魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
22 正体
俺は沸々とわき上がる怒りを抑え込み、目の前にいる敵を睨みつける。
何もかもが黒々とした森の中で、敵の姿は暗くてよく見えない。
しかし、一瞬だけ木々の隙間から光が差し込み、その姿を、その正体を知る。
「リザードマンだったのか」
爬虫類のような目がこちらを見ていた。舌をチロチロと出してはしまってを繰り返し、こちらの様子を伺っているように感じる。
リザードマン。それは人の形をしたトカゲのような魔獣だ。
通常の個体は赤い鱗で覆われていて、群れをなして生活しているらしい。
だが、目の前にいる個体は艶のある黒い鱗をまとい、周りに別の個体がいる気配はない。
さらに通常のリザードマンと違う点は、毒魔法が使えるということだ。
リザードマンは火の耐性が高いが、毒魔法が使えるとは聞いたことがない。
通常のリザードマンは中級レベルだが、目の前のリザードマン――仮にブラックリザードマンと呼ぶとすれば、その力は未知数。
この第三層で生きていると考えれば、最上級上位以上の魔獣に違いないだろう。
だからといって、引き下がるつもりは全くない。
「強化」
魔法陣が俺の足下に現れ、全身に強化魔法を施す。
身体能力が上昇することで、体が軽くなり、視力や聴力といったところまで強化されている。
ブラックリザードマンはその体を縮ませて、何かをためるような動作を見せる。
そして体を元に戻すと全身から毒を噴き出し、辺り一面が毒霧に包まれる。
薄紫色に染まった視界はブラックリザードマンの姿を隠し、戦闘するには悪環境だった。
毒については俺に効果を与えるほどの強さはないため気にする必要はないが、邪魔であることに変わりはないと思い消し去ることにする。
「風よ、すべて吹き飛ばせ」
俺が言い放ったその一言で、目の前に展開された魔法陣から爆風が生まれ、毒霧をすべて吹き飛ばす。
毒霧が消え、視界が元に戻る。
思った通りブラックリザードマンの姿が見えない。
まぁ姿は見えなくても、その殺気が丸わかり……だ!
「土よ!」
俺は背後に迫る殺気に向かって、振り向きざまに土魔法で殴り飛ばす。
ブラックリザードマンは不意打ちを仕掛けたつもりが、逆に不意打ちを食らう羽目となる。
「グギャ!?」
「拘束よ」
俺はすかさず拘束魔法で、空中で体勢を崩しているブラックリザードマンを拘束する。
漆黒の鎖が身体中に巻きついて、身動きの取れないブラックリザードマンは背中から地に落ちる。
「お前はアカネを傷つけた――容赦はしない」
俺はブラックリザードマンに怒りの一撃を放つ。
「求めるは熔岩。灼熱の鉄鎚よ、撃ち砕け」
『ラヴァインパクト』
ブラックリザードマンの上に展開された魔法陣から、灼熱に燃える熔岩の塊が姿を見せる。
その熱さのあまり、ブラックリザードマンの周りにある枯葉が燃えて炭に変わる。
「グギャッ!!」
熔岩を食らったブラックリザードマンは、原型をとどめていない。
ちなみに、俺が使った熔岩魔法とは火と鉱石の複合魔法だ。
俺は修行の成果を試せたことで少し満足していた。
肉が焼けた匂いが辺りに漂う。
「このままだと他の魔獣が寄ってくるな」
魔法の選択を誤ったかもしれないと、少し反省する。
すぐさまブラックリザードマンだったものを転移魔法で適当な場所に飛ばす。
風魔法で匂いを吹き飛ばし、俺はアカネのもとまで戻る。
様子を見ていると、アカネは目を開けて起き上がる。
「ガウ……ガウ」(油断した……ごめん)
「いいよ。もう毒魔法は会得したんだろ?」
「ガウ」(うん)
こいつ、恐ろしいな。半分冗談で言ったのに……
「もう大丈夫か?」
「ガウッ」(問題ない)
「そっか」
アカネが問題ないって言ってるし、そろそろ出発しようか。
俺は先の戦いを少し思い出す。
結局のところあいつは龍人ではなかったけど、もし本当に龍人がこの森で生きていたら、そいつは敵になってしまうだろうか?
