魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
18 アカネとユーリ、ある日の特訓
「よし、どっからでもかかってこい!」
「ガウッ」(うん)
俺の言葉を合図に、俺とアカネの特訓は始まった。
先に動いたのはアカネ。得意のサンダーフォルムと強化魔法のコンビネーションで閃光のように走る。
目で追うことは不可能。そして、ざっと10メートルほど離れていたはずの距離は一瞬にして縮まる。
「ガウッ!」(はっ!)
正面からの速攻。速さと強化魔法によって強化された前脚が俺の首を狙う。
が、俺はそれを半身で避ける。
空振りとなったアカネは動揺することもなく、勢いを切り替えて次の攻撃につなげる。
どうやら、俺が避けることを見越して一撃目は牽制に使ったらしい。
アカネは速さを活かしたヒットアンドアウェイで攻撃を仕掛けてくる。
正面からと思えば、右から。右からと思えば、上から。俺の死角を的確に狙ってくる。
が、俺は魔力障壁(魔力でつくった壁)だけを使って受け流していく。
アカネと俺の攻防は烈しさを増す。
辺り一面はボコボコとクレーターが量産され、地割れもチラホラと見える。
アカネが一旦下がった。
俺はその隙を逃さない。
「転移」
俺は転移魔法でアカネの背後に回り込む。そして、直ぐに次の魔法陣を展開する。
使うのは闇と糸の複合魔法の拘束魔法だ。
複合魔法とは、いくつかの魔法を組み合わせて新たに生み出した魔法という意味で、一つの効果に特化している場合が多い。
拘束魔法はその名の通り相手を拘束するための魔法だ。
拘束された者は身動きが取れなくなったり、魔法が使えなくなったりなど、様々な効果を与えることが出来る。
アカネの四方八方に展開された魔法陣から、黒い帯状のものが巻き付こうと飛び出す。
そのうちの一本がアカネに巻き付いたかと思われたが、間一髪のところでアカネが影に消える。
「上手い」
影魔法だ。影の中を移動したり、影を操ることが出来る。
だが。
「光よ」
俺たちが戦っている真上に大きな魔法陣を展開する。
影を一つも残さないほどの光量が場を制す。
影が消えてしまったことで、アカネはその姿を露わにする。
「ガウッ」(ずるい)
「こういうこともあり得るからな」
「ガウ、ガウ」(ユーリは反則級)
「お前もな……いくぞっ」
俺とアカネは互いに十数ほどの魔法陣を展開していく。
先に魔法を放ったのはアカネだ。
炎の球、水の槍、風の矢、土の拳、光の剣など、様々な魔法が一斉に放たれる。
俺は対抗するように、アカネが放った魔法を全て相殺していく。
魔法がぶつかり合う度に、その衝撃が肌に伝わる。
爆風が、熱が、光が、飛沫が弾けて舞う。
「ガウー!」(うぉぉおー!)
「はぁぁあー!」
お互いの魔力が高まっていくのがわかる。
次の一撃で勝負が決まる。
魔法陣が完成するまでは一瞬だ。
「火よ」
アカネの展開した魔法陣から現れたのは、獅子を思わせる青い稲妻。
タテガミが逆立ち、今にもその牙が俺の喉元を狙っているように感じる。
しかし、俺も負けるわけにはいかない。アカネの主人として、一人の魔術師として。
青雷の獅子が駆け出す。
右、左と屈折しながら迫るそれに、俺は紅蓮の火竜を叩きつける。
竜と獅子が喰らい合う瞬間、白い光が全てを包み込み、直後超爆発が起きる。
あ、まずい。
「空間よ、闇よ、断絶する部屋を創り出せ」
『ブラックボックス』
俺は空間魔法と闇魔法の二重魔法で創り出した闇の空間に、爆発のエネルギーを閉じ込める。
正方形の、教室程度の大きさをした黒い箱は次第に小さくなっていく。
しばらくすると、完全にその姿を消した。
それを確認すると、アカネがいつの間にか俺の横にいた。
「何とかなったな」
「ガウ……」(やりすぎた……)
「だなぁ……てか、アカネ強くなってね?」
「ガウーガウー」(それはユーリといつも戦ってるから)
アカネはそう言うと疲れたとばかりに、その場で前脚を前に突き出して伸びる。
俺も両腕を真上にあげて、背伸びをする。
「本当にそれだけ?」
「……」(……)
「まぁ、無茶だけはするなよ?」
「ガウッ」(うん)
俺はアカネの頭に手を乗せて、軽く撫でる。
白く柔らかい毛が俺の手を包み込む。
アカネも頑張っているということが知れてよかった。
少し心配でもあるが、それよりもお互いに強くなっていることが実感できる。それが何よりも嬉しい。
「ちょっと寝よう」
「ガウゥー」(うーん)
久しぶりに張り切り過ぎたみたいだ。少し疲れた。
俺とアカネは先ほどまで戦っていた場所で、特に気にすることもなく横になる。
魔獣に襲われる心配はない。
先の戦いで、周りにいた魔獣は全て逃げた。
俺の脇のあたりにアカネは頭を寄せて、体を縮こませている。
俺たちは一眠りすることにした。
「ガウッ」(うん)
俺の言葉を合図に、俺とアカネの特訓は始まった。
先に動いたのはアカネ。得意のサンダーフォルムと強化魔法のコンビネーションで閃光のように走る。
目で追うことは不可能。そして、ざっと10メートルほど離れていたはずの距離は一瞬にして縮まる。
「ガウッ!」(はっ!)
