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万死と尖光

 森の中を歩き初めて3時間ほど経ったころ、辺りに霧が立ち込め初めた。

「なんか肌寒くなってきたな。それにこの霧、なにかあるのか?」

 霧の先にアドゥルの舘があったという前例があるし、何かあるのは確実だろう。霧のせいで周りがよく見えなくなっているから、霧を抜けたら目の前にオレイノスタナトスが居るかもしれない。

「ワフゥ」

「どうした、ジョセフィーヌ?」

 なにやらジョセフィーヌがそわそわとしはじめた。これはいよいよ何かあるな。黙って見ていよう。

「アオォォォオオォオン!」

 じっとジョセフィーヌを見ていると、突然ジョセフィーヌが雄叫びを上げた。その途端、ジョセフィーヌを中心に覇気のようなものが溢れだし、圧力を持って周囲の空間に広がる。その威圧に思わず目を瞑ると、木々が薙ぎ倒される音が聞こえた。続いて地鳴りのような音が響き、同時に地震のようなものも感じた。

 目を開けると、既に霧は晴れていた。周りには折れて吹き飛んだ木々が散らばっている。
 前を見ると、頭上に見上げるほどの巨大な亀の頭がありこちらを睨んでいた。よく見ると、口から先程の霧のような煙が漏れている。甲羅の方に目を向けるても、ワールドイーターよりも圧倒的に巨大な足に支えられた甲羅の全貌を確認することはできなかった。ここまで大きかった筈はないが、どう考えてもこれがオレイノスタナトスだろう。その目はあからかまに敵意に満ちている。

「アオォォオン!」

 オレイノスタナトスに気を取られていると、再びジョセフィーヌの咆哮が響き渡った。
 ジョセフィーヌを見ると、ジョセフィーヌが光り輝いていた。ジョセフィーヌから放たれた光がバチバチと弾け飛び、その光が地面を抉っている。その威容はオレイノスタナトスに負けてはいない。

 ……目を閉じた一瞬に何が起こった?

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