できれば戦いたくはないと思う。
龍人は俺にとって仲間で、家族のような存在だから。
でも、俺たちに危害を及ばすようなら俺は戦う。
「行こう」
「ガウッ」(うん)
ここは弱肉強食の世界。
甘さは命取りになる。
俺は改めてそのことを認識し、先へ進んだ。
何もかもが黒々とした森の中で、敵の姿は暗くてよく見えない。
しかし、一瞬だけ木々の隙間から光が差し込み、その姿を、その正体を知る。
「リザードマンだったのか」
爬虫類のような目がこちらを見ていた。舌をチロチロと出してはしまってを繰り返し、こちらの様子を伺っているように感じる。
リザードマン。それは人の形をしたトカゲのような魔獣だ。
通常の個体は赤い鱗で覆われていて、群れをなして生活しているらしい。
だが、目の前にいる個体は艶のある黒い鱗をまとい、周りに別の個体がいる気配はない。
さらに通常のリザードマンと違う点は、毒魔法が使えるということだ。
リザードマンは火の耐性が高いが、毒魔法が使えるとは聞いたことがない。
通常のリザードマンは中級レベルだが、目の前のリザードマン――仮にブラックリザードマンと呼ぶとすれば、その力は未知数。
この第三層で生きていると考えれば、最上級上位以上の魔獣に違いないだろう。
だからといって、引き下がるつもりは全くない。
「強化」
魔法陣が俺の足下に現れ、全身に強化魔法を施す。
身体能力が上昇することで、体が軽くなり、視力や聴力といったところまで強化されている。
ブラックリザードマンはその体を縮ませて、何かをためるような動作を見せる。
そして体を元に戻すと全身から毒を噴き出し、辺り一面が毒霧に包まれる。
薄紫色に染まった視界はブラックリザードマンの姿を隠し、戦闘するには悪環境だった。
毒については俺に効果を与えるほどの強さはないため気にする必要はないが、邪魔であることに変わりはないと思い消し去ることにする。
「風よ、すべて吹き飛ばせ」
俺が言い放ったその一言で、目の前に展開された魔法陣から爆風が生まれ、毒霧をすべて吹き飛ばす。
毒霧が消え、視界が元に戻る。
思った通りブラックリザードマンの姿が見えない。
まぁ姿は見えなくても、その殺気が丸わかり……だ!
「土よ!」
俺は背後に迫る殺気に向かって、振り向きざまに土魔法で殴り飛ばす。
ブラックリザードマンは不意打ちを仕掛けたつもりが、逆に不意打ちを食らう羽目となる。
「グギャ!?」
「拘束よ」
俺はすかさず拘束魔法で、空中で体勢を崩しているブラックリザードマンを拘束する。
漆黒の鎖が身体中に巻きついて、身動きの取れないブラックリザードマンは背中から地に落ちる。
「お前はアカネを傷つけた――容赦はしない」
俺はブラックリザードマンに怒りの一撃を放つ。
「求めるは熔岩。灼熱の鉄鎚よ、撃ち砕け」
『ラヴァインパクト』
ブラックリザードマンの上に展開された魔法陣から、灼熱に燃える熔岩の塊が姿を見せる。
その熱さのあまり、ブラックリザードマンの周りにある枯葉が燃えて炭に変わる。
「グギャッ!!」
熔岩を食らったブラックリザードマンは、原型をとどめていない。
ちなみに、俺が使った熔岩魔法とは火と鉱石の複合魔法だ。
俺は修行の成果を試せたことで少し満足していた。
肉が焼けた匂いが辺りに漂う。
「このままだと他の魔獣が寄ってくるな」
魔法の選択を誤ったかもしれないと、少し反省する。
すぐさまブラックリザードマンだったものを転移魔法で適当な場所に飛ばす。
風魔法で匂いを吹き飛ばし、俺はアカネのもとまで戻る。
様子を見ていると、アカネは目を開けて起き上がる。
「ガウ……ガウ」(油断した……ごめん)
「いいよ。もう毒魔法は会得したんだろ?」
「ガウ」(うん)
こいつ、恐ろしいな。半分冗談で言ったのに……
「もう大丈夫か?」
「ガウッ」(問題ない)
「そっか」
アカネが問題ないって言ってるし、そろそろ出発しようか。
俺は先の戦いを少し思い出す。
結局のところあいつは龍人ではなかったけど、もし本当に龍人がこの森で生きていたら、そいつは敵になってしまうだろうか?
できれば戦いたくはないと思う。
龍人は俺にとって仲間で、家族のような存在だから。
でも、俺たちに危害を及ばすようなら俺は戦う。
「行こう」
「ガウッ」(うん)
ここは弱肉強食の世界。
甘さは命取りになる。
俺は改めてそのことを認識し、先へ進んだ。
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