(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
鬼の里、鬼娘の決意・転
ソンチョウの話を簡単に要約すると、ソンチョウは昔から他部族に対する鬼の扱いがぞんざいであることを心苦しく思っていたのだということ。そしてそれをどうにかしたいと考えていたことだった。
そのためにソンチョウが考えた手段は――至極簡単なものだった。
「君たちには、今の状況を変えてほしい。そのためにも、その担い手になってほしい。私は、いや、大人たちは皆そう思っているのです」
「……ええと、いったい、どういうことなのでしょうか」
シュテンのほうを見ると目を丸くしていた。きっと彼女も何を言われているのかはっきりと分かっていない状態なのだろう。
それは分かる。私にもこの話が唐突過ぎて先が見えてこない。
見えてこないものを、どうにかして明確にしたい。それが私の一先ずの目的だった。
そして、それはシュテンだって同じだったと――思う。
「数ヶ月後、吸血鬼の国である会議が行われます」
ソンチョウは人差し指を立てて、そう言った。
「亜人会議。――簡単に言えば、亜人同盟を組んだ連中どもがこれからの利権をどうしていきましょうか、と話し合う糞みたいな話し合いです。当然、利権争いから漏れた我々鬼は利権など手に入るはずもありません。寧ろ、利権を貪り尽くされる……正確に言えば、吸収される側ですかね? 話すことすら嫌になりますが、そのような立場になってしまっている。否、正確には、させられている。気がつけば、彼らの思惑通りに物事が進行している。それも我々に話し合いの席を持たせることもなく。それは我々にとって屈辱の連続です。しかしながら、彼らは我々と話す機会を持とうとせず、そのまま進めていった。この結果が――これです。ほんとうは私が直々けじめをつけないといけませんが……」
「つまり、鬼の利権を奪ったのはほかの亜人だということですか?」
「正確には、吸血鬼ですね。吸血鬼の一族は冷酷で残酷です。ですから私腹を肥やすためなら何だってします。それが恐ろしいことなのですよ。まあ、おおよそシュテンやウラ、あなたたちも気付いていることかもしれませんが……。いつまでこれを続けなくてはならないか。一生続くかもしれません。永遠に、鬼はこのままでなければならないのかもしれません。それは、あってはならない。我々は誇り高い鬼の種族。そんな鬼が、このようなところで燻っていてはならない。未来に、明るい希望を残さねばならないのです」
握りこぶしを強く見つめながら、ソンチョウは何度も頷いた。
そしてそれを見ていたシュテンは――やがてそれと同調するようにゆっくりと頷いた。
そのためにソンチョウが考えた手段は――至極簡単なものだった。
「君たちには、今の状況を変えてほしい。そのためにも、その担い手になってほしい。私は、いや、大人たちは皆そう思っているのです」
「……ええと、いったい、どういうことなのでしょうか」
シュテンのほうを見ると目を丸くしていた。きっと彼女も何を言われているのかはっきりと分かっていない状態なのだろう。
それは分かる。私にもこの話が唐突過ぎて先が見えてこない。
見えてこないものを、どうにかして明確にしたい。それが私の一先ずの目的だった。
そして、それはシュテンだって同じだったと――思う。
「数ヶ月後、吸血鬼の国である会議が行われます」
ソンチョウは人差し指を立てて、そう言った。
「亜人会議。――簡単に言えば、亜人同盟を組んだ連中どもがこれからの利権をどうしていきましょうか、と話し合う糞みたいな話し合いです。当然、利権争いから漏れた我々鬼は利権など手に入るはずもありません。寧ろ、利権を貪り尽くされる……正確に言えば、吸収される側ですかね? 話すことすら嫌になりますが、そのような立場になってしまっている。否、正確には、させられている。気がつけば、彼らの思惑通りに物事が進行している。それも我々に話し合いの席を持たせることもなく。それは我々にとって屈辱の連続です。しかしながら、彼らは我々と話す機会を持とうとせず、そのまま進めていった。この結果が――これです。ほんとうは私が直々けじめをつけないといけませんが……」
「つまり、鬼の利権を奪ったのはほかの亜人だということですか?」
「正確には、吸血鬼ですね。吸血鬼の一族は冷酷で残酷です。ですから私腹を肥やすためなら何だってします。それが恐ろしいことなのですよ。まあ、おおよそシュテンやウラ、あなたたちも気付いていることかもしれませんが……。いつまでこれを続けなくてはならないか。一生続くかもしれません。永遠に、鬼はこのままでなければならないのかもしれません。それは、あってはならない。我々は誇り高い鬼の種族。そんな鬼が、このようなところで燻っていてはならない。未来に、明るい希望を残さねばならないのです」
握りこぶしを強く見つめながら、ソンチョウは何度も頷いた。
そしてそれを見ていたシュテンは――やがてそれと同調するようにゆっくりと頷いた。
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