魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
32 迷宮5
俺の合図に合わせ、アカネが勢いよく茶色のゴーレムに向かって一直線に駆け出す。
(ユーリ、光魔法)
ん? あーなるほど。
(わかった)
アカネが茶色のゴーレムの間合いに入った瞬間、緑色のゴーレムが茶色のゴーレムの壁になるように割り込む。
緑色のゴーレムを中心に風の渦が生まれ始める。
あのゴーレムは風を操る系の能力か?
アカネを妨害しようとしているのかも知れないが、アカネは勢いを止めることなく走り続ける。
そして、アカネの背後からは太陽の如く、俺の創り出した光源が力強く光を放つ。
辺りを白い光が包み込む。
しかし、相手はゴーレム。目眩しとしての効果はほぼないだろうが、問題はない。
アカネの足下、そしてゴーレムたちの足下には黒い影がくっきりと現れる。
黒く伸びた影に魔法陣が現れると、アカネは吸い込まれるように影に沈む。
緑色のゴーレムが気がつい時には、すでにアカネは茶色のゴーレムの死角に現れ、暗殺者かのように魔法を突き付ける。
アカネの創り出す氷塊が、茶色のゴーレムを容赦なく殴り砕く。
目標を撃破したアカネは、深追いすることなく再び影に戻り、俺の足下の影から姿を現す。
それと同じタイミングで光源も消える。
光を放ってからアカネが戻ってくるまでは、ほんの数十秒のことだと考えると、アカネの速攻は中々に強力な切り札になる。
茶色のゴーレムが崩れ去った後、他のゴーレムが反撃に来るかと思ったが、その気配はない。
嫌な予感がする。
茶色以外のすべてのゴーレムが、急に全身をピカピカと光らせ始める。
それは茶色のゴーレムが復活の能力を使った時と同じように思えた。
ゴーレムの点滅が共鳴して、茶色のパーツが復元されていく。
ものの数秒で茶色のゴーレムは完全に復活した。
そんなぁ……もしかして全員同時に倒さないとダメってことか?
「ガウッ」(どうする?)
「作戦変更だな。アカネ、2体を同時に倒せるか?」
「ガウ」(3体大丈夫)
アカネは見栄ではなく、自分の力量を理解した上で言っているのがわかる。
俺はまた、アカネの限界を決めつけていたのかも知れない。
「3体頼む」
「ガウッ」(んっ)
少し離れた位置にいるゴーレムたちは2度の襲撃を受け、あらかじめ決められていたような陣形を即座に完成させる。
茶色と緑色のゴーレムが先頭に立ち、その右斜め後ろに紫色のゴーレム、左斜め後ろに青色のゴーレム、そして残りの赤色と黄色のゴーレムが、4体の後ろにいる。
そして、ゴレームたちは統率の取れた動きで、俺たちの元へと進み始めた。
「俺は左のやつの相手をする!」
「ガウ!」(わかった!)
俺とアカネが二手に分かれたことで、ゴーレムたちも3体づつに分かれる。
アカネの方には緑と紫と黄色のゴーレムが、俺の方には茶と青と赤色のゴーレムが来た。
先に攻撃を仕掛けたのはゴーレムたちだ。
茶色のゴーレムが地割れを起こし、青色のゴーレムが水流の砲撃を放つ。赤色のゴーレムが後ろで大きな火の球を創り上げている。
俺は飛翔魔法を発動し空中へ飛ぶ。俺を狙う水流の砲撃を氷魔法で凍らせる。
火の球が、水流の砲撃をすべて凍らせたのと同時に、俺に向かってくる。
「火魔法なら負けるつもりはない!」
俺が使える中で、最も火力と応用が利く魔法は火魔法だと言えるほど、火魔法は俺の得意魔法だ。
詠唱はいらないな。
俺は相手の火の球を超える巨大な火の球を即座に放つ。
ゴーレムの火の球と、俺の火の球が衝突するが、俺の方が上手だ。俺の火の球が相手の火の球を呑み込み、そのままゴーレムたちを襲う。
爆発による風圧を魔力の障壁で受け流し、相手の様子を伺う。
砂埃が収まり視界が開けると、ゴーレムたちは破損しているパーツもあるが、まだ倒れてはいなかった。
まぁ、あれくらいでは倒せないか。
横目でアカネの方を見ると、アカネの方が優勢なのが一目でわかる。
(アカネ、そっちの3体を倒したら教えてくれ)
(わかった。でも、6体同時に倒さないの?)
