我が家の床下で築くハーレム王国
プロローグ
突然の話になるかもしれないけど、最近とある男子学生が行方不明になる事件が起きた。
彼はこの春から大学生になる人間で、一人暮らしを始めたばかりだという。目立ったご近所トラブルもなく、住んでいた部屋にも荒らされた形跡がない。
ただその部屋に残されているものは、部屋の大半を埋め尽くす大きな穴。まるでブラックホールかのごとく中は真っ暗になっているが、中に何かある気配もない。
大学生の行方不明と部屋にできた謎の穴、二つを結びつけるには不可能だとも言われていた。
「うーん、大事になってるよな。どうしようこれ」
テレビの電源を消しながら溜息を吐く。
「世間ではどのニュースもこれですからね」
「そもそも誰のせいだよ」
「あなた様が悪いのでは?」
「いや、何でそうなる」
俺がたった今話しているの、メイド服を着ている女性。決して俺がいいとこのお金持ちとかそういうわけではない。むしろ彼女は赤の他人に近い。
「なあ、あれってちゃんと元に戻るのか?」
「一応戻るようにはなっています」
「一応って……。俺今後あそこで暮らすんですけど」
「その辺りは、こちらも尽力いたしますが」
「尽力ねぇ……」
さて、ここまで来て分かる人は分かると思うが、何故俺が今ニュースでやっていた穴について語っているの、それは俺がその行方不明者だからである。
ではその穴は何なのか? そして今俺はどこにいるのか? 順を追って説明していこう。
<a href="//10676.mitemin.net/i174604/" target="_blank"><img src="//10676.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i174604/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
俺、柏原翔平はこの春から大学生になったばかりである。念願の一人暮らしも叶って、明日入学式を迎える。これから待つキャンパスに胸を躍らせながら、この日も入学式の準備をしていたのである。
だがその日の夜、事件は起きたのである。
「何だこれ」
何もかもが突然だった。外に出ていた俺が帰宅すると、部屋のど真ん中にポッカリと例の穴が開いていた。しかも足場がなく、部屋の中に入る事すらもほぼ難しい。
(これじゃあ部屋を歩けないぞ)
大きな穴の前で立ち往生する俺。だがそれに追い打ちをかけるかのように、また一つ衝撃的な事が起きた。
「あ、帰ってきた」
一人暮らしの俺の部屋に、不法進入者がいた。しかもそいつは背の小さな女の子。銀色のショートヘアーをたなびかせているところを見ると、日本人ではなさそうだ。
「いや、そんな軽々しく挨拶されても、誰だよ! あと、この穴は何なのか説明してくれ」
そんな少女が友人が帰ってきたかのごとく軽々しい挨拶をしてきたので、思わず強く言ってしまう。彼女はいわば犯罪者なのだから、こんな口調になっても仕方がない。
(つまりこの穴を開けたのもこいつか?)
タイミングとこの穴について何も言わない辺り張本人ではないかと考えられる。
「なあ、この穴を開けたのもあんた……」
それについて追求しようと思ったが、それ以上に彼女についてある違和感を覚えた。細かく言うなら首から下。そう、彼女はエプロンどころか服すらも着ていなかったのだ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待った。あの、何故裸なんですか?」
思わず動揺した俺は、つい敬語になってしまう。不法侵入者とはいえど相手は女性。その、こういうのはあまり見慣れていない。
「これが涼しいから、着るの面倒臭くて」
「涼しいって今四月だけど」
まだ夏というには若干肌寒い季節。そんな季節に素ッ裸なんて、普通では考えられない。
「 とりあえずこれを着ろ」
見るに耐えられなくなった俺は、適当な服を彼女に渡す。男物しかないけど、全裸でいられるよりはマシだろ。
「……」
だが彼女はそれを受け取ったものの、ずっと見つめたままで何もしようとしない。
「どうした?」
「これをどうするの?」
「ああもう!!」
仕方がないので、なるべく裸を見ないように服を着せてやる。とりあえずこれでアダルト的なあれは避けられた。でも女の子はただ俺を見つめている。
「な、なんだよ」
「変態」
「誰のせいだ!」
「誰のせいなの?」
「なあそれは素で言っているのか?」
自分から素ッ裸になっていたくせに、変態呼ばわりされるのは全くもって侵害である。
