初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<櫻井高校情報収集戦!?>
その噂はもちろん、櫻井高校でもさんざん囁かれた。
「参ったな」
受験そっちのけで喚いているのは、姦し集団だ。あることないこと言っている。
もちろん、姦し集団がそういう輩だと知っている生徒も多いが、それ以上にネットで書き込みされたことも持ち出され、美玖に関する悪い噂ばかりが広がり始めていた。
「だってさぁ、有名プレイヤーだか知らないけど、依頼を選り好みしてるらしいしさ」
「親が犯罪者になったっていうのに、よくのうのうとゲームできるよねぇ。なんかもともとそういう子だったのかなぁ」
「人殺しの血はどこまでも続くのかもね」
「ってか、自主退学って言ってるけど、ほんとは危ない人と駆け落ちだったりして」
「じゃあさ、親ってその危ない人から守ろうとしたんじゃないの?」
「なのに殺人未遂みたいに言われて捕まっているって、最悪じゃん」
「だと、携帯も管理されてるの分るよねぇ」
勝手な憶測で何言ってんだ! と怒りたくもなるが、少しばかり我慢である。
「古瀬さんって地味そうに見えて、実は派手に遊んでたってこと?」
けらけらと笑いながら話す集団の目の前に、プリントをどんと置いた。
「騒ぐ前にすることあるんじゃないかな? 君ら課題プリント一切出てないんだけど」
にっこりと笑う良平を見て、全員の顔が強張っていた。己の顔が怖いとか思っているのだとしたら、かなり失礼な話である。
「それから、古瀬さんの件なら俺と富岡教頭が証人になるよ。自宅まで行って救急車呼んだからね」
「……え」
「今古瀬さんの名前出したよね。ってことはその前から話しているのも古瀬さんのことだよね。二年近く前のことなのによく覚えてるねーー。あの時『地味すぎて誰のことだか分かんない』って君ら口そろえて言ってたよね?」
余談だが、美玖の家の事情を知る生徒程、この噂話に付き合っていない。我関せずである。
あまり変な噂を流さんでくれ。そう口に出して言えればどれくらい楽か。
「君たち。憶測で馬鹿なことを言わないほうがいい。悪いことは巡り巡って自分に返るから」
それが良平から出たせめてもの「忠告」だった。
教室の向こうでくすりと笑う一年生が数人。
本当に嫌な予感しかしない。そう、良平は思った。
一人は禰宜田家に縁のある少女――昌代から紹介を受けており、「情報収集に興味があるというのでの」というありがたい言葉をいただいた――なので昌代に情報が行くのはわかったが、他が分からない。
帰宅後、悠里からのあそこにいた生徒の情報がもたらされた。
一人はクリスファー・ジャッジに縁のある者。
もう一人は古瀬家の者。こちらは美玖に対して逆恨みを抱いており(古瀬家に対する悪いイメージが付いたという馬鹿な理由らしい)、今ある噂を大々的に広げ、美玖を悪者にしたいということだった。
そしてT.Sカンパニーに縁のある者に、トールの縁者ということらしい。
「……頭痛い」
本当に禿げそうである。
「他にもいるみたいですわよ。レイ君のお知り合いとか、イッセン君の知り合いとか……」
「学校内でどんな戦争起こす気なの!?」
もうやだ。巻き込まないで。そう言いたいが、教師として、美玖の知り合いとして止めるべきだ。
「お婆様にばれる前に収拾つけないと、大変ですわね」
悠里の言葉に止めを刺された良平は、その場で力尽きた。
「参ったな」
受験そっちのけで喚いているのは、姦し集団だ。あることないこと言っている。
もちろん、姦し集団がそういう輩だと知っている生徒も多いが、それ以上にネットで書き込みされたことも持ち出され、美玖に関する悪い噂ばかりが広がり始めていた。
「だってさぁ、有名プレイヤーだか知らないけど、依頼を選り好みしてるらしいしさ」
「親が犯罪者になったっていうのに、よくのうのうとゲームできるよねぇ。なんかもともとそういう子だったのかなぁ」
「人殺しの血はどこまでも続くのかもね」
「ってか、自主退学って言ってるけど、ほんとは危ない人と駆け落ちだったりして」
「じゃあさ、親ってその危ない人から守ろうとしたんじゃないの?」
「なのに殺人未遂みたいに言われて捕まっているって、最悪じゃん」
「だと、携帯も管理されてるの分るよねぇ」
勝手な憶測で何言ってんだ! と怒りたくもなるが、少しばかり我慢である。
「古瀬さんって地味そうに見えて、実は派手に遊んでたってこと?」
けらけらと笑いながら話す集団の目の前に、プリントをどんと置いた。
「騒ぐ前にすることあるんじゃないかな? 君ら課題プリント一切出てないんだけど」
にっこりと笑う良平を見て、全員の顔が強張っていた。己の顔が怖いとか思っているのだとしたら、かなり失礼な話である。
「それから、古瀬さんの件なら俺と富岡教頭が証人になるよ。自宅まで行って救急車呼んだからね」
「……え」
「今古瀬さんの名前出したよね。ってことはその前から話しているのも古瀬さんのことだよね。二年近く前のことなのによく覚えてるねーー。あの時『地味すぎて誰のことだか分かんない』って君ら口そろえて言ってたよね?」
余談だが、美玖の家の事情を知る生徒程、この噂話に付き合っていない。我関せずである。
あまり変な噂を流さんでくれ。そう口に出して言えればどれくらい楽か。
「君たち。憶測で馬鹿なことを言わないほうがいい。悪いことは巡り巡って自分に返るから」
それが良平から出たせめてもの「忠告」だった。
教室の向こうでくすりと笑う一年生が数人。
本当に嫌な予感しかしない。そう、良平は思った。
一人は禰宜田家に縁のある少女――昌代から紹介を受けており、「情報収集に興味があるというのでの」というありがたい言葉をいただいた――なので昌代に情報が行くのはわかったが、他が分からない。
帰宅後、悠里からのあそこにいた生徒の情報がもたらされた。
一人はクリスファー・ジャッジに縁のある者。
もう一人は古瀬家の者。こちらは美玖に対して逆恨みを抱いており(古瀬家に対する悪いイメージが付いたという馬鹿な理由らしい)、今ある噂を大々的に広げ、美玖を悪者にしたいということだった。
そしてT.Sカンパニーに縁のある者に、トールの縁者ということらしい。
「……頭痛い」
本当に禿げそうである。
「他にもいるみたいですわよ。レイ君のお知り合いとか、イッセン君の知り合いとか……」
「学校内でどんな戦争起こす気なの!?」
もうやだ。巻き込まないで。そう言いたいが、教師として、美玖の知り合いとして止めるべきだ。
「お婆様にばれる前に収拾つけないと、大変ですわね」
悠里の言葉に止めを刺された良平は、その場で力尽きた。
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