(それだけど、復活させてる間の隙を突いて倒す)
(じゃ、直ぐに片付ける)
(お、おう)
アカネが頼もしい。いや、それは前からなんだけど、冷静なのにいつもより強気な感じがする。
成長ってあっという間なんだなぁ。
そんな寂しさを感じていると、アカネから思念魔法で思念が送られてくる。
(倒した)
はやっ! と、そんなこと言ってる場合じゃない。
ゴーレムたちを見ると、青と茶を壁にして、赤色のゴーレムが復活の準備をしていた。
3体バラバラに移動しなくて良かった。
うん、もう1つの魔法を試してみるか!
俺はゴーレムたちが収まるギリギリの範囲をイメージして、効果を高めるように意識する。
「求めるは重力。絶対的な重圧よ、我が定めし所に不可避の枷となりて全てを磔よ」
『グラビティプレッシャー』
ゴーレムたちの真下に魔法陣が展開され、魔法が発動する。突然、ゴーレムたちは何かに押し潰されるように膝をつき、そして耐えきれず全身を地につける。
もちろん、すべて俺の魔法によって起きていることだ。
これが、もう1つの新しい魔法――重力魔法だ。
重力について詳しいわけではないが、魔法には何よりもイメージが大切だ。己の中で、明確なイメージがあれば魔法を生み出せる。
しかし、1から何かを生み出すのは難しい。
だからこそ、地球にいた時の記憶は貴重なイメージ材料になる。
俺の魔法はまだまだ進化できる。
「これで終わりだ!」
範囲を狭めて威力を上げる。
「根絶の龍撃」『ドラゴンブレス――――』
(ユーリ、光魔法)
ん? あーなるほど。
(わかった)
アカネが茶色のゴーレムの間合いに入った瞬間、緑色のゴーレムが茶色のゴーレムの壁になるように割り込む。
緑色のゴーレムを中心に風の渦が生まれ始める。
あのゴーレムは風を操る系の能力か?
アカネを妨害しようとしているのかも知れないが、アカネは勢いを止めることなく走り続ける。
そして、アカネの背後からは太陽の如く、俺の創り出した光源が力強く光を放つ。
辺りを白い光が包み込む。
しかし、相手はゴーレム。目眩しとしての効果はほぼないだろうが、問題はない。
アカネの足下、そしてゴーレムたちの足下には黒い影がくっきりと現れる。
黒く伸びた影に魔法陣が現れると、アカネは吸い込まれるように影に沈む。
緑色のゴーレムが気がつい時には、すでにアカネは茶色のゴーレムの死角に現れ、暗殺者かのように魔法を突き付ける。
アカネの創り出す氷塊が、茶色のゴーレムを容赦なく殴り砕く。
目標を撃破したアカネは、深追いすることなく再び影に戻り、俺の足下の影から姿を現す。
それと同じタイミングで光源も消える。
光を放ってからアカネが戻ってくるまでは、ほんの数十秒のことだと考えると、アカネの速攻は中々に強力な切り札になる。
茶色のゴーレムが崩れ去った後、他のゴーレムが反撃に来るかと思ったが、その気配はない。
嫌な予感がする。
茶色以外のすべてのゴーレムが、急に全身をピカピカと光らせ始める。
それは茶色のゴーレムが復活の能力を使った時と同じように思えた。
ゴーレムの点滅が共鳴して、茶色のパーツが復元されていく。
ものの数秒で茶色のゴーレムは完全に復活した。
そんなぁ……もしかして全員同時に倒さないとダメってことか?
「ガウッ」(どうする?)