(何なんだよこの子は……)
もはや不法侵入者の域を越えている。家はすべて施錠してあったし、彼女がこの家に入ってきた可能性がある場所はこの大きな穴になる。もしかしてこの穴って、別世界に繋がっていたりするのだろうか。
「って、うわっ!」
気になって穴を覗き込むと、穴が突然光りだした。
「もう、駄目ですよ姫様。お一人で地上に上がられては」
同時に光の中から声がする。そして五秒後、何者かが穴から這い上がってきた。
「え? なに、これ。人?」
混乱する俺の目の前までやって来たそいつは、笑顔で俺にこんな事を言った。
「初めまして、あなた様を我らの王国にお迎えにあがりました」
「あなた様って俺?」
「それ以外に誰がいますか?」
「いや、居ないけど」
それ以前にあなたはどなたですか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「それで、この小さいのが姫かなんかで、あんたがそのメイドか何かか?」
「はい。簡単に説明するとそうです。そしてあなた様はただ一人の男の人として、私達と共に来てほしいのです」
突然二人の人物が不法進入してきてから、三十分後。色々言いたい事があるのをあえて我慢して、とりあえず話だけを聞いてみた。そして聞いた結果が今の会話である。
「あのさ何もかもが突然だから、訳が分からないし面倒くさいから一言だけ言わせて」
「何でしょうか?」
「帰ってください」
一通り聞いた俺は面倒臭くなったのでそう結論を出した。というかもう聞く前から結果は決まっていた。だってこの全裸の少女と、その使いらしき人物と関わったら、恐らくこの先ろくな目に合わない。
そう俺は感じ取った。
「やだ。帰らない」
そんな言葉に対して、反論したのは先ほどの素っ裸少女。姫らしいが、見た目は年がそんなにいってないような気がする。胸とか特に……。
「何でお前が断るんだよ。そもそも、何も説明なしに……」
我慢しきれなくなった俺は、強くそう言おうとしたその時、俺は何故かそれを止めてしまう。別に文句を言いたくなくなった訳でもないのだが。
(あれ、何でだ)
「とにかく説明はあちらに着いてから説明します。それに私達の国はあくまであなた様の家の地下にあるので、日常生活に支障はないかと思います」
何が起きたか戸惑う俺を無視して、姫の使いは勝手に説明を続ける。
「まあ、こんな穴が開いた以上無視はできないけどさ。ちゃんと説明はしてもらうぞ」
怒る気も失せたので、とりあえず話だけは聞くことにした俺は頭を掻きながら言う。これ以上断っても結果はどうせ変わらないだろうし、この穴を何とかしてもらいたいのもある。
「何で説明するの?」
「必要だからだよ!」
「何の?」
「だから!」
「まあまあ、お二人とも落ち着いてください」
「こんな状況になって、こんな事言われてどう落ち着けと」
「姫様には後でキツく言っておきますから」
相変わらずの姫に俺はため息しか出てこない。挙げ句の果てには使いにまでなだめられるし……。
「さっきの話だけだと何も理解できてない。だからもっと詳しく教えてくれないか」
「では一度我が王国に来ていただいて、話を聞いていただけますか?」
「ああ。ただ、俺も学生だから手短に済ませろよ」
「はい!」
その後、何か色々やって地下の国へやって来た。正確に言えばあの穴を通ってここにやってきたのだが。
そこは俺の家の床下にあるとは思えない空間ができていて、俺はその広さに呆気を取られていた。
「これ本当に俺の部屋の下にあるのか?」
王国というだけはある。今俺がやってきた入口からは全体を見回せないくらい広い。というかもはらこれは床下の領域を明らかに超えている気がする。
「はい。穴は無駄に大きいですが、少し掘り進めるとここにたどり着けます。ただ、決められた人にしか見えないようにはなっていますけど」
「その決められた人が俺だって事か?」
「そういう事です」
そう言われてもピンとこない俺。何がどうあって、その決められた人に俺がなったのか、その辺りも不明瞭なので後で聞いておいたほうがいいかもしれない。
「って、あれ。姫は?」
地下にたどり着いてから、さっきの姫がいない事に気づいた俺は、彼女に尋ねた。
「姫様はあなたの家に置いていきました」
「は?」
あそこは俺の部屋であって、姫の部屋ではないんですけど。
「あなた様がいない間の留守番だと考えてもらって構いませんよ?」
「いや、俺を何日ここにいさせるき?」
明日入学式なのに、これだと間に合わないんですけど。
