転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~

夜州

第二話 初依頼

 クロードの相手をしていたら、依頼を受けるのを忘れていた。

 カインはさっそく依頼ボードを見るために向かった。依頼を受けられるのはGと一ランク上のFまでだ。
 このランクでの依頼は、ほとんどが街内の依頼ばかりだった。
 さすがに掃除とか荷物運びなどは、遠慮しておきたい。
 荷物運びならアイテムボックスを使えばすぐにできそうだけど。
 討伐依頼を探すと、ゴブリンとウルフの常時討伐依頼があった。
 ゴブリンもウルフも一匹につき大銅貨一枚で上限なしとのことだ。
 一匹倒すと日本円にして千円とは、高いのか安いのかイマイチわからないが、とりあえず討伐に向かうことにした。
 常時依頼表には、東の森の中にいるとのことが記載されており、そのまま向かうことにした。
 王都の門を出て、東の森のほうへ向かう路を歩く。さすがに王都が近いだけあり人通りが多かった。
 本当なら転移魔法を駆使して、一気に行きたかったが、人目があるので駆け足で進んでいく。
 カインは少し人通りが少なってきたところで、路から外れ草むらに入っていく。そして一気に転移をしながら森の入口まで進んだ。

「ここが東の森か、どれくらい魔物がいるのかな」

 探査サーチを使い薄く広く前方へ魔力を流していく。
 カインはレベルが上がったことにより、五キロほど先まで調べられるようになっていた。
 数キロ先に集団で集まっている反応があった。

「見つけた。まずは集落みたいに集まっているところに行ってみるか」

 カインは身体強化を使い、木々を避けながら森を走り抜けていく。
 目的地に近づいて、木陰に隠れながら集団の様子を伺うと、ゴブリンが数十匹集まっている状態だった。中にはゴブリンソルジャーなどの上位種も見える。

「少し魔法で減らすかな」

 カインは木陰から真空刃エアカッターを放った。
 直線状にいた数匹のゴブリンが、上半身と下半身が切断されそのまま倒れていった。
 右手に剣を持ち、左手から魔法を放ちながら集団の中へ進んでいく。

「グギャギャギャギャ」

 近くにいたゴブリンが叫び声をあげた。
 奥にいた上位種も気づいたらしく、錆付いた剣を持ち向かってくる。
 ゴブリンソルジャーに空気弾エアパレットを放ち顔に着弾させる。
 痛みで顔を抑えた瞬間を狙って首を刎ねた。
 そのあとも群がってくるゴブリンを剣と魔法で殲滅していった。

「これで最後だっ」

 そういって最後の一匹を始末した。

「ゴブリンは右耳だったよな。魔石と一緒に取っていくか」

 倒れているゴブリンの右耳を切り取り魔石を胸を割いてだす。

「この魔石を取り出すのが一番嫌だよなぁ」

 そう言いつつ、残っているゴブリンの右耳を切り取っていく。
 一纏めに袋に入れて、そのままアイテムボックスにしまった。
 そして切り取ったゴブリンは、一箇所に集めて土魔法で穴を開け、中に埋めた。

「これでよしっと。さすがにこれで戻ったら、まだ早いなぁ、もうちょっと探してみるか」

 また探査サーチを使い、次の集落を探していく。
 魔物の位置を確認しながら次の場所へ向かっていく。
 次にいたのは数は少なかったがリザードマンがいた。カインは知らなかったが単体でもDランク、数匹いるとCランクに分類される魔物だ。身体全体が鱗で覆われており、普通の魔物より硬いと言われている。

「キシャァーーーー」

 叫んでいたが、剣に魔法を付与し剣で首を一閃していった。
 十匹ほどの死体を集め、その前でカインは悩んでいる。 

「そういえばリザードマンって、どこが提出部位なんだろう。依頼表がなかったから、あとで聞いてみよ」

 カインは呟きながら、リザードマンの死体をアイテムボックスに仕舞っていった。

「グラシア領の魔物の森のほうが、強かった気がするなぁ。もうちょっと強い魔物がいるとこギルドから教えてもらおうっと。今日はもう帰るかな」

 そう言いながら、転移魔法を唱える。
 視界は一瞬で、王都の門からすぐ近くの草むらの中だ。カインは何食わぬ顔をし、ギルドカードを見せ王都の門をくぐって行く。
 ギルドの中は、夕方にはまだ早い時間ということもあり空いていた。受付をしてくれたレティアさんがいたのでそこに並んだ。
 カインの番になり、レティアは気づいてくれて微笑んでくれた。

「カインくんお帰りなさい。依頼何か見つかったかな?」

 レティアさんは街中か採集程度の依頼を受けているのかと思っていたらしい。

「レティアさん、常時依頼のゴブリンを倒してきたんですが、他の魔物の提出する部位ってどこなんですか?」

「ゴブリンは右耳になります。ウルフだったら尻尾ですね」

「いえ、他のを。実はリザードマンと遭遇したのですが、どこを取ったらいいのかわからなくて」

 その言葉を聞きレティアが驚く。

「カインくん! まだ登録したばかりのGランクなんだから無理をしたら駄目よ。リザードマンなんて単体でもDランク、複数いればCランクの冒険者パーティがあたるような魔物よ。見つからないで逃げてこれてよかったわ」

