(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
竜の盟約・後編
「新たな竜……って」
「決まっているでしょ。あなたを、ドラゴンにするのよ。差し詰め、ドラゴニュートと言ったところかしらねえ?」
ティアとケイタを中心に緑の光が淡くできはじめる。
それが嫌な予感の気がして――私は手を出そうとするも、その境界を越えることができない。
「ケイタ!」
「……まあ、これもありなんじゃないかな、って思うんですよね。冷静に考えると」
ケイタの言葉に、メリューは耳を疑った。
勝手にドラゴンにさせられるのに、これもあり? いったい何を考えているというのか。
「もともとメリューさんがドラゴンメイドとして居ることがとても可哀想に見えていたんですよ。だから、それを俺が代わりに出来るというのなら、それを甘んじて受け入れよう。それが俺の運命なら」
「はは、ははは! 馬鹿なやつ。そんなことを言っても私の情に働きかけようと思ったって無駄なんだから。竜の盟約は絶対。それに、父上も言っていましたし。この喫茶店は永遠に続けるべきだと。しかし、いずれ竜の盟約として呪いを解く時はやってくる。それまでに対策を練らねばならない、と! だから私は父上のために、新たな生贄を作り上げる!」
「いい加減にしなさいよ、あなた……」
徐々に、メリューさんの姿がドラゴンに変わりつつある。肌が少し鱗になっているいつもの様子から、徐々に鱗に包まれていく。
「あなた如きがドラゴンにメタモルフォーゼしても無駄な話。簡単に言ってしまえば、純血の竜にはかないっこないのだから」
そして、メリューさんに手をかざすと――あっという間にメリューさんは人間の姿に戻ってしまった。
強いて言えば、その姿は鱗が無い。完全な人間の姿になっていたのだけれど。
そして、俺の意識もまた、遠のいていく。
竜の盟約が完了しつつある証だ。そんなことを思いながら、俺は微睡みの中に意識を潜らせていくのだった。
◇◇◇
「父上、これで宜しいのですか」
全員が眠った後、私は独りごちる。ケイタは、今は意識を失っているだけだが、その間にドラゴニュートとして姿を変えて、やがて記憶も順応していく。
彼だけでは無い。サクラは偶然迷い込んだ客として、メリューは人間のメイドとして、シュテンとウラとリーサが引っ越すことは無くなって。帳尻の合わせた記憶の整理を進めていた。
『上出来だ、我が娘よ。後は、再び彼の者の命尽きるまで盟約を守るばかりだ』
「呪いとも、言えますが」
『そうさな。……確かに神からの罰という意味では我々のやっていることも呪いと言えるだろう。しかし従うしかあるまい。人間には申し訳ないが、我々の呪いを遂行するためには、このままボルケイノを続けるしか無いのだよ』
「承知しております」
『ならば、それで良い。またいつか会おう、我が娘よ』
そうして、二匹の竜の会話は終わりを迎えた。
「決まっているでしょ。あなたを、ドラゴンにするのよ。差し詰め、ドラゴニュートと言ったところかしらねえ?」
ティアとケイタを中心に緑の光が淡くできはじめる。
それが嫌な予感の気がして――私は手を出そうとするも、その境界を越えることができない。
「ケイタ!」
「……まあ、これもありなんじゃないかな、って思うんですよね。冷静に考えると」
ケイタの言葉に、メリューは耳を疑った。
勝手にドラゴンにさせられるのに、これもあり? いったい何を考えているというのか。
「もともとメリューさんがドラゴンメイドとして居ることがとても可哀想に見えていたんですよ。だから、それを俺が代わりに出来るというのなら、それを甘んじて受け入れよう。それが俺の運命なら」
「はは、ははは! 馬鹿なやつ。そんなことを言っても私の情に働きかけようと思ったって無駄なんだから。竜の盟約は絶対。それに、父上も言っていましたし。この喫茶店は永遠に続けるべきだと。しかし、いずれ竜の盟約として呪いを解く時はやってくる。それまでに対策を練らねばならない、と! だから私は父上のために、新たな生贄を作り上げる!」
「いい加減にしなさいよ、あなた……」
徐々に、メリューさんの姿がドラゴンに変わりつつある。肌が少し鱗になっているいつもの様子から、徐々に鱗に包まれていく。
「あなた如きがドラゴンにメタモルフォーゼしても無駄な話。簡単に言ってしまえば、純血の竜にはかないっこないのだから」
そして、メリューさんに手をかざすと――あっという間にメリューさんは人間の姿に戻ってしまった。
強いて言えば、その姿は鱗が無い。完全な人間の姿になっていたのだけれど。
そして、俺の意識もまた、遠のいていく。
竜の盟約が完了しつつある証だ。そんなことを思いながら、俺は微睡みの中に意識を潜らせていくのだった。
◇◇◇
「父上、これで宜しいのですか」
全員が眠った後、私は独りごちる。ケイタは、今は意識を失っているだけだが、その間にドラゴニュートとして姿を変えて、やがて記憶も順応していく。
彼だけでは無い。サクラは偶然迷い込んだ客として、メリューは人間のメイドとして、シュテンとウラとリーサが引っ越すことは無くなって。帳尻の合わせた記憶の整理を進めていた。
『上出来だ、我が娘よ。後は、再び彼の者の命尽きるまで盟約を守るばかりだ』
「呪いとも、言えますが」
『そうさな。……確かに神からの罰という意味では我々のやっていることも呪いと言えるだろう。しかし従うしかあるまい。人間には申し訳ないが、我々の呪いを遂行するためには、このままボルケイノを続けるしか無いのだよ』
「承知しております」
『ならば、それで良い。またいつか会おう、我が娘よ』
そうして、二匹の竜の会話は終わりを迎えた。
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