初心者がVRMMOをやります(仮)
更地の場所は……
問題の更地になった場所は、新素材を持って来たプレイヤーたちの言うとおり、元に戻っていた。
「ここまで綺麗に直ってると、逆に怪しくね?」
ユウがスクショを取りながら呟く。それに関してはディッチもジャッジも同感である。……のだが。
「わぁぁぁ、のどかでいい場所」
「本当ですわね。ピクニックにもよさそうですわ」
約二名、当初の予定を忘れている。もちろんカナリアとユーリだ。
「ピクニック! 新しい場所の開拓ですね!!」
きらん、という擬音語が似合いそうなまでにカナリアが食いついていた。それを生暖かい目で見守るのは、リリアーヌだ。
「りりちゃん、今度ここでピクニック……」
「美玖ちゃん、それは大変嬉しいお誘いなんだけどね……どう見たってトラップいっぱいのところで、ピクニックする気にならないよ」
「え?」
キョトンとしたカナリアと、しまったという顔をするユーリ。カナリアは事の重大さが分かっていないようである。
「多分トラップだらけだよ。何せジャッジさんの知り合いが急ピッチで仕上げたんだから」
「ジャッジさんの知り合いだと、トラップ多くなるの?」
「バレンタインイベント、思い出そうよ」
「……あ」
思い出したようで何より。あれに参加したジャッジとイッセンが安心したため息をついた。
「どれくらいトラップあると思う?」
「多分、星の数ほど。限定クエストに突入してもおかしくないと思っていたほうがいい」
「地獄だな、ヲイ」
ジャスティスとディスカスがそんな話をしていた。
最悪漢解除か、いや、限定は無理だろ。そんな会話があちこちでなされた。
「ただ素材を取りに行きたいだけなのに」
一人見当違いな発言をしていたが、スルースキルが高くなったメンバーは聞かなかったことにした。
結局、トラップは見当たらず、あっさりとキーポイントとなる集落へとたどり着いた。
そこで全員一度ログアウトする。
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