 レティアはため息をつき、カインが無事に帰ってくれたことを喜んだ。

「……レティアさん、リザードマンなんですが倒してきちゃったんですよね……それで部位を聞こうかと。あとゴブリンは耳を持ってきました」

 カインはそう言って、五十体分のゴブリンの耳が入った袋を魔法袋マジックバッグ風にした袋から取り出して、カウンターに置いた。

「!!!」

 レティアはあまりの数に驚いた。

「カインくん、ちょっと待っててくださいね」

 レティアは受付からいきなり席を立ち、奥へと入っていってしまった。
 カインはどうしていいかわからず受付た立ち尽くしていた。
 レティアはすぐに人を連れて戻ってきた。

「カインくんおまたせ。リザードマンのこともあるし、別室で話してもらえるかな? この人は私の上司よ」

「ここのサブギルドマスターをしてるセドリックと言う。ギルドマスターは、今、来客中なので私が対応しよう。個室を用意するから、こちらへ来てもらえるかな」

 カインは二人に連れられて、個室に入っていった。

「ここなら他の人は聞いていないから平気だよ。正直に言ってごらん、そのゴブリンの耳はどうしたんだい?」

 サブマスのセドリックが質問をしてきた。

「普通にゴブリンの集落を見つけたので、全部倒してきただけですが」

 カインは正直に答える。

「そんな、まだ子供が倒せるわけがない! しかもリザードマンまで倒したというじゃないか。Gランクの登録したばかりで不可能に決まってる」

「なぜ不可能だと思われるのですか? 普通に倒したと言ってるじゃないですか」

「そこまで言うなら、仕方ない、不正をしているということで君のギルドカードは剥奪にしよう」

 剥奪と聞いて、レティアも驚く。

「それはあまりにもひどいと思います。カインくんは、正直に言ってるだけかもしれないのに」

 レティアが助け舟を出してくれる。

「それはサブマスとして、滅茶苦茶じゃないですか。なんの証拠もなしに不正と決めつけて」

 カインも同じく反論していく。

「サブマスとしての決定事項だ! 平民のガキが冒険者になりたてで粋がっているからだ!素直に話せば考えてやったのに」

「そんなの横暴だっ!」

 カインも口答えする。


 その時、ノックの音がし、個室の扉が開いた。


「なんの騒ぎだいったい」


 入ってきたのは、正装をしたエルフの男性だった。

「これはギルマス、すいません、この小僧が不正をしているので問い詰めていたところです」

 セドリックがギルマスに説明をする。
 ギルドマスターがカインの目の前のソファに座りカインを見つめる。

「初めましてだね、私の名前はエディンと言う。ここのギルドマスターをしてるよ」

「初めまして、今日ギルドに登録したばかりのGランクのカインです」

 カインは丁寧に挨拶をした。カインを見てエディンも笑顔を向ける。

「それでセドリック、どうして不正ということになったのだ?」

 エディンはセドリックを見つめながら言う。

「登録初日に、袋いっぱいのゴブリンの耳を持ってきて、リザードマンまで倒したっていうんですよ。不正があるに決まってる」

 セドリックは息巻いて答える。
 エディンはため息をひとつつく。

「セドリック、わかっていないのは君だ。なんの証拠もないのは、こちらのほうだ。もし本当のことだったら、君はどう責任をとるつもりだい?」

 エディンは冷たく問いただす。

「しかも冒険者なりたての平民のガキが、粋がってるからだと、先ほど言われました」

 カインが火に油を注いでいく。もちろん満面の笑みだ。黒いほうの。

「!!!!!」

 セドリックが真っ赤な顔をして、睨めつけてくる。

「それは本当のことかい? レティア、君は聞いていただろう。正直に言いなさい」

 エディンの冷たい視線がレティアに突き刺さる。

「……はい……先ほどセドリックさんがたしかにそう言ってました」

 レティアはセドリックが睨めつけているので、視線をずらしながら正直に答えた。
 その言葉を聞いて、エディンはセドリックを睨めつける。

「セドリック、君がギルド規約の不正をしたことになるが、どういうことかな」

 エディンはセドリックを睨めつける。

「私より、こんなクソガキを選ぶんですか!? 今日登録したばかりの新人を!!」

 セドリックは激情しながら叫ぶ。

「わかってないのは君だ、ちょっと待ってくれ、おいっ。入っておいで」

 その声を聞いて、ドアが開いた。
 入ってきたのは近衛騎士服を着たエルフの女性だった。

 そう、エルフで近衛騎士服を着た女性は一人しかいない。

 入ってきた瞬間にセドリック目を大きく見開き膝をついた。

「これはこれはティファーナ騎士団長様、ようこそいらっしゃいました。いつもにましてお美しい」

 セドリックは最上級の挨拶をした。

「兄さん、急にどうしたの? って旦那様じゃない! どうしたのこんなとこで」 

 そういって、カインに抱きついてきた。



「「旦那さまっ!?」」


 セドリックとレティアが、目を見開いて驚いたのだった。


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