初心者がVRMMOをやります(仮)
クィーン本領発揮(別の意味で)
カナリアがマリル諸島に到着する前にほとんどのことが決まっていたため、迎えに行っただけになってしまった。そして建築資材が足りないということで、突貫工事にも関わらず一角兎の角などを使うことになり、丈夫なものが出来た。
それをリアル時間の一日もかからず作ってしまったために、無事盗難防止のアイテムも設置することが出来た。
「……このまま使っちゃいましょうか」
「状態保存用の魔石を置いとくと便利だしな」
ジャッジと二人しみじみと言う。
そんな話もあり、今までなかったイッセンとリリアーヌの作業部屋は突貫工事で作られた倉庫の二階になる予定だ。
そのあたりは「後日しっかり建て直します!」とフェンフェンが喜んで言っていた。勿論、そちらは別料金になる。
ついでにジャッジはガレージを新調する依頼までフェンフェンに出しているから、ある意味始末に負えない。
ただ、今回のような突貫で建てる場合、色々と問題が起きる。
まずはギルドの承認を得ていないということ。こればかりは仕方ない。本来であれば、建築許可を申請しておりるまで、リアル時間で三日かかる。その後建築が始まり、建てるのに要する時間はそれぞれだ。
建築終了後にギルドからの確認が入る。申請された用途で使われるものなのかを確認するのだ。
確認にまたリアル時間の三日かかる。これで初めて「TabTapS!」公認の建物となる。
それまで建物はある意味無法地帯となる。……通常ではあり得ないことなだけに、ディッチたちは色々と手だてをこうじている状態だ。
そして、今日も訓練と作戦等の話し合いでギルマスたちが頭をつき合わせていた。
「さて、どのAIを倉庫護衛に出すかね」
ディッチの言葉に、カーティスとチェンが頷く。
攻守バランスよくないとまずいわけで。おそらくリース、ミント、アルブスを主軸に入れるとして、ナーヴかミラージのどちらかを入れることにはなるだろう。
カーティスたちのAIは全員「攻防イベント」の主軸部隊に入れる。これはマリル諸島が舞台だということを加味したものだ。
「我に話を持ってこないのはどういうことじゃ?」
やっぱり来たーーー!! 面倒になるから話ししなかったのにーー!! その言葉を飲み込むだけでディッチは精一杯だった。
嫌な予感はしていた。大砲の時に出しゃばった時と同じパターンである。
だからこそこうやって外で話し合いをしていた……はずだった。
「ディッチよ。そなたの背中に発信機をつけておるゆえな」
「……そういう嘘は止めていただけますかね」
本当に聞こえてしまうから問題なのだ。
「つまらぬ。先ほど我が話かけたときのようにもう少し慌てたらいかがじゃ?」
慌てたというよりも、予感的中で焦っただけです。その言葉も飲み込んだ。
「さてディッチよ。いかがする?」
パッシブスキルをめいっぱい発揮してクィーンが訊ねてきた。
「……おれ、ひとりで、きめれません」
「ほほう? なればカーティス殿とチェン殿、そなたらは?」
「お、お願いします」
カーティスとチェンが折れたため、クィーンの案は承認された。
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