彼はこの春から大学生になる人間で、一人暮らしを始めたばかりだという。目立ったご近所トラブルもなく、住んでいた部屋にも荒らされた形跡がない。
ただその部屋に残されているものは、部屋の大半を埋め尽くす大きな穴。まるでブラックホールかのごとく中は真っ暗になっているが、中に何かある気配もない。
大学生の行方不明と部屋にできた謎の穴、二つを結びつけるには不可能だとも言われていた。
「うーん、大事になってるよな。どうしようこれ」
テレビの電源を消しながら溜息を吐く。
「世間ではどのニュースもこれですからね」
「そもそも誰のせいだよ」
「あなた様が悪いのでは?」
「いや、何でそうなる」
俺がたった今話しているの、メイド服を着ている女性。決して俺がいいとこのお金持ちとかそういうわけではない。むしろ彼女は赤の他人に近い。
「なあ、あれってちゃんと元に戻るのか?」
「一応戻るようにはなっています」
「一応って……。俺今後あそこで暮らすんですけど」
「その辺りは、こちらも尽力いたしますが」
「尽力ねぇ……」
さて、ここまで来て分かる人は分かると思うが、何故俺が今ニュースでやっていた穴について語っているの、それは俺がその行方不明者だからである。
ではその穴は何なのか? そして今俺はどこにいるのか? 順を追って説明していこう。
<a href="//10676.mitemin.net/i174604/" target="_blank"><img src="//10676.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i174604/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
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俺、柏原翔平はこの春から大学生になったばかりである。念願の一人暮らしも叶って、明日入学式を迎える。これから待つキャンパスに胸を躍らせながら、この日も入学式の準備をしていたのである。
だがその日の夜、事件は起きたのである。
「何だこれ」
何もかもが突然だった。外に出ていた俺が帰宅すると、部屋のど真ん中にポッカリと例の穴が開いていた。しかも足場がなく、部屋の中に入る事すらもほぼ難しい。
(これじゃあ部屋を歩けないぞ)
大きな穴の前で立ち往生する俺。だがそれに追い打ちをかけるかのように、また一つ衝撃的な事が起きた。
「あ、帰ってきた」
一人暮らしの俺の部屋に、不法進入者がいた。しかもそいつは背の小さな女の子。銀色のショートヘアーをたなびかせているところを見ると、日本人ではなさそうだ。
「いや、そんな軽々しく挨拶されても、誰だよ! あと、この穴は何なのか説明してくれ」
そんな少女が友人が帰ってきたかのごとく軽々しい挨拶をしてきたので、思わず強く言ってしまう。彼女はいわば犯罪者なのだから、こんな口調になっても仕方がない。
(つまりこの穴を開けたのもこいつか?)
タイミングとこの穴について何も言わない辺り張本人ではないかと考えられる。
「なあ、この穴を開けたのもあんた……」
それについて追求しようと思ったが、それ以上に彼女についてある違和感を覚えた。細かく言うなら首から下。そう、彼女はエプロンどころか服すらも着ていなかったのだ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待った。あの、何故裸なんですか?」
思わず動揺した俺は、つい敬語になってしまう。不法侵入者とはいえど相手は女性。その、こういうのはあまり見慣れていない。
「これが涼しいから、着るの面倒臭くて」
「涼しいって今四月だけど」
まだ夏というには若干肌寒い季節。そんな季節に素ッ裸なんて、普通では考えられない。
「 とりあえずこれを着ろ」
見るに耐えられなくなった俺は、適当な服を彼女に渡す。男物しかないけど、全裸でいられるよりはマシだろ。
「……」
だが彼女はそれを受け取ったものの、ずっと見つめたままで何もしようとしない。
「どうした?」
「これをどうするの?」
「ああもう!!」
仕方がないので、なるべく裸を見ないように服を着せてやる。とりあえずこれでアダルト的なあれは避けられた。でも女の子はただ俺を見つめている。
「な、なんだよ」
「変態」
「誰のせいだ!」
「誰のせいなの?」
「なあそれは素で言っているのか?」
自分から素ッ裸になっていたくせに、変態呼ばわりされるのは全くもって侵害である。
(何なんだよこの子は……)
