初心者がVRMMOをやります(仮)
新しいメンバーとその由来
「感動の再会も済みましたし、とりあえず新しいギルメンの紹介をします」
その言葉に鬼のような角を生やした男が入ってきた。
「種族は鬼族……あんまり選ぶ人いないのを楽しんで選ぶあたり、数人には誰だか分かったと思うが。名前はアントニーさん。久しぶりのVRMMO復帰ということだ」
「……げ」
ジャッジとジャスティスの呟きが重なった。
「紹介に預かったアントニーだ。よろしく頼む」
その声を聞いたカナリアは一瞬にして固まった。
「元気そうな声でよかったよ。カナリアさん。これからは中々会えないだろうが、たまにでいい、一緒にゲームをしてもらえないだろうが」
「は……はいっ」
色んなことがあって退学したはずなのに、こうやって気をつかってくれるのがカナリアにはかなり嬉しかった。
「トニーさん、カナリアちゃん泣かせた」
「泣かせたな」
「泣かせましたね」
口々にメンバーがはやし立てた。それでもカナリアの目から涙が溢れていた。
嬉しすぎる。こうやって皆がいて、心配してくれる。
だったら、もっと強くなってなるべく心配をかけないようにしないと。
カナリアは深く決意した。
そのあと間もなくログアウトした。
そして、何故教頭のプレイヤーネームが「アントニー」なのか保に訊ねた。
「美玖はあの人のフルネーム知ってる?」
ふるふると頭を振る。
「富岡 諒庵って言うんだよ。とある寺に縁のある人なんだ。
リョウアン=トミオカで、アントニーになるらしいよ。……美術教師なんだけどね」
無茶苦茶な言い分であると思ってしまう。それを言ってしまえば美玖の「カナリア」だって、名前と何のつながりもない。
「……初めて聞きました」
教頭もかなりお茶目な人なのだと初めて知った。
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