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side ライオス・アリア・ヴォルドー part 8

 濃密な闇。なるほど、視覚を無意味とするか。

「獣の、我の五感をなめるなよ」

 濃密な闇の中に足を踏み入れる。空気の動きと足音の反響で周囲の様子は判る。ここは洞窟になっているようだな。さて、となれば走るだけだ。

 道中、バットを初めとするモンスターがいたが、その程度どうということはない。全て蹴散らせば良いことだ。

 次々と階層走り抜けていく。そして45階層。我の考えが正しければ他より強い特殊なモンスターがいるはずだ。それが真なる獣神までの障害であるなら、探し出して倒さねばならない。

「ふーっ、ハァ!」

 短く吠える。洞窟内に反響した音が、様々な情報を伝えてくる。雑魚の反応の更にその先に、他とは違う反応を見付けた。

 床、壁、天井までもを滑るように移動する流動体。このような動きをするモンスターを我は知らない。つまり特殊なモンスターであるはずだ。

 その流動体に向けて走る。空気の振動が、確実に流動体に近づいていることを我に伝えた。


 ――テケリリ


 鈴のような音が洞窟に響いた。ふと気づけば、我は流動体の気配に囲まれていた。

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