我が家の床下で築くハーレム王国
第81話越えるべき最後の壁
無事に国歌の作成も終え、帰宅した俺達はその日は解散となった。俺もそのまま家に帰って、疲れを取るために眠ろうと思ったのだが、俺はその足でそのままトリナディアへときていた。
「じゃあこれがトリナディアの国家になる曲なの?」
「まあ、歌詞はまだ付けてないけどほぼ完成なのは間違いないな」
「すごい、翔平にそんな友達がいたなんて」
「まあ、数年会っていなかったんだけどな」
孤児院に行く前にハナティアには大まかな事は話しておいた。勿論三日間泊まり込みでいなくなる事も。それに対して彼女が何も文句を言わなかったのは、恐らくその相手が女性だということを話していないからだろう。
(少し胸は痛むけど、まあいいか)
「ところで翔平」
「このCDに書いてある名前、原西沙羅ってどう見ても女の子なんだけど、どういう事なのか説明してくれる」
「なっ!?」
受け取った時には気づかなかったけど、CDにはちゃんと沙羅の名前が書いてあった。
「え、えっとこれはだな」
「この浮気者!」
言い訳する前に叩かれました。
(こうなるなら最初から、全部説明しておけばよかった……)
つまり自業自得である。
■□■□■□
それからハナティアの機嫌を直すのに、丸一日かかる事になったが、これで無事に国歌の問題は解決。だが夏休みの終わりが刻一刻と迫っているのも確かだった。
「二週間切ったか」
「夏休み終わっちゃうんだね」
「ああ。でも俺はもう道を決めたんだから迷いはないよ」
「ありがとう翔平」
二週間を既に切ったこの日、俺はハナティアと一緒に俺の実家へとへと出かけていた。前回来た時はまだ何も決めていなかったけど、今回は全て決めた。
ハナティアと共にトリナディアで暮らして、新しい未来を作る事を。その為に俺は、いろいろな人に別れを告げてきた。そして今日、俺は両親にその話をする。
「そう。決めたのね翔平」
「母さん、今日まで育ててくれてありがとう」
「らしくない事を言うようになったわね。でもその言葉、言うべき人はもう一人いるんじゃないの?」
「父さん、帰ってきてるのか?」
「今日はたまたまね。あの人には大方話してはおいたけど、最終的には自分で話しておかないと」
「分かってる」
最初に母さんには改めて全て話した。そしてもう一人話をしなければならない人物が今日はいるという事なので、父親の部屋にハナティアと一緒に向かう事に。
(ここが一番の頑張りどころだよな)
父さんを説得させるのが、一番の難関なのは分かっていた。けどこれを乗り越えなければ、先に進めない。
「ハナティアまで付いてこなくてよかったのに」
「翔平だけで話しても意味ないでしょ? 妻になる私も一緒に話さないと」
「それなら、まあそれでいいけど」
扉をノックすると、向こうから返事が返ってくる。しばらく聞いてなかった声だが、まさかこんな形で話をする事になるとは思っていなかった。
「父さん、入るよ」
「入れ」
俺は心臓をばくばくさせながら部屋に入る。そこに待っていたのは、俺が最も苦手な人物で、我が家の大黒柱。柏原秀之だった。
「失礼します」
「何だハナティアさんも来てたのか。かなり久しぶりじゃないのか?」
「はい、お久しぶりです」
やはりハナティアとも面識があったのか、軽い会話を交わす父親とハナティア。一通り会話が終わったのを見計らって、父親の前に堂々と立った。
「それで翔平、母さんからは話があるって聞いていたが、一体何の話だ」
「俺は今日」
そして父親を真っ直ぐ見ながら、俺は決意を固めて告げた。
「父さんに結婚報告をしに来たんだ」
■□■□■□
「結婚? 母さんからそんな話までは聞いてなかったぞ」
「それを決めたのは本当最近の話だからな。だからこの事を母さんにも今日話した」
「相手は……そこにいるハナティアさんなのか?」
「ああ」
父親の顔には動揺の顔は見えない。むしろいたって冷静だった。まあこういうのにはそんなに興味を示さないタイプだったし、今更驚きはしないが自分の息子に対して無関心なのはどうかと思う。
「駄目だな」
「駄目って何がだよ」
「二人の結婚の了承はできない」
だからこの話も了承してくれると思っていたが、この答えには少々予想外だった。
「何だよそれ、何で了承できないんだよ」
「何でも何も、お前にはそこの彼女を幸せにできる覚悟があるのか?」
「そんなのあるに決まっているだろ」
「口にするだけなら簡単だが、お前は結婚という言葉の重みを知らない」
「結婚の重み?」
そんな事考えた事なかった。でも理解はしているつもりだった。これからハナティアと結婚して、のちには家族になって、家庭を築き上げて……。全てがうまく行くはずだ。
(はずじゃない。うまくいく、絶対に)
そう誓ったんだあの時。全てを乗り越えてみせると。だから覚悟なんてとっくにできている。
「これからお前は一人の人生の半分をもらうんだぞ?その意味が分かるか?」
「分かっているよ。俺はこれからハナティアを支えてトリナディアを」
「そんな建前はいい。一人の人生を背負う、その言葉の意味を理解しているのかって言いたいんだよ」
「俺は父さんが何を言いたいのか分からない!」
「落ち着いて翔平。何もそこまで熱くならなくても」
「だから駄目だと言ったんだ。お前にはまだそれを背負えるだけの覚悟がない。もし了承してほしいというなら、まずはその答えを出してみろ。建前とかそんなの関係なく、お前の言葉で。話は以上だ」
分からなかった。父親が何を言いたいのかを。そして何故了承してくれないのかを。
