日本円でダンジョン運営

sterl

side ライオス・アリア・ヴォルドー part 10

 階層を駆け降り、影に潜むウルフを薙ぎ払い扉を開け、ようやく闇から解放された。久々の光に目を慣らし、前を見る。ここから先は51階層のはずだが。

「行き止まり、だと?」

 岩壁が少し続き、そこで行き止まりになっている。あるものと言えば水たまり程度だ。

 水たまりの手前まで進み周囲の様子を確認する。……やはり行き止まりか。何かあるとすればこの水たまりだが。

 水たまりを覗く。水たまりに写った我の姿の他に、何かあるな。これは、明かりか。水たまりの中が光っている。恐らくこの水たまりの中に空洞があるのだろう。ただの水たまりだとしか思えなかったのは光の屈折の影響だろう。
 さて、行くか。

 息を限界まで吸い、水たまりに飛び込む。少し口に入った水が、これが海水であると告げていた。水たまりの先の水中洞窟は直角に曲がっており、横穴となったその先に開けた空間があった。

 水を蹴り、勢いよく横穴を飛び出す。そこは、海の底だった。海底の岩が淡く発光し、海底の所々から出る泡や、あちらこちらを泳ぐ魚を幻想的に照らし出していた。

 粋な計らいをしてくれる。

 その広い海へ、我は飛び出した。

「日本円でダンジョン運営」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く