もはや不法侵入者の域を越えている。家はすべて施錠してあったし、彼女がこの家に入ってきた可能性がある場所はこの大きな穴になる。もしかしてこの穴って、別世界に繋がっていたりするのだろうか。
「って、うわっ!」
気になって穴を覗き込むと、穴が突然光りだした。
「もう、駄目ですよ姫様。お一人で地上に上がられては」
同時に光の中から声がする。そして五秒後、何者かが穴から這い上がってきた。
「え? なに、これ。人?」
混乱する俺の目の前までやって来たそいつは、笑顔で俺にこんな事を言った。
「初めまして、あなた様を我らの王国にお迎えにあがりました」
「あなた様って俺?」
「それ以外に誰がいますか?」
「いや、居ないけど」
それ以前にあなたはどなたですか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「それで、この小さいのが姫かなんかで、あんたがそのメイドか何かか?」
「はい。簡単に説明するとそうです。そしてあなた様はただ一人の男の人として、私達と共に来てほしいのです」
突然二人の人物が不法進入してきてから、三十分後。色々言いたい事があるのをあえて我慢して、とりあえず話だけを聞いてみた。そして聞いた結果が今の会話である。
「あのさ何もかもが突然だから、訳が分からないし面倒くさいから一言だけ言わせて」
「何でしょうか?」
「帰ってください」
一通り聞いた俺は面倒臭くなったのでそう結論を出した。というかもう聞く前から結果は決まっていた。だってこの全裸の少女と、その使いらしき人物と関わったら、恐らくこの先ろくな目に合わない。
そう俺は感じ取った。
「やだ。帰らない」
そんな言葉に対して、反論したのは先ほどの素っ裸少女。姫らしいが、見た目は年がそんなにいってないような気がする。胸とか特に……。
「何でお前が断るんだよ。そもそも、何も説明なしに……」
我慢しきれなくなった俺は、強くそう言おうとしたその時、俺は何故かそれを止めてしまう。別に文句を言いたくなくなった訳でもないのだが。
(あれ、何でだ)
「とにかく説明はあちらに着いてから説明します。それに私達の国はあくまであなた様の家の地下にあるので、日常生活に支障はないかと思います」
何が起きたか戸惑う俺を無視して、姫の使いは勝手に説明を続ける。
「まあ、こんな穴が開いた以上無視はできないけどさ。ちゃんと説明はしてもらうぞ」
怒る気も失せたので、とりあえず話だけは聞くことにした俺は頭を掻きながら言う。これ以上断っても結果はどうせ変わらないだろうし、この穴を何とかしてもらいたいのもある。
「何で説明するの?」
「必要だからだよ!」
「何の?」
「だから!」
「まあまあ、お二人とも落ち着いてください」
「こんな状況になって、こんな事言われてどう落ち着けと」
「姫様には後でキツく言っておきますから」
相変わらずの姫に俺はため息しか出てこない。挙げ句の果てには使いにまでなだめられるし……。
「さっきの話だけだと何も理解できてない。だからもっと詳しく教えてくれないか」
「では一度我が王国に来ていただいて、話を聞いていただけますか?」
「ああ。ただ、俺も学生だから手短に済ませろよ」
「はい!」
その後、何か色々やって地下の国へやって来た。正確に言えばあの穴を通ってここにやってきたのだが。
そこは俺の家の床下にあるとは思えない空間ができていて、俺はその広さに呆気を取られていた。
「これ本当に俺の部屋の下にあるのか?」
王国というだけはある。今俺がやってきた入口からは全体を見回せないくらい広い。というかもはらこれは床下の領域を明らかに超えている気がする。
「はい。穴は無駄に大きいですが、少し掘り進めるとここにたどり着けます。ただ、決められた人にしか見えないようにはなっていますけど」
「その決められた人が俺だって事か?」
「そういう事です」
そう言われてもピンとこない俺。何がどうあって、その決められた人に俺がなったのか、その辺りも不明瞭なので後で聞いておいたほうがいいかもしれない。
「って、あれ。姫は?」
地下にたどり着いてから、さっきの姫がいない事に気づいた俺は、彼女に尋ねた。
「姫様はあなたの家に置いていきました」
「は?」
あそこは俺の部屋であって、姫の部屋ではないんですけど。
「あなた様がいない間の留守番だと考えてもらって構いませんよ?」
「いや、俺を何日ここにいさせるき?」
明日入学式なのに、これだと間に合わないんですけど。
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