俺がその本当の意味を知るのは、もう少し後の話だった。
「じゃあこれがトリナディアの国家になる曲なの?」
「まあ、歌詞はまだ付けてないけどほぼ完成なのは間違いないな」
「すごい、翔平にそんな友達がいたなんて」
「まあ、数年会っていなかったんだけどな」
孤児院に行く前にハナティアには大まかな事は話しておいた。勿論三日間泊まり込みでいなくなる事も。それに対して彼女が何も文句を言わなかったのは、恐らくその相手が女性だということを話していないからだろう。
(少し胸は痛むけど、まあいいか)
「ところで翔平」
「このCDに書いてある名前、原西沙羅ってどう見ても女の子なんだけど、どういう事なのか説明してくれる」
「なっ!?」
受け取った時には気づかなかったけど、CDにはちゃんと沙羅の名前が書いてあった。
「え、えっとこれはだな」
「この浮気者!」
言い訳する前に叩かれました。
(こうなるなら最初から、全部説明しておけばよかった……)
つまり自業自得である。
■□■□■□
それからハナティアの機嫌を直すのに、丸一日かかる事になったが、これで無事に国歌の問題は解決。だが夏休みの終わりが刻一刻と迫っているのも確かだった。
「二週間切ったか」
「夏休み終わっちゃうんだね」
「ああ。でも俺はもう道を決めたんだから迷いはないよ」
「ありがとう翔平」
二週間を既に切ったこの日、俺はハナティアと一緒に俺の実家へとへと出かけていた。前回来た時はまだ何も決めていなかったけど、今回は全て決めた。
ハナティアと共にトリナディアで暮らして、新しい未来を作る事を。その為に俺は、いろいろな人に別れを告げてきた。そして今日、俺は両親にその話をする。
「そう。決めたのね翔平」
「母さん、今日まで育ててくれてありがとう」
「らしくない事を言うようになったわね。でもその言葉、言うべき人はもう一人いるんじゃないの?」
「父さん、帰ってきてるのか?」
「今日はたまたまね。あの人には大方話してはおいたけど、最終的には自分で話しておかないと」
「分かってる」
最初に母さんには改めて全て話した。そしてもう一人話をしなければならない人物が今日はいるという事なので、父親の部屋にハナティアと一緒に向かう事に。
(ここが一番の頑張りどころだよな)
父さんを説得させるのが、一番の難関なのは分かっていた。けどこれを乗り越えなければ、先に進めない。
「ハナティアまで付いてこなくてよかったのに」
「翔平だけで話しても意味ないでしょ? 妻になる私も一緒に話さないと」
「それなら、まあそれでいいけど」
扉をノックすると、向こうから返事が返ってくる。しばらく聞いてなかった声だが、まさかこんな形で話をする事になるとは思っていなかった。
「父さん、入るよ」
「入れ」
俺は心臓をばくばくさせながら部屋に入る。そこに待っていたのは、俺が最も苦手な人物で、我が家の大黒柱。柏原秀之だった。
「失礼します」
「何だハナティアさんも来てたのか。かなり久しぶりじゃないのか?」
「はい、お久しぶりです」
やはりハナティアとも面識があったのか、軽い会話を交わす父親とハナティア。一通り会話が終わったのを見計らって、父親の前に堂々と立った。
「それで翔平、母さんからは話があるって聞いていたが、一体何の話だ」
「俺は今日」
そして父親を真っ直ぐ見ながら、俺は決意を固めて告げた。
「父さんに結婚報告をしに来たんだ」
■□■□■□
「結婚? 母さんからそんな話までは聞いてなかったぞ」
「それを決めたのは本当最近の話だからな。だからこの事を母さんにも今日話した」
「相手は……そこにいるハナティアさんなのか?」
「ああ」
父親の顔には動揺の顔は見えない。むしろいたって冷静だった。まあこういうのにはそんなに興味を示さないタイプだったし、今更驚きはしないが自分の息子に対して無関心なのはどうかと思う。
「駄目だな」
「駄目って何がだよ」
「二人の結婚の了承はできない」
だからこの話も了承してくれると思っていたが、この答えには少々予想外だった。
「何だよそれ、何で了承できないんだよ」
「何でも何も、お前にはそこの彼女を幸せにできる覚悟があるのか?」
「そんなのあるに決まっているだろ」
「口にするだけなら簡単だが、お前は結婚という言葉の重みを知らない」
「結婚の重み?」
そんな事考えた事なかった。でも理解はしているつもりだった。これからハナティアと結婚して、のちには家族になって、家庭を築き上げて……。全てがうまく行くはずだ。
(はずじゃない。うまくいく、絶対に)
そう誓ったんだあの時。全てを乗り越えてみせると。だから覚悟なんてとっくにできている。
「これからお前は一人の人生の半分をもらうんだぞ?その意味が分かるか?」
「分かっているよ。俺はこれからハナティアを支えてトリナディアを」
「そんな建前はいい。一人の人生を背負う、その言葉の意味を理解しているのかって言いたいんだよ」
「俺は父さんが何を言いたいのか分からない!」
「落ち着いて翔平。何もそこまで熱くならなくても」
「だから駄目だと言ったんだ。お前にはまだそれを背負えるだけの覚悟がない。もし了承してほしいというなら、まずはその答えを出してみろ。建前とかそんなの関係なく、お前の言葉で。話は以上だ」
分からなかった。父親が何を言いたいのかを。そして何故了承してくれないのかを。
俺がその本当の意味を知るのは、もう少し後の話だった。
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