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side ライオス・アリア・ヴォルドー part 6
ダンジョンを走りながら、我は昔、父に言われたことを思い出していた。
我がその話を聞かされたのは10歳の誕生日の夜だった。同時の獣神、我の父から聞かされたこと。
真の獣神の話。
我が一族は、古からこの国の王座を守ってきた。一度、獣の姿を騙るかつての蟲神に王座を奪われた事があったが、化けの皮を剥いだら早々に去って行ったらしい。つまり、我がこの国の王。獣神の正統な後継者である。そう思っていた。
父は、予てより我にこう言っていた。強くなれ。強くなり、私を見事打ち倒して見せよ、と。
当時の我にその言葉の真意は解らなかったが、強くならなければいけないということは解った。我は己を鍛え続けた。
10歳になった誕生日の夜、我は父に呼び出された。何事かと思い赴くと、模擬戦をしようと言われたのだ。我は父と模擬戦をした。そして、完敗した。
地に倒れ伏した我に、父は語った。
――私とて正しい獣神ではない。真なる獣神は我が一族の始祖のみなのだ。しかし、いつしか真なる獣神は現れる。邪神の復活と供に。
我はなぜそこで邪神の話題が出たのか解らなかった。父は続けて言った。
――獣神の混沌迷宮。邪神の復活の前兆として現れるダンジョンだ。このダンジョンはなぜ獣神の名を冠しているのか、考えたことはあるか?
我は、答えられなかった。沈黙を答えと取ったのか、父は続けた。
――かつて現れた獣神の混沌迷宮のボスモンスター。それが、私たちの始祖だ。獣神の混沌迷宮は邪神に反逆し、人類と神々に加担した。なのに、始祖は神々に殺された。それはなぜか。神の力を持っていたからだ。地上の者が神の力を持ってはならないのだ。
そして一息置いて、父は言い放った。
――しかし、神の力を持つ獣神こそ真なる獣神。いつかまた現れる獣神の混沌迷宮。そのボスモンスターこそ真なる獣神。それを殺せば、かつてよりの獣神の後継者たる私たちがその力を受け継ぐ。その役目を、ライオス、お前に担って欲しい。私を越え、更なる力を手にし、真なる獣神にお前がなるのだ。
我は、その言葉を胸に刻み、鍛練に鍛練を重ねた。
20歳の誕生日、我はついに父を打ち倒し、父の力を受け継ぎ、獣国ヴォルドーの王になった。
父の死体を踏み越えて。
今となっては懐かしい。父の死体を踏み越えたあの日からも、我は力を強めて行った。
我は、数多の死体を踏み越えてここに来た。最早意思なき者に遅れは取らない。
我の足下には、砂漠の守護者、サンドガーディアンの残骸が転がっていた。
我がその話を聞かされたのは10歳の誕生日の夜だった。同時の獣神、我の父から聞かされたこと。
真の獣神の話。
我が一族は、古からこの国の王座を守ってきた。一度、獣の姿を騙るかつての蟲神に王座を奪われた事があったが、化けの皮を剥いだら早々に去って行ったらしい。つまり、我がこの国の王。獣神の正統な後継者である。そう思っていた。
父は、予てより我にこう言っていた。強くなれ。強くなり、私を見事打ち倒して見せよ、と。
当時の我にその言葉の真意は解らなかったが、強くならなければいけないということは解った。我は己を鍛え続けた。
10歳になった誕生日の夜、我は父に呼び出された。何事かと思い赴くと、模擬戦をしようと言われたのだ。我は父と模擬戦をした。そして、完敗した。
地に倒れ伏した我に、父は語った。
――私とて正しい獣神ではない。真なる獣神は我が一族の始祖のみなのだ。しかし、いつしか真なる獣神は現れる。邪神の復活と供に。
我はなぜそこで邪神の話題が出たのか解らなかった。父は続けて言った。
――獣神の混沌迷宮。邪神の復活の前兆として現れるダンジョンだ。このダンジョンはなぜ獣神の名を冠しているのか、考えたことはあるか?
我は、答えられなかった。沈黙を答えと取ったのか、父は続けた。
――かつて現れた獣神の混沌迷宮のボスモンスター。それが、私たちの始祖だ。獣神の混沌迷宮は邪神に反逆し、人類と神々に加担した。なのに、始祖は神々に殺された。それはなぜか。神の力を持っていたからだ。地上の者が神の力を持ってはならないのだ。
そして一息置いて、父は言い放った。
――しかし、神の力を持つ獣神こそ真なる獣神。いつかまた現れる獣神の混沌迷宮。そのボスモンスターこそ真なる獣神。それを殺せば、かつてよりの獣神の後継者たる私たちがその力を受け継ぐ。その役目を、ライオス、お前に担って欲しい。私を越え、更なる力を手にし、真なる獣神にお前がなるのだ。
我は、その言葉を胸に刻み、鍛練に鍛練を重ねた。
20歳の誕生日、我はついに父を打ち倒し、父の力を受け継ぎ、獣国ヴォルドーの王になった。
父の死体を踏み越えて。
今となっては懐かしい。父の死体を踏み越えたあの日からも、我は力を強めて行った。
我は、数多の死体を踏み越えてここに来た。最早意思なき者に遅れは取らない。
我の足下には、砂漠の守護者、サンドガーディアンの残骸が転がっていた。
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