正面からの速攻。速さと強化魔法によって強化された前脚が俺の首を狙う。
が、俺はそれを半身で避ける。
空振りとなったアカネは動揺することもなく、勢いを切り替えて次の攻撃につなげる。
どうやら、俺が避けることを見越して一撃目は牽制に使ったらしい。
アカネは速さを活かしたヒットアンドアウェイで攻撃を仕掛けてくる。
正面からと思えば、右から。右からと思えば、上から。俺の死角を的確に狙ってくる。
が、俺は魔力障壁(魔力でつくった壁)だけを使って受け流していく。
アカネと俺の攻防は烈しさを増す。
辺り一面はボコボコとクレーターが量産され、地割れもチラホラと見える。
アカネが一旦下がった。
俺はその隙を逃さない。
「転移」
俺は転移魔法でアカネの背後に回り込む。そして、直ぐに次の魔法陣を展開する。
使うのは闇と糸の複合魔法の拘束魔法だ。
複合魔法とは、いくつかの魔法を組み合わせて新たに生み出した魔法という意味で、一つの効果に特化している場合が多い。
拘束魔法はその名の通り相手を拘束するための魔法だ。
拘束された者は身動きが取れなくなったり、魔法が使えなくなったりなど、様々な効果を与えることが出来る。
アカネの四方八方に展開された魔法陣から、黒い帯状のものが巻き付こうと飛び出す。
そのうちの一本がアカネに巻き付いたかと思われたが、間一髪のところでアカネが影に消える。
「上手い」
影魔法だ。影の中を移動したり、影を操ることが出来る。
だが。
「光よ」
俺たちが戦っている真上に大きな魔法陣を展開する。
影を一つも残さないほどの光量が場を制す。
影が消えてしまったことで、アカネはその姿を露わにする。
「ガウッ」(ずるい)
「こういうこともあり得るからな」
「ガウ、ガウ」(ユーリは反則級)
「お前もな……いくぞっ」
俺とアカネは互いに十数ほどの魔法陣を展開していく。
先に魔法を放ったのはアカネだ。
炎の球、水の槍、風の矢、土の拳、光の剣など、様々な魔法が一斉に放たれる。
俺は対抗するように、アカネが放った魔法を全て相殺していく。
魔法がぶつかり合う度に、その衝撃が肌に伝わる。
爆風が、熱が、光が、飛沫が弾けて舞う。
「ガウー!」(うぉぉおー!)
「はぁぁあー!」
お互いの魔力が高まっていくのがわかる。
次の一撃で勝負が決まる。
魔法陣が完成するまでは一瞬だ。
「火よ」
アカネの展開した魔法陣から現れたのは、獅子を思わせる青い稲妻。
タテガミが逆立ち、今にもその牙が俺の喉元を狙っているように感じる。
しかし、俺も負けるわけにはいかない。アカネの主人として、一人の魔術師として。
青雷の獅子が駆け出す。
右、左と屈折しながら迫るそれに、俺は紅蓮の火竜を叩きつける。
竜と獅子が喰らい合う瞬間、白い光が全てを包み込み、直後超爆発が起きる。
あ、まずい。
「空間よ、闇よ、断絶する部屋を創り出せ」
『ブラックボックス』
俺は空間魔法と闇魔法の二重魔法で創り出した闇の空間に、爆発のエネルギーを閉じ込める。
正方形の、教室程度の大きさをした黒い箱は次第に小さくなっていく。
しばらくすると、完全にその姿を消した。
それを確認すると、アカネがいつの間にか俺の横にいた。
「何とかなったな」
「ガウ……」(やりすぎた……)
「だなぁ……てか、アカネ強くなってね?」
「ガウーガウー」(それはユーリといつも戦ってるから)
アカネはそう言うと疲れたとばかりに、その場で前脚を前に突き出して伸びる。
俺も両腕を真上にあげて、背伸びをする。
「本当にそれだけ?」
「……」(……)
「まぁ、無茶だけはするなよ?」
「ガウッ」(うん)
俺はアカネの頭に手を乗せて、軽く撫でる。
白く柔らかい毛が俺の手を包み込む。
アカネも頑張っているということが知れてよかった。
少し心配でもあるが、それよりもお互いに強くなっていることが実感できる。それが何よりも嬉しい。
「ちょっと寝よう」
「ガウゥー」(うーん)
久しぶりに張り切り過ぎたみたいだ。少し疲れた。
俺とアカネは先ほどまで戦っていた場所で、特に気にすることもなく横になる。
魔獣に襲われる心配はない。
先の戦いで、周りにいた魔獣は全て逃げた。
俺の脇のあたりにアカネは頭を寄せて、体を縮こませている。
俺たちは一眠りすることにした。
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