は」
正志君と二人で過ごしていく日常が。
『約束ですか?』
『次再会した時はさあ、雪音が私に彼氏を紹介するって約束』
『そ、そんな無茶苦茶ですよ!』
『無茶苦茶じゃない。やるのよ雪音!』
『努力は……してみますよ』
その日常にしばらくは慣れないと思うけど。
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