初心者がVRMMOをやります(仮)
茶会への招待状
クリスが久しぶりにログインすると、ジャッジが不服そうな顔で根城にしている拠点へ遊びに来た。
「My dear son、来てくれて嬉しいよ」
「陰険策士様の使いだ。ほれ」
和紙もどきに毛筆で書かれた「招待状」。一瞬「果し状」に見えたのは気のせいだろう。
その場で開封し、中を見ると、拝啓やら時候の挨拶に始まり、茶会に必要な道具がゲーム内で揃ったため親しいプレイヤーを招いて茶会を催すと書いてあった。
ちなみに、期日はゲーム時間で明日。急なものだと思ったが、クリスが仕事で忙しくなりログインをしなくなった直後に書いたらしい。
「明日、時間に都合をつけてうかがうと伝えてくれ」
「……来なくていいものを」
ぶすっとしたまま、ジャッジが言う。
「あ、それからセラフィムたちも連れていくよ。女帝と誼をつなぐいい機会だ」
今までのマイナスをプラスにするのは難しいだろうが、親代わりとしてそれくらいはしなくてはならないだろう。
それを聞いたジャッジはその場でクィーンと連絡を取り始めた。
どうやら向こうもそれを予期していたらしい。ぶつくさと嫌がるように言うジャッジをクィーンが宥めている、という構図がなんとも可愛らしかった。
「あんた含めて五人までは可だと。その代り、問題ごとや喧嘩は起こさないこと。これが条件らしい」
「他には誰が来るんだい?」
「俺が知る限りでは『神社仏閣を愛する会』の全メンバーと『春陽』と『スワスティ』のギルマス、サブマスが来るらしい。あとは知らん」
「かなりな大人数になりそうだね」
クリスとしては楽しみで仕方ない。
ジャッジが帰るなり、連れていく四人を決め通達をした。
そして、クリスはその茶会で予想外の誼を得ることになる。
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