初心者がVRMMOをやります(仮)
別ゲームにて<ジャッジとマープル>
「あれ? ジャッジさん。いつもより遅いですね」
ここはVRMMOの中でもかなり登録者数の多いゲームのサーバーである。世界規模で流行しているため、色んな問題も抱えている。
「マープルの様子見にだけ来たからな」
「まじっすか? せっかくジャッジさんとクエやろうと思ってたんですけど」
このゲームに飽きたジャッジが手を出したのが「TabTapS!」だ。ただ、別のゲームから懇意にしているユーザーの「マープル」。この人物に会うためだけに、ジャッジは解約していないのだ。ここ数年は、マープルの家族とも遊んでいる。
フレンドリストからマープルを見つけると、マープルが営んでいる店に行く。
「ちわ」
「あら、ジャッジ君。いつもより遅かったのね」
二十歳ぐらいの外見をし、紫色の髪をした女性が声をかけてきた。
「別ゲームで捕まっててな」
「あらあら。今度はどのゲームをしてるの?」
「それは秘密。ここで言っちまうと、他の奴らも押し寄せてくる」
ジャッジはそれが嫌だ。あそこの知り合いは、カナリア以外は押し寄せてくる連中から逃げるためにやり始めたやつもいるくらいだ。……思った以上に職業に自由がありすぎて、それにはまったやつもいるが。現在、そいつは飛行機を作ろうと躍起になっているらしい。
「それもそうねぇ。あたしも他のゲームをしたいのだけど、この店を辞めたくないし」
喫茶店「安楽椅子」。名前からしてお茶目である。
「そうそう。孫がね、また一人VRやり始めたの。ただ、このゲームはお勧めできなかったから、他のやってるわ。ジャッジ君が持っているゲームだったら、会った時フォローをお願いしたいなって思ったのよ」
「無理。今は手一杯だ」
コーヒーを飲みながら、ジャッジは答えた。今はカナリアだけで手一杯だ。
「あらら。残念。そろそろいっくんとりりちゃんも来る時間ね」
このゲームではかなり有名な二人、イッセンとリリアーヌの二人は、マープルの実孫らしい。イッセンとリリアーヌの親もこのゲームをやっていて、しかも喫茶店の経営まで手伝っているあたり、仲は良好なのだろう。
「いらっしゃーい。ばあちゃん、クエスト行っといでよ。俺らが店見てるから」
入ってくるなり、イッセンがマープルに向かって言う。
「あらそう? そういえばね、美玖ちゃんもVRMMOにデビューしたのよ!」
「マジで!? あの叔母さんよく許したな」
「内緒。あたしが保護者欄にサインしたの。決まってるじゃない」
「じゃあ、いつごろこっちに来るんだ?」
「このゲームはしないって、最初に言われちゃったわ。あの子の目を盗んでやらなきゃいけないから、まだしていないのかも。それに、美玖ちゃんは慎重派でしょ? だからきっと色々調べてるのよ」
「そっか。そのうちそのゲームもやってみようかな。あとでそのタイトル教えてよ」
孫と祖母の会話がはずんでいるうちに、ジャッジはコーヒーが飲み終わっていた。
「ご馳走さん。あとは帰って仕事するわ」
「ジャッジさん、もう帰っちゃうの?」
「当たり前だ。ばあさんの生存確認に来ただけだぞ」
「それでいいのよ。あたしもジャッジ君の生存確認できるから」
互いに一人暮らし。だからこそ、会うことで互いの無事が分かる。
「あとでメール入れとくわ」
相変わらずフットワークの軽いマープルに苦笑しながら、ジャッジは店を出てログアウトした。
ここはVRMMOの中でもかなり登録者数の多いゲームのサーバーである。世界規模で流行しているため、色んな問題も抱えている。
「マープルの様子見にだけ来たからな」
「まじっすか? せっかくジャッジさんとクエやろうと思ってたんですけど」
このゲームに飽きたジャッジが手を出したのが「TabTapS!」だ。ただ、別のゲームから懇意にしているユーザーの「マープル」。この人物に会うためだけに、ジャッジは解約していないのだ。ここ数年は、マープルの家族とも遊んでいる。
フレンドリストからマープルを見つけると、マープルが営んでいる店に行く。
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「それもそうねぇ。あたしも他のゲームをしたいのだけど、この店を辞めたくないし」
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「いらっしゃーい。ばあちゃん、クエスト行っといでよ。俺らが店見てるから」
入ってくるなり、イッセンがマープルに向かって言う。
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