「作戦変更だな。アカネ、2体を同時に倒せるか?」
「ガウ」(3体大丈夫)
アカネは見栄ではなく、自分の力量を理解した上で言っているのがわかる。
俺はまた、アカネの限界を決めつけていたのかも知れない。
「3体頼む」
「ガウッ」(んっ)
少し離れた位置にいるゴーレムたちは2度の襲撃を受け、あらかじめ決められていたような陣形を即座に完成させる。
茶色と緑色のゴーレムが先頭に立ち、その右斜め後ろに紫色のゴーレム、左斜め後ろに青色のゴーレム、そして残りの赤色と黄色のゴーレムが、4体の後ろにいる。
そして、ゴレームたちは統率の取れた動きで、俺たちの元へと進み始めた。
「俺は左のやつの相手をする!」
「ガウ!」(わかった!)
俺とアカネが二手に分かれたことで、ゴーレムたちも3体づつに分かれる。
アカネの方には緑と紫と黄色のゴーレムが、俺の方には茶と青と赤色のゴーレムが来た。
先に攻撃を仕掛けたのはゴーレムたちだ。
茶色のゴーレムが地割れを起こし、青色のゴーレムが水流の砲撃を放つ。赤色のゴーレムが後ろで大きな火の球を創り上げている。
俺は飛翔魔法を発動し空中へ飛ぶ。俺を狙う水流の砲撃を氷魔法で凍らせる。
火の球が、水流の砲撃をすべて凍らせたのと同時に、俺に向かってくる。
「火魔法なら負けるつもりはない!」
俺が使える中で、最も火力と応用が利く魔法は火魔法だと言えるほど、火魔法は俺の得意魔法だ。
詠唱はいらないな。
俺は相手の火の球を超える巨大な火の球を即座に放つ。
ゴーレムの火の球と、俺の火の球が衝突するが、俺の方が上手だ。俺の火の球が相手の火の球を呑み込み、そのままゴーレムたちを襲う。
爆発による風圧を魔力の障壁で受け流し、相手の様子を伺う。
砂埃が収まり視界が開けると、ゴーレムたちは破損しているパーツもあるが、まだ倒れてはいなかった。
まぁ、あれくらいでは倒せないか。
横目でアカネの方を見ると、アカネの方が優勢なのが一目でわかる。
(アカネ、そっちの3体を倒したら教えてくれ)
(わかった。でも、6体同時に倒さないの?)
(それだけど、復活させてる間の隙を突いて倒す)
(じゃ、直ぐに片付ける)
(お、おう)
アカネが頼もしい。いや、それは前からなんだけど、冷静なのにいつもより強気な感じがする。
成長ってあっという間なんだなぁ。
そんな寂しさを感じていると、アカネから思念魔法で思念が送られてくる。
(倒した)
はやっ! と、そんなこと言ってる場合じゃない。
ゴーレムたちを見ると、青と茶を壁にして、赤色のゴーレムが復活の準備をしていた。
3体バラバラに移動しなくて良かった。
うん、もう1つの魔法を試してみるか!
俺はゴーレムたちが収まるギリギリの範囲をイメージして、効果を高めるように意識する。
「求めるは重力。絶対的な重圧よ、我が定めし所に不可避の枷となりて全てを磔よ」
『グラビティプレッシャー』
ゴーレムたちの真下に魔法陣が展開され、魔法が発動する。突然、ゴーレムたちは何かに押し潰されるように膝をつき、そして耐えきれず全身を地につける。
もちろん、すべて俺の魔法によって起きていることだ。
これが、もう1つの新しい魔法――重力魔法だ。
重力について詳しいわけではないが、魔法には何よりもイメージが大切だ。己の中で、明確なイメージがあれば魔法を生み出せる。
しかし、1から何かを生み出すのは難しい。
だからこそ、地球にいた時の記憶は貴重なイメージ材料になる。
俺の魔法はまだまだ進化できる。
「これで終わりだ!」
範囲を狭めて威力を上げる。
「根絶の龍撃」『ドラゴンブレス――――』
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