初心者がVRMMOをやります(仮)
暴走獣、スカーレット
続けざまにスカーレットがジャッジたちに様々なものを渡していく。
「あとで振り込んどいてよ。で、こちらが新しく出来たエンジンオイル。今までよりも性能が向上しているはず。さすがに飛行機に使えるかどうかは分からないけど」
「お、サンキュ」
ディッチが凄まじい量を取っていた。そして、余った分をジャッジが鞄に入れる。
「次回からもう少し増やしてくれ。バイクの他に車もディッチさんのところから購入したから」
「了解。毎度あり! で、これが機械油」
説明をすれば必要なものを四人が自分の鞄に入れていく。その様をカナリアはただ黙って見ていた。
「カナリアちゃんは何か欲しいものは?」
「……と、特には。基本的に手作業が多いので」
「本気で言ってる? あの細かい作業、全部手なの!?」
「? さすがにビーズはタブレット任せにしてます。成功率が違うので」
「……そりゃそうだけどさ。石のカットとかは?」
「そんなに硬い石がないので、全部手作業です。彫れないものはそのまま使うことにしてますから」
「……ディス! 今すぐダイヤモンドも削れる彫刻刀と、作業用ナイフを作ってあげて!」
ダイヤモンドって出るんだ。カナリアはそう思った。
「了解。依頼主は?」
「あたしでっ! その代わりカナリアちゃんには少しばかり付き合ってもらうから。 それからこの硝子素材を円形に作って! 高性能拡大鏡のレンズにするから」
「おう! 任せとけ!!」
そして、そのままずるずるとスカーレットに引き摺られるままに、部屋を出た。
「……あ、あの」
「この服ってディスがAI用に依頼したやつじゃん。ディスが気に入らなくてお蔵入りしてたやつ。それよりもこっちの方が防御力も高いの!!」
そう言って渡された服は、白い服だった。
「ささっ。すぐに着る!!」
ウエストに少しばかりフィットしたワンピースの丈は、膝上十センチ。かなりのミニスカートである。そして、ブーツらしきものも白で、膝くらいまであり、ヒールもかなり高い。
「あ。歩きにくいんですけど」
しかも転んだらかなりまずいんじゃないかと思ってしまう。
「大丈夫! セーフガードで中は見えない! いやぁ、思ったよりも似合うわ。キャップじゃなく、ケモミミのほうがいいかしら?」
ぶつぶつと言っていたスカーレットは、色々なものを頭にあてがっていく。
「これのお金は要らないからね。アルブスのお古だし」
「いいんですか?」
「いいの。これよりも高い防御力を持つ防具を着せてるから」
その言葉に、アルブスはにこにことしていた。
それを聞いてカナリアも考えた。セバスチャンにも新しい服を用意しようかと。
どうしたらいいかは、ジャッジたちに聞けば教えてくれるだろう。それからで遅くないはずだ。
「お待たせ! ナースなカナリアちゃん。どうよ?」
「レット! よくぞやった!!」
「絶対領域は正義だな」
スカーレットがカナリアを見せると、ディッチとディスカスがすぐさま返した。
「でも、悩んでるの」
「何を?」
「ナースキャップ、ウサミミ、ネコミミ、イヌミミ。どれがいい?」
何の話だ!? 思わずカナリアはスカーレットを見上げた。
「ナースキャップは外せないだろ。何せワンセットだ」
「兄貴。ケモミミもこの子似合うんだもん」
スカーレットがカナリアの後ろに立ち、何かをしていく。
「ウサミミプラスのナースキャップだ!! これ以上の正義はない!!」
ディスカスが叫んだ。
「じゃあ、簡単な錬金術で二つあわせる。これでしばらく、大丈夫よ」
そう言うなり、頭に何かのせられた。ジャスティスが鏡を持って来て、カナリアの全身を見せる。
イッタイナンデスカコレハ。
硬直から溶けるまで、かなりの時間を要したのは言うまでもない。
ちなみに、ウサミミは触られるとくすぐったいというおまけまでついていた。
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