初心者がVRMMOをやります(仮)
予定変更!
その変更内容を聞いたメンバーはというと……。
一瞬にして戦意を喪失していた。
「兄貴は阿呆なのか!? それともこれをマジでやるってことはドSへクラスチェンジしたのか!?」
スカーレットがすぐさま怒鳴った。
「……町とNPC最優先で守るって……あのヒト無茶苦茶言うよなぁ」
「しっかし、ここ数年で最悪の指揮だな」
ユウとフェンフェンが呆れて呟いた。
『諸君、問題ない! 指揮官三人の一致した意見だ!』
その言葉に全員がウドムを睨む。
『何も難しく考えることはない! 何せ指揮官が三人もいるし、その意図を一言で理解するメンバーが多いことが、これの最大のポイント』
さらりとディッチが恐ろしいことを言い出した。
『私たちも砦を出て戦闘に混ざります。この砦は大砲をメンテナンスするディスカスさんと、大砲を使用するジャッジさんに一任します。複数人で大砲を撃たなくてはならない場合は、二人のが指示した人物が入ってください。
そして、マモルさんとチェンさんは特殊錬金で大砲の火薬を作ってください』
「是!」
すぐさまチェンが頷いていた。
……が。
『そして、砦にモンスターを全て集めます! 全員で誘導してください!』
「……はぁ!?」
ほとんどのメンバーの声がはもった。
『大丈夫だ! 砦は守る! 砦に集まってきたモンスターをロワイヤル形式で全部叩く! そういうのは慣れてるだろ?』
ディッチが通話越しでにやりと笑っているのが分かった。
「おい、ギルマス」
「スワスティ」メンバーがウドムを殴りそうになっていた。
「逆の発想だよ。今までだってこの砦を守れた試しはないんだから。どんなに四散させても、結局砦を陥落させられて、我々は終わっていた。好き勝手蹂躙させられてた。……違うか?」
その言葉に、「スワスティ」以外のメンバーも言葉を失っている。
「だったら、近くにある町を守ろうじゃないか、それが二人の考えだよ。
そして前回、私とカーティスさんは疑問に思ったことがあったんだ」
「疑問?」
ウドムは敵を駆逐しながらも、その内容を語っていく。
「もしかしたら、四散させた方が敵が強くなるかもしれない。……それを試すことも怖かった。
例えばキョンシー、アレは町を襲うことで強くなる可能性もあるわけだ。それを防いでみよう、というのが二人の考えだよ」
その言葉に誰しもが言葉を失った。
……が、何事にも例外があるわけで。
「やりましょう! 町の皆さんから差し入れもあります!!」
元気に言ってのけるのは、毎度のカナリアである。
その言葉にくすりと笑ったのはジャッジだ。
「カナリアらしいな。あとで休む場所を確保するっている理由で町を守ってみるか」
「……お前が言うと卑猥な休憩に聞こえるな」
「そうしたいのは山々だが、レッドカード食らうのはご免だ」
ジャスティスの言葉を否定もせずに返す。
その言葉で全員が腹を括った。
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